画家は、常に何らかの「モデル」を必要とした。レオナルドの代表作「受胎告知」のそれは。

TV番組から

(1)前頁に掲載した、ＴＶ番組「美の巨人たち」では、レオナルドの晩年をすごした古城と、彼の遺品に三枚の絵があったことが紹介された。大事にもっていたそれらのポーレートこそは、彼の「愛人」だと思わせられた。それは彼が巨人であると同時に、生身（なまみ）の人であった証拠ともいえる。 (2)その番組に続いて、こんどは彼の「受胎告知」の卓越した技法が紹介される番組が始まった。 「受胎告知」の天使とマリヤの衣服から、その下に隠された体の肉感を、絵画に再現する技法の紹介だった。レオナルドは、その技法によって、いくらでも同じ状態で、スケッチできた、という内容だった。（続きは画像の下）

(3)そこで思ったのは、天使とマリヤの顔は誰の顔か、ということだった。いつでも、同じ顔を観察できるのは、番組内容からの連想だが、教会の一室で共同作業していた自分と、兄弟子（あにでし）以外にない。マリヤのあどけない顔は２０歳前後のレオナルドのものであり、天使のそれは兄弟子のものなのだ。天使の顔には人的な個性がある。 (4)その絵が置かれていたのは、郊外の修道院の聖具室であり、普段信者の目に触れない部屋である。若い二人が製作した「受胎告知」は、彼らにとっては神聖なものではなく、製作の日々そのものが、無邪気で楽しいものだったのだ。天使の指の所作は、洗礼者ヨハネに受け継がれている。それこそは自分と兄弟子をつなぐ「よすが」である。 (5)聖人の顔に自分の愛人のものを使うことは、同時代の破戒修道士フィリッポ・リッピが、女子修道院から連れ出して妻にした女の顔を、聖母子に使った例がある。メディチ家は、彼を庇護した。 (6)そういうわけで、ダビンチがきらいだったわたしは、レオナルドの人生観のゆえに、彼への思いを改めることにした。レオナルドを、幼な子イエスをぶさいくに描いたぐらいで、きらいになったりしないでおこうと決めたのだった。

「ダビンチ・コード」ダン・ブラウン著

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オリジナル教会の権能：「あなたの思うがままに制作してよい」

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2020/5/3

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作成履歴

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2018/10/23

聖句引用：日本聖書協会　口語訳聖書
旧約聖書（１９５５年改訳）
新約聖書（１９５４年改訳）

ページ制作者：ささくら修道会　総長　 笹倉正義
2018/10/24

聖句引用：日本聖書協会　口語訳聖書
旧約聖書（１９５５年改訳）
新約聖書（１９５４年改訳）