１０章「テュイルリー宮殿の書斎(しょさい)」

ルイ十八世は、警視総監の情報を得て、ナポレオンの動向には楽観的だった。自分に直接会える侯爵がやってきたが、予想されるその話をすぐには聞こうとしなかった。しかし、彼が待たせている、マルセイユからやってきた男の名前が、「ビルフォール」だと聞いた時、王の態度は改まった。

目次

１０（１）ルイ十八世と廷臣　1-10-1-4珍重されているわりにかなり不精）確かなグリフィウス版で、陛下の話に出てくるちょっと気のきいた言語上の機知は、多くこれからの引用なのだった。「なんとか言われたな？」と、王は言った。「どうも心配なのでございます、陛下」。

１０（２）警視総監の情報　1-10-2-32あるときはさめざめと涙を流す、かと思うとあるときは大声をあげて笑いこける。また別なときには、海岸に出て海の中に石を投げて時を過しますが、石が五つ六つ水を切りますと、またもやマレンゴの戦いやオーステルリッツの戦いに勝ちでもしたように、とても得意がります。

１０（３）テレグラフの時代　1-10-3-56「ビルフォール？」と、王は叫んだ。「使いの者の名はビルフォールというのか？」。「さようでございます」。「その男がマルセイユからきたのだな？」。「自身やってまいりました」。「すぐに名を言ってくれればよかったのに！」と、王は、面上にいささか不安の色をただよわせながら言った。

１０（４）ノワルティエの息子　1-10-4-28だが侯爵は『王さまの御意』という鶴の一声であらゆる難関を切り抜けた。そして、規律にたいして忠実から、式部官がなおも何かと世話をやこうとするのを尻目にかけて、ビルフォールは王宮のなかに招じ入れられた。

１０（５）王宮の楽観　1-10-5-25というのは、このわたしは、つい近ごろ祖先から譲られた王位についたばかりなので、過去、現在、未来にわたってしっかり目をあけているのだから。この十月以来、大臣たちは、地中海の沿岸地方の監視）を厳にするため、監督の手を倍にした。

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引用者：2016/6/19　（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会
通称「オリジナル教会」　初代代表者　笹倉正義
ささくら修道会