（１）イエス誕生から十二歳まで

（１）イエスさま誕生(たんじょう)から十二歳まで
ルカによる福音書

「ルカによる報告書」の第一部は、「イエスさまの生（お）い立ち」です。主人（しゅじん）テオピロが最も知りたがっていたことの一つです。主人は軍人でしたから、報告書は簡潔にして、証拠のある事実に基づいていなければなりません。ルカの著した文章には、彼の卓越した実務力が光ります。ユダヤ教の聖典でもある旧約聖書には、キリスト誕生のイメージがこのように書かれていました。イエスさまがお生まれになる400年以上も前のことです。

（イザヤ書）7-14見よ、おとめがみごもって男の子を産む。その名はインマヌエルととなえられる。
（イザヤ書）9-1異邦人のガリラヤに光栄を与えられる。9-2暗やみの中に歩んでいた民は大いなる光を見た。暗黒の地に住んでいた人々の上に光が照った。
（イザヤ書）9-6ひとりのみどりごがわれわれにために生まれた、ひとりの男の子がわれわれに与えられた。
（イザヤ書）40-3呼ばわる者の声がする、「荒野に主の道を備え、さばくに、われわれの神のために、大路をまっすぐにせよ」。

目次

1	1-1-4	（１）序文、テオピロ閣下への献呈の辞ルカは密命を帯び、この報告書を作成した。テオピロはカペナウムの百卒長であり、ルカはその僕（しもべ）。彼の主人はイエスにほめられた異邦人。
2	1-5-25	（２）老ザカリヤ、御使から妻エリザベツの妊娠がザカリヤは妻と同様アロン家の一族であろうか大祭司の要職にある。彼も妻も老人であり、後を継ぐべき男の子がなかった。その彼は御使の言葉を疑った。
3	1-26-56	（３）御使と少女マリヤ、マリヤとエリザベツマリヤとアロン家の娘の一人であるエリザベツとは親戚である。妊娠可能な女性としては、彼女たちは範囲外だった。エリザベツは老年であり、マリヤは12歳ぐらいの少女だったから。
4	1-57-80	（４）洗礼者ヨハネの誕生エリザベツはなぜ生まれでた子に、ザカリヤ家ゆかりの名前にしなかったのか。ザカリヤはなぜ生まれでた子を見て賛歌を口にしたのか。なぜ幼子は家業を継がずに荒野にいなければならなかったのか。
5	2-1-21	（５）イエス・キリストの誕生季節は夏であろう。天の異象と「声」を聞いた野宿の羊飼いたち。信仰深い彼らは、エルサレムにやてきて、「飼い葉おけ」をキーワードに幼子をみつけ、神をほめたたえた。（１）マリヤは羊飼いたちの言葉を心にとめた。
6	2-22-40	（６）エルサレム神殿詣でイエスが生まれてから33日後、一家はベツレヘムを発ってエルサレムの神殿に入った。律法に書いてある神事をこなすためだった。その神殿で、シメオン老の賛歌と、老女アンナの預言があった。（２）マリヤは二人のことを心にとめた。 2-40幼な子は、ますます成長して強くなり、知恵に満ち、そして神の恵みがその上にあった。
7	2-41-52	（７）１２歳のイエスが「父の家」で過越の祭は、新年の１４日に、エルサレムの神殿で行われるユダヤ人の大祭である。この「新年の１４日の月」は満月である。その帰り、ヨセフとマリヤはイエスがいないことに気づき、引き返しながら捜し続けた・・・。（３）母はこれらの事をみな心に留めていた。 2-52イエスはますます知恵が加わり、背たけも伸び、そして神と人から愛された。

マリヤは心にとめていたと、３回も書いてある。ルカはそれらをマリヤから聞き、順序正しく、簡潔に書いたのだった。イエスの成長については、(2-40)と(2-52)のそれぞれ一行ずつで充分と思われた。

（解説）（１）新約聖書の四つの福音書のうち、これはテオピロ閣下への報告書になっています。福音書として完成したのは、ルカの書いた時よりもずっと年月がたってからで、その後の大事件がイエスの言葉に影を落としています。つまり、「よい知らせが」その分、暗くなっています。テオピロ閣下とイエスさまは何か係わりがあるのか、なければこの文書に値打ちはありません。あなたは、「イエスさまの死の意味を知りたい」と願ったテオピロ閣下になったつもりで、この文書を読まねばなりません。そうすれば、テオピロが誰だかわかります。（２）イエスさまのご誕生のしだいは、聖母マリヤを軸に書かれています。マリヤさまとエリザベツの関係が書かれていて、洗礼者ヨハネとイエスは縁続きであることが分かります。ルカは、ヨセフの本籍がベツレヘムであるほかは、ダビデ王の末裔であることを重視してはいません。家系がダビデの子のうち、ソロモンではなく、ナタンとなっていることからも「マタイによる福音書」とは異なります。（３）マリヤさまが処女のまま妊娠したと書いてあるのですが、それはルカがマリヤさまから直接聞いたことのあかしです。ギリシャ神話には、ゼウスが色々な動物に変身し、処女を犯して子を産ませるエピソードがあります。もし、ルカがイエスの誕生物語にそのような神話をアレンジしたのだとしたら、ルカのテオピロにたいする忠誠はありません。ルカとテオピロの信仰的関係も崩れ去ってしまいます。これを読むあなたにも、テオピロと同様に、ルカを信じる信仰が必要です。（４）ユダヤ人は十三歳が成人なので、一歩手前の十二歳という年齢に意味があります。

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ページ制作者：ささくらまさよしささくら修道会（ささくら宗）聖母マリヤ福音教会：オリジナル教会 2011/5/4、2019/1/19、20、26、2/5