国家事業、侵略戦争の結末

蒙古来襲を除いて、日本が諸外国から侵略戦争を仕掛けられたことはない。大政奉還の後、日本は鎖国政策を一転し富国強兵を推進した。西欧諸国の植民地政策を真似て、日本が近隣諸国を侵略したのである。

アジヤへの進攻を続ける日本に対して国際世論の批判が高まった。国際的に孤立していく中、戦線は拡大していった。最大の謎は、海軍が真珠湾攻撃を仕掛けたことであった。それは、アメリカの反日感情を一気に高め、参戦の大義名分を与えた。日本軍はアメリカ軍との消耗戦を余儀なくされた。爆撃機B29による本土の爆撃が常態化するに及んで、日本の敗色は明らかだった。アメリカは日本の降伏条件に「無条件」をつけた。「無条件降伏」は、「天皇も裁く」主旨ともとれ、日本が絶対に飲めない条件だった。B29の爆撃は、全国に及んだ。

そうした中、アメリカはドイツ軍が先行開発していた核爆弾の開発に成功した。核実験成功の数ヶ月後には、すでに制空権を失っていたHIROSIMAとNAGASAKIの市街地は、B29が投下したその爆弾の閃光に煮えたぎった。日本は無条件降伏を受諾し、アメリカの攻撃は終わった。アメリカは、「連合軍」の勝利を強調した。

ともあれ、日本軍は解体され、関係者が「戦争犯罪人」として裁かれる時がきた。戦争犯罪とは軍人が人を殺した罪の告発だ。文豪、火野葦平「戦争犯罪人」の文章を借りよう。キリスト教徒に得るところはあるだろうか。

火野葦平(ひのあしへい)「戦争犯罪人」
目次

１．「はじめに」 　明治40年北九州に生まれた火野葦平は、従軍作家として日中戦争を取材した。
２．「貞村と歎異抄」　 巣鴨プリズンは、戦犯を一棟から六棟に収容している。
３．「宗教と救い」　「ざまみやがれ、ざまみやがれ」預言者の森一太郎だけが、そんなことをうわ言のように
４．「老人二人」　土壇場になってはじめてあらわれる人間の価値について、新しい認識を持つようになつた。
５．「戦犯死刑囚の心情」　多くはＡ級を自分たちの敵とする考えが強かった。
６．「東条英機ら七名の」　どうして、そんな立派な死にかたをしなくてはならんのですか。
７．「苦しい時の神だのみ」　入所以来、囚人たちは誰もが肉体よりも精神上の悩みに苦しんでいた。
８．「Ａ級戦犯の十三階段」 Ａ級戦犯七人を処刑した絞首台は、わざわざ新設されたものであつた。
９．「孤島ゴドムの戦犯（１／２）」　部隊長は決戦と玉砕とを覚悟するとともに、捕虜の処分を決意した。
１０．「孤島ゴドムの戦犯（２／２）」　「あなたは女を知らずに死んでしまうのね。可愛そうに」。
１１．「すがも戦犯の星霜」　勤め先から帰って来る人たちが、この横文字のアーチの下へ吸収される。
１２．「ビンの奇跡」　「空きびんを処理する方はありませんか。適正な値段で買ってあげます」
１３．「釈放運動」　「その癌は釈放問題にあると僕は考えているんだ。むずかしい問題だ」。
１４．「東京名所スガモ・プリズン」　あれなるは西郷隆盛の銅像でございます。その一隊がスガモへ。
１５．「幸福とは」　まつたく自由のなかつた過去とを比較して、どつちが幸福であつたか
１６．「自衛隊」　李承晩ラインでは相ついで日本漁船が拿捕された。漁民は朝鮮に抑留された。
１７．「一般参賀」　心の寄りどころを求めようとすると、不思議なことに天皇の姿が大きく浮びあがつて来る。
１８．「アメ公」　「それもわかると戦犯じゃな？」「絞首刑でしょう」「勝てば官軍じやのう」。
 
 巣鴨プリズンの場所
 
天皇・皇后両陛下ペリリュー島慰霊（平成27年）
戦後７０年天皇陛下のお気持ち
天皇皇后両陛下フィリピン・ルソン島慰霊（平成28年）
 
2012/3/1-2012/3/18　笹倉キリスト教会　笹倉正義
2015/3/23、2015/4/11、2016/1/31