３章「カタロニヤ村の人々」

ダングラール、カドルッス、フェルナン、エドモン、メルセデス、役者はそろった。エドモンはパリに手紙を届けてくるだけだと軽く言ったが、その手紙こそ災いの元だと知る由もない。

目次

３（１）若い男女の会話　1-3-1-7そして三月の後には、これらの海のボヘミアンたちを運んできた十二隻乃至十五隻の船を中心として、そこに一つの小さな村が建てられた。アラビヤ風とスペイン風が半々の、不思議な、美しい建て方のその村こそは、今日それらの人々の子孫が現に住まっているところのものなので、住民は祖父の言語をそのまま語りついでいた。

３（２）若者の心中と少女の決意　1-3-2-58「あたし、エドモン・ダンテスさんが好き」と、少女はキッパリ言いきった。「エドモン以外の人だったら、夫にしたくないと思うの」。「では、いつまでもあの男が好きでいるのか？」。「命のあるかぎり」。フェルナンは打ちのめされたように頭を垂れ、うめくような溜息をついた。

３（３）三角な恋感情　1-3-3-16たちまちエドモンには、暗いところに浮きあがっている、フェルナンの青ざめた、おびやかすような、陰気な顔が目にはいった。フェルナンは、思わず手を腰に帯びた短刀の上に置いていた。「やあ、失礼」と、ダンテスのほうでも、眉をよせながらこう言った。9「三人とは思わなかった」。

３（４）フェルナンと二匹の狐　1-3-4-48「メルセデスは誰のものでもないんです。だから、あの女が、誰でも自分の好きな男を愛したっていいわけでしょう」。「なるほど、そんなふうに考えているなら、それならそれで話はべつさ！」と、カドルッスが言った。

３（５）ダングラールの思惑　1-3-5-21「それは、ダンテスがファラオン号の船長になるのと同じくらいにたしかなことさ。なあ、ダングラール？」。ダングラールは、思いもかけずこう呼びかけられて飛びあがった。4そして、カドルッスのほうをふり向くと、わざと巧（たくら）んでそんなことを言ったのかと、相手の顔をうかがった。だが、すでに大分酔いのまわっている顔の上には、羨ましそうなようすだけしか読みとれなかった。

３（６）パリに届け物　1-3-6-49「わかっているとも」と、ダングラールは高い声で言った。それから低く、「パリへ行って、大元帥（だいげんすい）からの手紙を宛名の人に届けるってわけだな。ふん！その手紙で思いついた。名案が浮かんだぞ！

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引用者：2016/5/20　（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会
通称「オリジナル教会」　初代代表者　笹倉正義