アンテオケのパウロ

「アンテオケの想像図・地図」

パウロの活動のほとんどは「使徒行伝」の後半に集中するので、キリスト教の創設者はパウロだと錯覚してしまう。だが、パウロが伝道したのはアジア諸都市のユダヤ人居住区のいわゆる「離散のユダヤ人」に対してである。彼はもともと律法学者であったから、「律法」を自分たちのアイデンティティとするユダヤ人にこそ大祭司なるイエス・キリストを伝えたかったのである。だが彼は「割礼廃止」にこだわったため、ユダヤ人たちから異端視され、命を狙われることになった。

彼はアンテオケを起点としたアジアでの伝道に飽きてローマ伝道を思い立った。しかし彼は「栄えあるローマ行き」の出発点はエルサレムでなければならないと考えた。そしてそれにこだわった挙句(あげく)、エルサレムでの騒動の原因となってしまった。 エルサレム教会は「迷惑」な彼を援(たす)けなかった。その時パウロはまだギリシャで集めた献金をエルサレム教会に渡さず持っていたのだった。カイザリヤの総督ペリクスが「パウロから金をもらいたい下ごころがあった」のはパウロの持っていた莫大な献金のことなのである。その後、ユダヤ人がエルサレムでのパウロの裁判を執拗に総督に迫るので、身の危険を感じたパウロは「ローマの市民権」を使って皇帝への上訴の道を選んだ。「栄えある」はずのローマは「囚人という恥辱」で汚(けが)されてしまった。そして、ローマでも彼は自分金で借りた「幽閉」のための借家にユダヤ人をイエス・キリストを説いたが、拒否されてしまう。「使徒行伝」はパウロの二年間の穏(おだ)やかな幽閉生活で終わっている。 眼病を患(わず)っていたパウロがこの後(のち)伝道旅行にスペインまでもでかけたなどはおよそあり得ないのである。彼は失明した可能性の方が大きい。彼の世話をしていたのはローマ教会であろうと思うのである。

パウロのローマ入城の10年ほど前に、ローマには十字架の模型を掲げ、女たちがタンバリンを鳴らし、踊りながら賑やかに城壁の門をくぐっていた。そしてまずクレオパの知人たちの邸宅から伝道が開始された。その集会には「式」の体裁があって、司会者がいて、賛美があり、「ルカによる福音書(原本)」が読まれ、ユダヤ人の漁師や女性たちが「証言」した。それはギリシャ語とラテン語に通訳された。

その集会の目的こそは、集(つど)い話を聞く人々から、「狂気と言う名の罪」を除くことであった。各自が思い思いに自分の「罪」をイメージされたイエスの杯(さかずき)に注ぎ入れ、目を転じて十字架のイエスを仰ぎ見たのである。そして多くの聴衆の「罪」が消されたのである。そして司会者が超え高く叫んだ、「子よ、あなたの罪はゆるされた」。集会が終わると、心の「わだかまり」がすっきりと解消した人々が家路についた。ローマ教会の揺籃(ようらん)期である。2022/10/29

2020年の知見

パウロはバルナバに招かれてアンテオケに来たものの驚いた。そこは異邦人の屋敷だったのである。そこでは主人の知人や町の有力者が招かれて集会があり、イエスの物語がギリシャ語で読まれ、女たちのアラム語の話がギリシャ語に通訳されていた。女たちは見たことの証言をしていたのである。それは、イエスの誕生が処女受胎だったこと、苦杯と十字架、復活、昇天、使徒や弟子たちへの聖霊降臨などであった。 パウロは仰天した。ユダヤ人の至宝であるべきはずの話を異邦人が聞き、それが彼らの心の奥深くを揺さぶらずにはおかず、生活態度が一変していくことであった。 パウロはユダヤ人居住区に出かけ、女たちとは格の違う、深い律法知識から、イエス・キリストを描き出して、ユダヤ人に語ったのである。パウロとバルナバの伝道先は、各地域のユダヤ人居住区だったのである。ユダヤ人は、異邦人の地には一人では住まず、ユダヤ人の区域を形成して住んだのである。 パウロの書簡は、ローマ帝国の諸都市にあるユダヤ人居住区の人々、キリスト教信者に宛てたものである。そのため、彼らは同じユダヤ人から責められ、迫害を受けることになるのである。 異邦人あるいはギリシャ人と呼ばれた、ユダヤ人でない人々がイエスをキリストと信じても、それをユダヤ人がとがめる謂(いわ)れはまったくなかったのである。弟子たちがクリスチャンと呼ばれたのは、むしろ異邦人信者なのである。 ギリシャの薫り高い、肉体美と官能の都に、驚くべき精神的変化がもたらされたからである。その「驚異」に与えられた称号が「クリスチャン」だったのである。

「使徒行伝」11章 11-25そこでバルナバはサウロを捜しにタルソへ出かけて行き、11-26彼を見つけたうえ、アンテオケに連れて帰った。ふたりは、まる一年、ともどもに教会で集まりをし、大ぜいの人々を教えた。このアンテオケで初めて、弟子たちがクリスチャンと呼ばれるようになった。 話が集約されすぎているのである。

戻る

新約聖書目次

オリジナル教会の権能：「あなたの思うがままに作成してよい」 ページ制作者　（ささくら宗）聖母マリヤ福音教会代表　笹倉正義 2020/9/29、10/12 2022/10/29

（ささくら修道会規約）当会の用いる聖書は、口語訳聖書、文語体聖書、バルバロ聖書差分の３つに限定する。これ以外の、聖書の引用は異端行為として厳禁される。日本語以外の聖書については、文語体聖書の内容に準じるものとする。異端文例（Today's English Version)世事に迎合した改編文章など異端以外の何ものでもない。（異端：=故意に対立すること）

ささくら修道会の指定聖書：「日本聖書協会　口語訳聖書」に準拠 新約聖書（１９５４年改訳） 旧約聖書（１９５５年改訳） バルバロ聖書（旧約差分）

いろいろ聖書　　ささくら宗の聖書