(7・1)パリ郊外のシャイヨーにて将来設計

「騎士グリュウとマノン・レスコーの物語」

第一部

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7-1-1私たちはパリからあまり遠くないシャイヨー（訳注　アベ・プレヴォー自身もここに住んでいたことがあった）を選んだ。7-1-2彼女はその足で自分の家へ引返し、私はチュイルリ御苑の小さな門のところで待つことにした。7-1-3一時間後に、貸し馬車に乗って彼女は来た。7-1-4ふだん使っていた少女を連れていた。7-1-5衣装や貴重品のつまっている行李（こうり）もいくつかあった。7-1-6私たちはシャイヨーに着くのに手間どらなかった。 7-1-7その晩は宿屋に泊った。7-1-8一戸建ての家なり、都合のいいアパートなりをゆっくり捜すためだった。7-1-9その翌日、私たちの趣味にかなった家を見つけた。7-1-10私の幸福はまず揺るぎなくうちたてられたように思われた。 7-1-11マノンは優しさそのものであり、親切そのものであった。7-1-12なんにつけ細やかに心をつかってくれるので、私の過去の苦痛も完全すぎるほど償われたと思われた。7-1-13私たちはふたりとも多少の経験を積んでいたので、自分たちの財産の維持について研究した。 7-1-14私たちの財産の基本をなしている六万フランは、長く暮らしていくのに足りるだけの金額ではなかった。7-1-15そのうえ、私たちは出費を過度にきりつめるようにはできていなかった。7-1-16マノンの第一の美徳は、私もそれに劣るものではないが、節約ではなかった。 7-1-17私のもち出した案はこうだった。7-1-18「六万フランあれば、ぼくたちは十年間は食っていけるだろうと思うね」私は言った。7-1-19「もしこのままシャイヨーで生活すれば、年に二千エキュ（１エキュは３フラン銀貨なので、6000フラン）で十分だろう。7-1-20まあ、ここでは体面をくずさない程度で、質素な生活をしよう。 7-1-21ぼくたちで金のかかることといえば、馬車をかかえることと、芝居をみることだが、それもよほど用心しよう。7-1-22きみはオペラ座が好きだから、これは週に二度行くことにしよう。7-1-23遊びのほうは、十分きりつめて、ニピストールを超えないようにするんだね。 7-1-24十年のあいだに、ぼくの郷里の家に変化がないということはありえない。7-1-25父は年とっている。7-1-26死なないともかぎらない。7-1-27そうなれば、財産にありつける。7-1-28ぼくたちはなんの心配もなしで暮せるというものだ」7-1-29この手はずだって、もし私たちが十分賢明に守りとおすことができたら、生涯における最も愚かな行為にはならなかったろう。 7-1-30しかし、私たちの決心はものの一月とはつづかなかった。

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オリジナル教会の権能：「あなたの思うがままに作成してよい」 ページ制作者　（ささくら宗）聖母マリヤ福音教会代表　笹倉正義 2020/6/11

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