(11・1)面会者レスコー君との密談、脱走第2段階

「騎士グリュウとマノン・レスコーの物語」

第一部

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11-1-1その翌日、彼は私に面会に来た。11-1-2そして、兄の名をかたって上首尾に難関を突破した。11-1-3彼を自分の部屋で見たときの私の喜びは非常なものだった。11-1-4私は念入りにドアをしめた。11-1-5「さて、さっそくだが」私はきり出した。 11-1-6「まず、マノンの消息を聞かせてくれ。11-1-7つぎに、ぼくの鉄鎖をはずすいい知恵をかしてくれ」11-1-8彼の言明するところによれば、私が投獄される前の日から妹には会っていなかったので、いろいろと問い合せたり、手をまわしたりしたあげく、やっと彼女と私の身のうえを知り、ニ、三度、オピタルに出頭してみたが、彼女と話す自由は得られなかったのだという。 11-1-9「G・・・・・M・・・・・の畜生、ひどいことをしやかったな！」私は叫んだ。11-1-10「あんたを助け出すことだが」レスコーはつづけた。11-1-11「これはあんたが考えているほど生やさしい仕事じゃないな。11-1-12ゆうべも、おれは仲間ふたりとこの建物の外まわりを調べたところ、あんたも知らせてくれたように、あんたの窓は、建物に囲まれた中庭に面しているものだから、そこから出すのはすこし面倒だということがわかったね。11-1-13それに四階ときているんで、縄も梯子もこっそり持ちこむというわけにはいきませんわい。11-1-14だから、外部からの手段はまるっきりないと思うよりほかはない。11-1-15何か策を考えるとすれば、それはどうしても家の中だね」 11-1-16「そうじゃないんだ」私は語をついだ。11-1-17「ぼくはよく調べたんだ。11-1-18ことに院長の好意で、すこし大目に見てもらえるようになってからはね。11-1-19ぼくの部屋のドアはもう鍵をかけなくなったし、修道士たちの廊下を歩いても平気なんだ。11-1-20ただ、階段だけは昼も夜もしめきりの厚い戸で遮断されている。11-1-21だから、どんなことしたって逃げられっこないようにできている。11-1-22だが、ちょっと待ちたまえ」と私は、どうやらすばらしい一つの着想をしばらく練ったあとで、ふたたび言った。 11-1-23「きみはピストルを持ってきてくれられるかね？」11-1-24「それはお安いご用」レスコーは言った。11-1-25「だが、だれをやるつもり？」11-1-26私は人を殺そうなどという量見は毛頭ないから、ピストルに弾丸をこめておく必要はないと断言した。11-1-27「それなら、あすとどけてくれたまえ」私は言った。11-1-28「そして、晩の十一時には、この家の門の前にまちがいなくいてくれるんだよ、われわれの仲間をニ、三人連れてきてね。11-1-29ぼくはきみたちに合流できると思っている」 11-1-30彼はもっと詳しく教えてもらうことをせがんだがむだだった。11-1-31私の考えているような計画は成功したあとでなければ合理的に思えないからだと私は言った。11-1-32そしてきょうの訪問を早くきりあげることを希望したのも、あすはもっと楽に会えるようにするためだった。11-1-33で、つぎの日も前回同様に造作なく通してもらえた。11-1-34いかにもものものしい格好をしていたので、彼をれっきとした紳士だと思わない者はだれひとりなかった。

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オリジナル教会の権能：「あなたの思うがままに作成してよい」 ページ制作者　（ささくら宗）聖母マリヤ福音教会代表　笹倉正義 2020/6/16

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