神曲(しんきょく)／地獄篇(じごくへん)

Dante Alighier Divina Commedia/Inferno

神曲/地獄篇　ダンテ・アリギエーリ　寿岳文章訳　集英社文庫

ダンテ（1265-1321：56歳）は地獄のガイドとしてビルジリオ（VERGILIVS）を採用し自分自身が主人公とした。ビルジリオは紀元前１世紀（前70-前19：51歳 ）の人で、皇帝アウグストのために、「アエネイス」を著した。その著書の中で、主人公アエネアスは父アンキセスの霊に会うために地獄の川を渡らなければならないが、クマエの巫女が彼のガイドとなった。ダンテはローマ神話となった「アエネイス」を読み、これをヒントに地獄篇を書いたのだ。

目次

第一歌「ただ眠くて」　 主人公は「アエネイス」とは違いダンテ自身である。彼は書斎にいるだろう。

第ニ歌「真に恐ろしいのは」　 これから行くところに害を加える者はいない。恐れることはない。

第三歌「渡し守カロン」　 「アエネイス」の、冥界の川の渡し守、カロンの名をそのまま使っている

第四歌「キリスト以前の死者」　 最初に出会ったのはイエス・キリスト以前に生きた人々である。

第三十四歌「出口のエルサレム」　 反転して登り続けキリストの墓の穴から地獄を脱出した。

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神曲/地獄篇 ダンテ・アリギエーリ　寿岳文章訳　集英社文庫ヘリテージシリーズ 著者Dante Alighieri(1265-1321)は、イタリアの詩人で、フィレンツェの人、トスカーナ弁、1302年政敵により故郷追放となる。 この神曲（直訳すると神聖喜劇）という空想物語は散文詩で書かれているため、第一歌、第二歌のように話が進む。古典らしく訳された詩なので簡単には読み進めない。注釈にたよる時と、ただ本文のみ読む時と、何回も読んでいると、話の筋道が見えてくる。 ダンテの黙示した地獄は、ぐるぐる左回りに降りて行けて、各階に異様な呵責の世界が広がっている。ダンテと詩聖ビルジリオの二人は、地表にあいた広い入口からはいり、地下に下りていって、罪状ごとにある圏をめぐり、地獄の底で反転して、地球の反対側の出口に出る。この14世紀のはじめ、すでに大地が球体の表面であることが知られていたことになる。こうなると、煉獄篇、天国篇も読まずにはいられない。 この地獄篇では、イエス・キリストや聖母マリヤの名前は使われない、と注釈してあった。 第一歌「ひとの世の旅路のなかば、ふと気がつくと、私はますぐな道を見失い、暗い森に迷いこんでいた」。 ダンテが働き盛りの年齢を目前にして、肉欲、高慢、貪らんを象徴する、三匹の野獣に進路を阻まれる。 ---三匹の野獣（しし、おおかみ、ひょう） （エレミヤ書） 5-6それゆえ林から、ししが出てきて彼らを殺し、 荒野から、おおかみが出てきて彼らを滅ぼす。 ひょうは彼らの町々をねらっている。 そこから出る者はみな裂かれる。 彼らの罪が多く、 その背信がはなはだしいからである。 第一歌「儲けることに凡てを賭けていた人が、何もかも失くしてしまったとき、思いのかぎり泣き悲しむあの状況へ、私に立ちむかう動いてやまぬ獣は私をおとしいれ、太陽のおしだまる森の闇へ私を後退りさせた」。 このようなたとえをひくダンテは、自身が運命を左右するほどの大きな事故にあった、と思われる。それがフィレンツェ永久追放かも知れない。 第一歌「低きへと道をよろめきくだるほかは無い私の眼の前に、卒然として人の姿が立った、久しくもの言わなかったゆえ声も枯れたかと思われる人の姿が」。 野獣の餌食となって堕ちてしまうほか無しと考えた刹那、詩人ビルジリオの霊と会話し、ダンテが彼に泣きつくと、彼は、聖母の承認のもと、地獄と煉獄そして天国への道案内を引き受ける。そして、まず地獄めぐりをする。ここでは、かの野獣の餌食となった者たちの死後の霊のしおきを見ていく。多くの霊の名前は当時の人々には分かっても、今の時代の者、とりわけ日本人には検討がつかない。そのため、訳本には、訳者による多くの注釈がなされている。 二人（死んだ詩人の霊と、生きている詩人の霊）は、ぐるぐると左方向に地の中を下りていき、各階に広がる奇怪な圏を進む。そこで、さまざまな責め苦の光景を眼にし、とりわけフィレンツェ出のトスカナ弁を話すものとの会話を試みる。 愛欲の罪とは 第五歌「私は知った、このような烈しい呵責が、理性を失い愛欲にふける、肉の罪人たちの行きつく果てであることを」。 第五歌『「読みもてゆくうちに、いくたびかふたりの眼は合い、顔は色変えました。しかし私たちをおとしたのは、ただ一つの刹那。すなわち、こがれてやまぬほほえみが、思うひとの口づけを受けたくだりを読んだとき、永久に私と離れないあのひとはうちふるえ、私の口を吸いました。その物語の書と、物語の作者は、げにガレオット。その日われらは、もうそれ以上読み進みませなんだ』一つの魂がこう語ったとき、相手の魂はいたく泣き、・・・」。 最初なぜこのような清純に見える愛を「愛欲」と呼ぶのか不思議だったが、注釈を読むと二人は不倫者として殺された者だと書いてあった。 ほぼ二十四時間で地獄（地底世界）を巡った二人は、地球の中心で逆転し、登りに登って地球の反対側に出た。ダンテは、野獣の餌食にならずにすむ道をたどり、地上に出た。そこは、第二巻、煉獄山のある島である。 第三十四歌「そしてそこからわれらは、再び仰ぎ見ようと外に出た、かの星々を」。 -------------笹倉正義のしおり------------- 聖書の引用は日本聖書協会発行の口語訳聖書です。 ヨハネによる福音書より抜粋 5-27そして子は人の子であるから、子にさばきを行う権威をお与えになった。5-28このことを驚くには及ばない。墓の中にいる者たちがみな神の子の声を聞き、5-29善をおこなった人々は、生命を受けるためによみがえり、悪をおこなった人々は、さばきを受けるためによみがえって、それぞれ出てくる時が来るであろう。

2015/10/8 オリジナル教会（初代代表）　笹倉正義
正式名称：（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会