１８章「宝」

きちがいの語りにしては、理路整然とした財宝の由緒だった。１３０億円にのぼるスパダの財宝が、今やファリア司祭の相続するものであり、それはとりもなおさず、エドモン・ダンテスのものなのだった。なぜなら、ダンテスは神がファリア与えた息子にほかならなかったからであるという。

目次

１８（１）わしの宝　 1-18-1-14彼は、この司祭が気違いだという取沙汰（とりさた）の原因をなした宝のことを、つとめて司祭と話すことを避けていた。

１８（２）燃えさしの紙片　 1-18-2-12　　この宝はその価格にしておよそ 1-18-2-13　　離れたるところにローマの貨幣にて 1-18-2-14　　第二に開かれたる扉口の 1-18-2-15　　そのものの手に属することを証 1-18-2-16　　なり 1-18-2-17　　　　　　　　　１４９８年４月２５日

１８（３）ボルジア家の毒薬　1-18-3-48『スパダ、ロスピリオーシの枢機員のためだったら、むしろ午餐に呼ぶことにしよう。それだけの費用は、もどってきそうに思われるから。それに、お前は忘れているが、不消化の結果はすぐとその場であらわれる。

１８（４）食中毒死の賓客　1-18-4-22法皇とセザールとは、死んだ者の書類を探すのを名目に、たちまち遺産の差し押さえにかかった。だが、遺産としては、ただ一枚の紙片よりなかった。紙には、次のようなことが記されていた。

１８（５）祈祷書のしおり　1-18-5-56わしは手探りでその紙を探した。そして、それが見つかると、手でねじり、消えようとしている焔にかざして火をつけた。

１８（６）炎に浮かぶ文字　1-18-6-29「さ、」と司祭は言葉をつづけた。「今度はこっちの紙を読んでみるのだ」。そう言いながら、やはり何行かの断片（だんぺん）の記された第二の紙片をダンテスに見せた。

１８（７）現われた遺言　1-18-7-14　すなわち彼が予とともに訪れてよく知れる地点すなわち、モンテ・クリスト島の洞窟中に予は自己の所有に属するあらゆる地金、金貨、宝石類、金剛石、宝玉の類を埋めたり。この宝の存在を知るものは予のほかになく、その価格はおよそローマ２００1-18-7-18　万エキュにのぼるべく

１８（８）百三十億円の財宝　1-18-8-15「スパダ一家は、十五世紀においての勢力のあった旧家の一つだ。それに、当時にあっては、投機もなければ工業もなかった。7そこで、こうした黄金や宝石類が貯えられていたのに不思議はない。いまでもまだ、ゆずられた百万がほどの金剛石や宝石類を持ちながら、世襲財産としてそれに手をつけることができないままに、餓死しかけているローマの旧家がいくつもあるのだ」。

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引用者：2016/5/10、5/21　（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会
通称「オリジナル教会」　初代代表者　笹倉正義
ささくら修道会