3．神の賞与を得ようと 3．神の賞与を得ようと
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| (1)先の手紙の「割礼主張者警戒」を復唱 3-1最後に、わたしの兄弟たちよ。主にあって喜びなさい。さきに書いたのと同じことをここで繰り返すが、それは、わたしには煩わしいことではなく、あなたがたには安全なことになる。 ---獄中書簡は、パウロの産んだトルコの教会に向けて送られているが、それ以前にも手紙を書いている。それらの手紙は、一つの教会に止めおかないで、写本されたものが他の教会に送られたのである。 「コリント人への第２の手紙」11章 違った福音 もしある人がきて、わたしたちが宣べ伝え、あるいは、受けいれたことのない違った霊を受け、あるいは、受けいれたことのない違った福音を聞く場合に、あなたがたはよくもそれを忍んでいる。11-5事実、わたしは、あの大使徒たちにいささかも劣ってはいないと思う。 違った福音には「聖母子」も 初期のキリスト教思想に「統一」されたものはなかった。ただ、今も唯一残る「ローマ教会」の大事にしているもの、それは「聖母子」である。それを伝えたのは「ルカによる福音書」と「使徒行伝」の二つであるが、それらから生じる「聖母子」思想は、これら書簡には無い。 しかし、「聖母子」思想が厳然と存在していたために、禁教下においても、ローマ教会は深く根を張ることができ、その「忠誠や勤勉、労働と宣教」などの信徒の態度は、退廃の進むローマ市民の模範となるべく、コンスタンティヌスの目を引くことになるのである。 (2)割礼という肉の律法からの開放こそ 3-2あの犬どもを警戒しなさい。悪い働き人たちを警戒しなさい。肉に割礼の傷をつけている人たちを警戒しなさい。 3-3神の霊によって礼拝をし、キリスト・イエスを誇りとし、肉を頼みとしないわたしたちこそ、割礼の者である。 3-4もとより、肉の頼みなら、わたしにも無くはない。もし、だれかほかの人が肉を頼みとしていると言うなら、わたしはそれをもっと頼みとしている。 (3)パウロ自身の「 3-5わたしは八日目に割礼を受けた者、イスラエルの民族に属する者、ベニヤミン族の出身、ヘブル人の中のヘブル人、律法の上ではパリサイ人、3-6熱心の点では教会の迫害者、律法の義については落ち度のない者である。 3-7しかし、わたしにとって益であったこれらのものを、キリストのゆえに損と思うようになった。 ユダヤ人 ユダヤ人とは、帰還後にペルシャの自治区として認められようとして構成された、宗教を基とした「書かれた物」を奉ずる人々である。それには、「エルサレム神殿が唯一の礼拝場所」という定めがあった。当初のユダヤ人は、南王国の末裔である「ベニヤミン族とユダ族」であったが、「書かれた物」すなわち旧約聖書編纂の過程で、北王国「イスラエル」の子孫にも参画を呼びかけたのである。パウロの「ベニヤミン族」には、由緒正しいという意味がこめられている。 ---「あの犬ども」とは、「割礼をしなければ救われない」と説いているエルサレム教会のユダヤ教原理主義者のことである。パウロは、生前のイエスを知らない。 それで、イエスに「雷の子」とあだ名されたヨハネには頭が上がらない。ヨハネはガリラヤ湖の漁師にすぎなかったのに、パウロは以前はサウロと呼ばれたようにその血統はユダヤ人の元祖に遡(さかのぼ)り、その名はヘブル人の初代王と同じである。ローマ市民権をも持つパウロには負けん気とエリート意識がある。 (4)律法の行いではなく信仰による義 3-8わたしは、更に進んで、わたしの主キリスト・イエスを知る知識の絶大な価値のゆえに、いっさいのものを損と思っている。キリストのゆえに、わたしはすべてのものを失ったが、それらのものを、ふん土のように思っている。 それは、わたしがキリストを得るためであり、3-9律法による自分の義ではなく、キリストを信じる信仰の義、すなわち、信仰に基く神からの義を受けて、キリストのうちに自分を見いだすようになるためである。 3-10すなわち、キリストとその復活の力とを知り、その苦難にあずかって、その死のさまにひとしくなり、3-11なんとかして死人のうちからの復活に達したいのである。 パウロの眼病 ---このパウロの境地は、彼がその絶頂期に目を撃たれたことに関係する。失明の危機にさらされた彼は、肉のたよりなさを体験し、霊への思いを強くしたのであろう。 パウロにとっての「死人の復活」の価値 またパウロはパリサイ派でもある。当時、死人の復活を信じるパリサイ派とそれを信じないサドカイ派がいたが、パウロは「イエスの復活」を、自分の会派の勝利ととらえたのである。 (5)競技者のように神の賞与を得ようと 3-12わたしがすでにそれを得たとか、すでに完全な者になっているとか言うのではなく、ただ捕らえようとして追い求めているのである。そうするのは、キリスト・イエスによって捕らえられているからである。3-13兄弟たちよ。わたしはすでに捕らえたとは思っていない。ただこの一事を努めている。 すなわち、後ろのものを忘れ、前のものに向かってからだを伸ばしつつ、3-14目標を目ざして走り、キリスト・イエスにおいて上に召して下さる神の賞与を得ようとして努めているのである。 3-15だから、わたしたちの中で全き人たちは、そのように考えるべきである。しかし、あなたがたが違った考えを持っているなら、神はそのことも示して下さるであろう。3-16ただ、わたしたちは、達し得たところに従って進むべきである。 (6)地上の滅びと天上の国籍 3-17兄弟たちよ。どうか、わたしにならう者となってほしい。また、あなたがたの模範にされているわたしたちにならって歩く人たちに、目をとめなさい。 3-18わたしがそう言うのは。キリストの十字架に敵対して歩いている者が多いからである。わたしは、彼らのことをしばしばあなたがたに話したが、今また涙を流して語る。 ---これは割礼主義者のことである。割礼は十字架の恵みに敵対するとパウロは考えている。 3-19彼らの最後は滅びである。彼らの神はその腹、彼らの栄光はその恥、彼らの思いは地上のことである。 (7)来臨思想がちらつく しかし、わたしたちの国籍は天にある。そこから、救主、主イエス・キリストのこられるのを、わたしたちは待ち望んでいる。 3-21彼は、万物をご自身に従わせうる力の働きによって、わたしたちの卑しいからだを、ご自身の栄光のからだと同じかたちに変えて下さるであろう。 |
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| 2020/9/21 |
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