(20-1)「コーランの聖母子」 (20-1)「コーランの聖母子」
| 7世紀、アラビヤの都市を嘗(な)め尽くした唯一神アラーの信者たちの前には、地中海世界を制覇したローマ帝国が広がっていた。そこは、女や漁師をいただく、偶像とその絵画が飾られた建物のある異教徒の世界だった。「ことごとくアラーに跪拝(きはい)させよ」、指導者は最高の信者たる戦士たちに号令した。またたくまに、エジプト、北アフリカのローマ帝国属州は、アラーの洗礼を受け、聖堂はモスクに変わった。 |
| ┌───コーランの聖母子───┐ コーラン19章 19-16またこの啓典の中で、マルヤム（アラビヤの聖母）のことも述べるがよい。彼女が家族と別れて東側の場所に引籠り、19-17面紗(ベール)つけてみなに顔を見られないようにしたときのこと。その時、我ら、聖霊を遣わせば、たくましい男の姿となって彼女の前に現れた。 19-20「なんで妾に息子なぞできましょう。妾は男に触れられたことのないからだ。淫らごころもないものを」 19-22こうして彼女は身籠って、その子を腹に、人目をさけて引籠った。 19-28（とにかくするうち）彼女は息子を抱いて一族の人々のところへやって来る。そこで人々が言うに、「これ、マルヤム、そなたなんという大変なことをしでかしたのじゃ。19-29ハールーンの姉よ、お前の父さんは悪い人ではなかったし、母さんだって淫らな女ではなかったに」と。 19-35これがマルヤムの子イーサー。みながいろいろ言っている事の真相はこうである。 19-36もともとアッラーにお子ができたりするわけがない。ああ、恐れ多い。何事でも、こうとお決めになったら、「在れ」と仰しゃるだけで、そうなるほどのお方ではないか。 19-91「お情ぶかい御神にお子ができた」などと言う者どもがおる。いや、まことにお前たち、よくもひどいことを言ったもの。19-92天もために裂け、地は割れ、山々また一時に崩れ落ちんばかり。19-93お情ぶかい御神にお子が生れたなどと称するとは。お情ぶかい御神にお子ができようはずはない。 19-17「たくましい男の姿となって彼女の前に現れた」、これがコーランの著者が考えたというか、考えさせられた「受胎告知」、「処女受胎」であり、茶化している。著者は「ルカによる福音書」に素養のある「智」を仕事にさせられた奴隷であり、書かせたのがアラーの「指導者」であろう。 「指導者」は宗教人ではない。イスラムには「俗界」と「聖界」を区別する概念はない。霊的なやりとりが肉体に作用することには考え及ばず、俗なやりとりが肉に作用するのみである。豚に「真理」を説教しても無駄である。豚は泥や自らの糞尿に転びまわるのを喜びとする。このようにして、聖母子を俗に貶(おとし)め、聖堂の聖画(イコン)をモルタルで塗りこめたのである。イスラムは、あらゆる「偶像」を排除することを旨とし、幾何学模様のみ装飾の造形として許可した。マホメットをはじめとして、イスラムの指導者の肖像画はない。 └───コーランの聖母子───┘ |
| イスラム雑学 |
| 1．マホメットの旧約聖書・六世紀のアラビヤ 「旧約聖書」的に言えば、イスラムの唯一神アラーは、ユダヤ人の祖、ヘブル |
| 2．ラッパより強力、 ヨシュアは、男子に割礼をほどこし、その傷のはれがおさまるのを待って、ヨルダン川をわたり、西岸地区、パレスチナの地に攻め入った。城壁に立つ神官はラッパを吹き鳴らした。城壁の中は大混乱に陥った。神が先祖に約束された土地に入るのだ。われわれは強盗ではなく、エホバの神の名において、事を成している。そしてそれは、ユダヤ人十二部族の土地が得られた時におさまった。 |
| 3．標的は裕福な「偶像崇拝」の町 マホメットは、唯一神アラーを描き出し、アラーの名において、偶像崇拝の諸都市攻撃を思い描くようになった。神の名によってすることは聖戦であり、盗賊の |
| 4．641年、「智の都」アラーの奴隷となる 最大の信者は戦士、「智」は奴隷の仕事、イスラム自身が「智」を学ぶことは禁止が確定。エジプトのアレキサンドリヤを攻略したイスラムは、「智」を奴隷とし、軍船の建造、新兵器開発、医療技術の向上に従事させた。だが、イスラム教徒自身が、彼らから智を学ぶことは厳禁された。アラーの民は、それまでのアラビヤの蛮族から一線を画すこととなった。 ユダヤ人の神エホバの場合は、パレスチナの地をユダヤ人の祖が割譲すると、それ以上に戦火を拡大することはなかったが、イスラムの神アラーでは、侵(おか)す事、そのとどまるところを知らないのだった。地中海世界に君臨したローマ帝国は、見晴るかす異教徒の地である。北アフリカの町々はたちまち席巻(せっけん)されて、聖母子の聖堂はアラーの軍門に下った。 |
| 5．コーランの成立 コーランはアラビヤ語のみが聖典とされる。朗誦はアラビヤ語でなければさまにならない。この書はいつ成立したのであろう。また、その目的は何であろう。イスラムそのものはユダヤ教やキリスト教のような、たとえば、民族の統合を目的とした、あるいは罪のゆるしのとりなしを宗旨とし、礼拝し、また宣教するような宗教ではない。宗教を装ってはいるが、実態はそうではない。 イスラムにおいては、創始者の最初のグループから「指導者」が継承され、最高位である。最高の信者は戦士たちである。市民は「信者」とするには、精神的なものではなく、外見の服従がもとめられる。男は跪拝(きはい)、女は人前での肌の露出禁止がその例であり、イスラム「教徒」を特徴付ける。宗教「警察」がその遵守(じゅんしゅ)を求める。「教徒」の学問は禁止である。それは奴隷の「仕事」である。女には一切の自由はない。男尊女卑はユダヤ人よりも徹底している。 彼らを支配しているのは「恐怖」である。だが、その規律の中に生きることができる者には、それなりの自由世界であるかもしれない。 コーランは「聖典」とされるが、日本語訳を読むと、始祖マホメットを俯瞰(している者が、コーランを著したのではないかと思わされる箇所がある。また、アラーは創造主というだけではなく、イスラム自身である場合もあるように思う。成立は、時どきの必要に応じて書かれたものの集合体であり、一定の時期は特定できないのではないか。また、著者は、「智」が仕事の奴隷たちであろう。書を著すなど、奴隷の仕事である。 コーランを用いて礼拝をするような聖職者の組織はない。「指導者」とその配下がいるのみである。礼拝はモスクでの跪拝(きはい)に特徴付けられる。宣教活動は、戦士が担うのである。 |
| 6．コーランの受胎告知 アラビヤの受胎告知 19-16またこの啓典の中で、マルヤム（アラビヤの聖母）のことも述べるがよい。彼女が家族と別れて東側の場所に引籠り、19-17面紗(ベール)つけてみなに顔を見られないようにしたときのこと。その時、我ら、聖霊を遣わせば、たくましい男の姿となって彼女の前に現れた。 これについては、すでに考察していた。時間の浪費であるから、これ以上の言及はさける。 |
| イスラムの断片 |
| イスラムについて コーランを読んだ動機は、「イスラム教はユダヤ教とキリスト教よりも新しいから、またその二つをも含んでいるから、最終宗教である」などという者がいたからである。「ほんとか」と。 |
| 映画「エル・シド」 時は11世紀のスペイン。「エル・シド」イスラムの王がスペイン人ロドリゴに贈った称号である。スペインはおよそ800年間、北アフリカからスペイン南部に侵入したイスラム(ムーア人と総称)との戦いに明け暮れた。スペイン南部アンダルシア地方には、イスラムの文化が残り、観光資源になっている。 |
| スペイン南部アンダルシア地方 2019年、セビリヤ、ロンダ、カサレス、マルベーヤ、ミハス、グラナダ、コルドバをツアーで巡った。イスラムの文化が残り、それが観光資源ともなっているのだった。グラナダの陥落でイベリヤ半島はキリスト教で統一されたが、その時、ユダヤ人が、ユダヤ人街から追い出されることになった。スペイン国王によるユダヤ人の財産没収である。ユダヤ人たちは自分の持てる物だけ持つことを許された。そのユダヤ人たちはどこに行ったのだろうと思っていたが、それがフランドル地方の「オランダ」であることがわかった。「会計と経営をめぐる500年の歴史」 |
| (18・5)「処女受胎」と「コーラン」 |
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