４７章「連銭葦毛(れんぜんあしげ)」

伯爵は、二人の夫人に恩を売った。まず、ダングラール夫人は、伯爵に売られた二頭の馬、連銭葦毛を返してもらった。もうひとりのビルフォール夫人は、伯爵の召使アリに狂奔する馬車を止めてもらい、子供ともども、九死に一生を得たことを恩にきた。二人の婦人は、エドモンの復讐計画に欠かせないコマとなったのだった。

目次

（１）ドプレーとダングラール夫人 3-47-1-9こうなると、事実は、ダングラール氏が人を紹介するというのでなく、彼自身のほうが紹介され、そして、来客の容貌が男爵夫人の気に入るか入らないかによって、もてなしが善くもなれば悪くもなるというわけだった。三十六になっていながら、なお美貌の衰えをみせていないダングラール夫人は、精緻な嵌め木細工のピアノへ向かっていた。そしてリュシアン・ドプレーは、縫物卓の前に坐を占めて、アルバムをくっていた。

（２）男爵夫人の連銭葦毛 3-47-2-29ドプレーさま、あなた御存じですわね、わたくしの連銭葦毛を！3-47-2-30ところが、どうでしょう！3-47-2-31明日（あす）、ビルフォールの奥さまがボワへいらっしゃるということで、わたくし、馬車をお貸しするお約束をして、いざそれをお貸ししようというときになって、二頭の馬が見えなくなったのでございます。

（３）家庭争議の火種 自分の馬が伯爵の馬車につけてあると知った男爵夫人は怒り心頭で夫ダングラールをにらみつけた。馬が若くて危険だったからと言い訳していたダングラールは、思わぬ事態の成り行きにろうばいし、家庭争議の予感に身をすくめた。ドプレーと伯爵は、早々と辞し去った。

（４）伯爵の次の手・アリの出番 伯爵は、男爵夫人から、この日、ビルフォール夫人がブローニュの森に遊びに行くのに、自分の馬車を貸すのだと言っていた。そこで、伯爵は返してやった馬に、ある仕掛けをした。伯爵はアリに、暴走してくる馬車の二頭の馬を取り押さえる任務を与えた。その馬車にはビルフォール検事総長の夫人が乗っているはずだった。

（５）ビルフォール夫人を虜に アリが止めた狂奔していた馬車の中には、婦人と子供が乗っていた。九死に一生を得、とりわけ子供が無事だったことを喜んだ婦人は、ビルフォール夫人だった。これは奇遇というわけではなかった。エドモンが仕掛けた罠だったのだ。夫人はまんまとモンテ・クリスト伯の手中に落ちた。

（６）検事総長夫人エロイーズ 3-47-6-1「わたくし、エロイーズ・ド・ビルフォール夫人でございます」。伯爵は、その名をはじめて聞くとでもいうように挨拶した。「まあ！ビルフォールがどんなにありがたがることでございましょう！」と夫人は言った。

（７）拝啓エルミーヌさま 3-47-7-49ニ伸　なんとかして、お宅で、あのモンテ・クリスト伯爵にお目にかかれるようにしていただきたいと思いますわ。わたし、ぜひも一度お目にかかりたいと思っていますの。ビルフォールに、あの方をお訪ねしてもらうことにしました。行ってくれるだろうと思います。

（８）検事総長のお出まし 3-47-8-1その晩、オートィユでのできごとは、あらゆる人々の話題にのぼったアルベールはこれを母に語り、シャトー・ルノーはジョッキー倶楽部で、ドプレーは大臣のお応接室で、おのおのこのことを話してきかせた。

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ページ制作者：（ささくら修道会）聖母マリヤ福音教会
通称「オリジナル教会」　初代代表者　笹倉正義
オリジナル教会・ささくら修道会・必読書
2017/7/27-、9/6-10