４３章「オートイユの家(いえ)」

家令のベルツッチオがなぜオートイユの別荘に恐怖するのか、そのわけをモンテ・クリスト伯は知っていた。モンテ・クリスト伯とりもなおさずブゾーニ司祭は、ベルツッチオからビルフォール殺害の懺悔を聞いていたのだから。しかし今、エドモン・ダンテスは、その事件現場に立って、改めてその事件の詳細を聞こうというわけだった。ベルツッチオの話は、恐るべきビルフォールの秘密をも暴くことになるのだった。復讐のターゲットの一人、復讐に効果的な弱点を持つビルフォールが、彼の視界に入るのだ。

目次

（１）オートイユの別荘の門番 3-43-1-38「ところで、前の御主人は、なんとおっしゃる方なんだね？」と、モンテ・クリスト伯はたずねた。「ド・サン・メラン侯爵」さまとおっしゃいました。ずいぶんお金をおかけでしたが、それだけには売れなかったことでございましょう」。「サン・メラン侯爵！」とモンテ・クリスト伯はつぶやいた。

（２）ベルツッチオの抵抗 3-43-2-39ところが、これではまるで、オートィユには人殺しのあった家以外、家がないとでもいったようでございます！」。「これこれ！」と、モンテ・クリスト伯は、突然、足を止めながら、「厭なことを言い出すじゃないか！困った男だな！コルシカ根性がぬけないと見えるな！神がかりや、迷信じみたことばかりだ！さあ、この明りを持ってもらおう。そして、庭へ出て見よう。わたしがいたら、べつに怖くもなかろうじゃないか」。

（３）そこにあの人が倒れて 3-43-3-23なるほど荒れてはいる。だからと言って、有りもしないでたらめは言わずにほしいな」。「旦那さま、そこにおいでになってはいけません！そこにおいでになってはいけません、おねがいでございます」。「どうやら気でもちがったと見える、ベルツッチオ」と、伯爵は冷（ひや）やかに言ってのけた。

（４）家令の紹介者はブゾーニ司祭 3-43-4-1モンテ・クリスト伯は、ローマで、アンドレアの死刑をみていたときとおなじ眼差しで、じっと彼を見つめていた。そして、哀れな家令の全身を、さらにふるえ上がらせるような声で言った。では、１８２９年に、フランスの旅からお帰りだったブゾーニ司祭は、お前のいいところを褒めた紹介状をつけてお前をわたしのところにおよこしだったが、してみると、司祭はわたしをお騙しになったというわけだな。

（５）家令の秘密はビルフォール 3-43-5-19「おお、旦那さま、旦那さま！」、家令は、このおどし文句をきいてふるえ上がった。「申しあげさえすれば置いてくださるということでしたら、すっかりお話し申しましょう。あらいざらい申しあげてしまいましょう。それでも出て行けとおっしゃいますなら、それは、刑場へ引かれていくときでございます」。「そう出てくれば話しは別さ」と、モンテ・クリスト伯は言った。

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ページ制作者：（ささくら宗）聖母マリヤ福音教会
通称「オリジナル教会」　初代代表者　笹倉正義
オリジナル教会・ささくら修道会・必読書
2017/7/17