(9・6)GM氏との夕食会、その段取りの首尾やいかに

「騎士グリュウとマノン・レスコーの物語」

第一部

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9-6-1なお、彼女は旦那から二百ピストールをすでにもらってい、今夜は真珠の美しい首飾りや宝石類のほかに、約束の扶助金の半額を持ってくるということだった。9-6-2「あの人から贈物を受取るだけの余裕はくださるわね」彼女は言った。9-6-3「あたし、誓って言うけれど、あの人はあたしを手に入れたなどといって自慢するにはまだ早すぎるのよ。9-6-4だって、パリへ帰ってからということにして、今までおあずけにしておいたんだもの。9-6-5それは接吻なら、あたしの手へ百万べん以上もしたことよ。9-6-6この楽しみ料だけでもお金を払うのはあたりまえだわ。9-6-7そして、あの財産やお年から割り出して、五千フランや六千フランなら、ちっとも多すぎなんかしないわ」 9-6-8この決心は、金が五千フランはいることよりいっそううれしかった。9-6-9私の心は卑劣行為からまぬかれたことをこのように満足しているのだから、それはまだ名誉心を全部は失っていない証拠と見ることができた。9-6-10しかし、私は短い快楽を味わい、長い苦難をなめるように生まれついていた。9-6-11運命が私を一つの絶壁から救うのは、他の絶壁につき落すためにすぎなかった。 9-6-12彼女の心機一転が私にはどんなにうれしかったか、マノンをはげしい愛撫でつつみながら、その気持ちを示してから、私はレスコー君にも知らせる必要があると彼女に言ったのだった。9-6-13私たちの出方が一致を欠いてはいけないからだった。 9-6-14最初、彼はぶつぶつ不平を言っていたが、四、五千フランの金が現金ではいるとなれば、たちまち気をよくして私たちの方針に従ってきた。9-6-15そこで、私たちはみんなでいっしょにG・・・・・M・・・・・氏と夕食を共にするということにした。 9-6-16それには二つの理由があった。9-6-17その一つは、私をマノンの弟である学生というふれこみで、愉快な芝居を打って興じようというのであった。 9-6-18もう一つの理由は、この助平じいさんが、こんなに気前よく前払いしたのをかさにきて、私の情人にふざけたまねなどするのを防ぐためだった。9-6-19老人が一夜を明かすつもりで、二階の寝室に上がっていくとき、私とレスコーは引きさがるだんどりだった。9-6-20そして、マノンは老人のあとから上がっていくかわりに、食堂を出て、私と一夜を明かしにくると約束した。9-6-21レスコーはその時刻に戸口へ馬車を用意しておくことを引受けた。 9-6-22夕食の時が来た。G・・・・・M・・・・・氏は長くは待たせなかった。9-6-23レスコーは妹と食堂にいた。9-6-24老人の最初の挨拶は彼の美しい持ちものに、首飾りや、腕輪や、真珠の下げ飾りなど、少なく見積っても千エキュはするものを提供することだった。9-6-25ついで、扶助金の半額である二千四百フランを美しいルイ金貨で支払った。9-6-26老人はこれらの贈物に味をつけようと、昔の宮廷好みの甘い言葉をふんだんに使った。 9-6-27マノンはいくつかの接吻を拒むわけにはいかなかった。9-6-28この接吻は老人にとって、マノンが自分の手に渡された金額から得る権利と同等のものだった。9-6-29私はドアのそばで聞き耳をたてながら、はいれというレスコーの合図を待っていた。9-6-30マノンが金と宝石をしまいこんだと見るや、さっそく、レスコーが私を連れにきた。9-6-31そして、G・・・・・M・・・・・氏のほうへ私を引っぱっていくと、挨拶するようにと命じた。 9-6-32私は最も丁重なところを二つ三つ試みた。9-6-33「ご免くださいまし、旦那」とレスコーは言った。9-6-34「からきしまだ子どもだものですから仕方ありませんや。9-6-35それに、ごらんのとおり、パリふうにはまるでなじんでいませんで。9-6-36まあ、見よう見まねで、おいおいと慣れてくるとは思っています。9-6-37これから、おまえはしょっちゅうここで旦那にお目にかかるのだから」と、彼は私のほうに向きながら、つけ加えた。9-6-38「立派なお手本を習うようにするのだぞ」

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オリジナル教会の権能：「あなたの思うがままに作成してよい」 ページ制作者　（ささくら宗）聖母マリヤ福音教会代表　笹倉正義 2020/6/15

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