５０章「モレル一家(いっか)」

4-50-6-41そして、いよいよ臨終が近づき、追っ付け永遠の生活に入りかけたとき、いわば墓の向こうからの光に心を照らされたものと見えまして、そのときまで、ただの推察にすぎなかったその考えが、父にとって、たちまち一つの確信と変りました。そして、最後の息をひき取りながら『マクシミリヤン、あれはエドモン・ダンテスだった！』と申しました」。

目次

（１）メレー町のエマニュエル宅 4-50-1-19マクシミリヤンは、自分で馬の手入れの監督をしながら、庭の入口で葉巻をふかしていた。そこへ伯爵の馬車がきてとまった。前にも言ったように、コクレスが出ていって扉を開けた。パティスタンは、馭者台から飛びおりて、こちらモンテ・クリスト伯爵だが、エルボー御夫妻、マクシミリヤン・モレルさまにお目にかかりたいと申し入れた。

（２）友の妹ジュリーと義弟の近況 4-50-2-12「お呼びになりましたか、ジュリーさま」と、爺さんが言った。「まいりましてございますが」。ペヌロンは、いまもまだ主人の娘のことをジュリーさまと呼びつづけていた。彼には、どうしても奥さまとは呼べなかった。「ペヌロン、」とジュリーは言った。「旦那さまのところへ行って、珍しいお客さまがいらしったとお知らせ申してきて。そのあいだに、お兄さまが客間にお通し申しておくことにするから」、こう言いながらモンテ・クリスト伯のほうをふり向いて、「あの、ちょっと失礼させていただきます」。

（３）モレル商会店じまいの経緯 4-50-3-15『ではこうしようじゃありませんか。もうすっかり入るものは入りましたし、手形のほうもすっかり払いがすみましたから、いまなら、この半月分の計算の下に線を引いて、勘定をしめてしまうこともできます。それをやってしまおうじゃありませんか？』。そして、すぐさまその言葉どおりにすることにしました。それは、午後の三時でしたが、三時十五分になると一人の顧客が見えまして、二艘の船に保険がつけたいとの申しこみでした。

（４）恩あるギヤマンの中身 4-50-4-23「なるほど、なかなかりっぱなダイヤモンドですな」と、モンテ・クリスト伯が言った。「ですが、たといそれが十万フランいたしましても、兄は、そのダイヤモンドの価値のことを申しあげているのではございません。その財布のなかにはいっているものが、さっきお話し申しあげました天使のお形見だということを申しあげたかったのでございます」。

（５）ペヌロンがトリエストで見かけた人物 4-50-5-13ペヌロンが、トリエストにおりましたとき、波止場で一人のイギリス人が、ヨットに乗って出かけようとするのを見かけたのでございます。そして、それが、あの１８２９年６月５日に父のところへ見えた方、９月５日にこの手紙をわたくしのところにおよこしになった方にちがいないと申しておりました。

（６）あれはエドモン・ダンテスだった！ 7-50-6-34モンテ・クリスト伯は身をふるわした。「あの、お父さまがおっしゃった？・・・・あのモレルさんが・・・・」と、伯爵は勢いこんで言った。「父は、ああしたことを奇蹟だと申しておりました。7父は、あの恩人が、わたしたちのために墓の中から出てきてくれたのだと思いこんでおりました。ああ、あなた、それはなんともいじらしい迷信でした。

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ページ制作者：（ささくら宗）聖母マリヤ福音教会
通称「オリジナル教会」　初代代表者　笹倉正義
この本は、ささくら修道会の必読書
2016/5/8、2017/9/17-18