６章「検事(けんじ)代理(だいり)」

ナポレオンに対してサン・メラン公爵夫人は「ロベスピエール」という名前を挙げた。そこで両者が与えた「平等」について、ビルフォールが持論を展開した。ところで、このロベスピエールのファーストネームは「マクシミリアン」であり、公爵令嬢ルネの娘の名とともに、この物語の展開上、重要な名前になる。

目次

６（１）サン・メラン公爵　1-6-1-25わたくしたちのほんとうの王さまがルイ・ル・ビアン・ネメだっていうことがわかるでしょうよ。それと反対に、あの人たちのは、ナポレオン・ル・モディに過ぎなかったというわけですから。そうでしょう、ビルフォールさん？」。「え？・・・・ごめんください、じつはお話しをはっきり伺っていなかったので」。「そっとしてやっておおきなさるがよろしいですぞ」と、杯を挙げた老人が言った。

６（２）平等の高低感覚　1-6-2-16一人が王さまたちを断頭台にまで引きおろしたのに反して、ほかの一人は、平民を王位と同じ高さにまで引きあげました。と、申したところで、」とビルフォールは笑いながらつけ加えた。「二人が卑しむべき革命家でなかったと申すわけではありません。

６（３）王党ド・ビルフォール　1-6-3-22ところで今後、将来のことについては、どうかしっかりしてくださらなければ。ビルフォールさん、お忘れになってはこまりますよ。わたくしたちは、王さまにたいして、あなたのことを責任をもつと申しあげておいたんですから。5そして王さまも、わたくしたちの口添えをお聞きになっていまわたくしが、あなたからのお頼みどおり忘れてあげたのとおなじように、すっかり忘れてくださいました。

６（４）話題セント・ヘレナ　1-6-4-30サルビユ伯の息女であり、サン・メラン嬢の友だちだった。「わたくしたちがマルセイユにいるうちに、なにかすばらしい裁判をなさいませんこと？わたくし、まだ重罪裁判というものを見ていませんの。ずいぶんおもしろいって話ですわね」。「なるほどずいぶんおもしろいといえましょうな」と、検事は言った。

６（５）サン・メラン嬢ルネ　1-6-5-34なぜかと言えば、王さまは国民の父ですから。王さまをひっくり返そうとしたり殺そうとしたりするというのは、とりもなおさず三千二百万の人を殺すことになるのですから」。「おお、そんなことはどちらでもけっこう、ビルフォールさん、」と、ルネが言った。「あなた、わたくしのお願いする人たちについては寛大にするってお約束してくださいまして？」。「御安心ください」と、ビルフォールは、このうえなく優しい微笑をみせながら言った。「論告は、二人で作ることにしましょうよ」。

６（６）絶対自分の時間　1-6-6-24ジロンド党員の御子息と、コンデの軍隊の武官の御令嬢との、このふう変わりな御縁のことについてちょっと聞かれたものですから。大臣はよくわかってくださいましたよ。つまり、こうした融合政策こそ、ルイ十八世の御政策というわけですから。ところが、わたしたちがまったく気のつかないでいるうちに、その話をすっかりお聞きとりになった王さまは、わたしたちの話に割ってはいって、こういうふうにおっしゃいました。

６（７）披露された告訴状　1-6-7-19「行ってらっしゃい」と、侯爵夫人が言った。「王さまのためのお務めが待っているとき、ここにいらしって御奉公をお欠きになってはいけませんから。さあ、王さまのためのお務めにいらしって」。「ビルフォールさん、」と、ルネは両手を組みながら言った。「寛大にしてあげてちょうだい。今日はわたしたちの許婚式の日なんですもの」。

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引用者：2016/6/6　（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会
通称「オリジナル教会」　初代代表者　笹倉正義
ささくら修道会