キリスト教の説明書制作に着手してから6年目に入るにあたって、キリスト教はどのように始まったのかを、新約聖書から読みとけるようになった。 1.カペナウムの主従、テオピロの命を受けたルカが、ルサレムに赴き、イエスの母や関係者から聞き書きをした。イエスの出生については、ユダの山里とベツレヘムにも行き、村人からもヒアリングをした。聞き書きを順序正しく書きなおして、テオピロへの報告書とした。テオピロは匿名、ルカももちろん匿名だったが、その後、この名前が正式な名前になった。テオピロはこの名前で彼にローマの市民権を買い与えたのだった。 2.テオピロの邸宅はアンテオケにあった。アンテオケはローマの高官やヘロデの邸宅があった。テオピロの屋敷でルカ書の朗読会があった。ギリシャ人すなわちユダヤ人でない人たちが参加し、多くの人が心を打たれ、信じた。集会に参加した人々のほとんどに、目に見える変化が現れた。すなわち、彼らは言動において柔和になり、不満と怒りが消えのだった。 3.この情報は現地のユダヤ人からエルサレムにも伝えられた。エルサレムからバルナバが様子を見に来た。バルナバは、彼ら異邦人が新しい神を見ていることに新鮮な驚きを覚えた。 4.バルナバは、パウロが近くの町タルソの実家にいると聞いて、招聘に出かけた。パウロは、異邦人の上に輝く新しい神に、神学をもって答えるだろう。 5.パウロとバルナバは、新しい神と新しい信徒に、ユダヤ人の会堂ではない、新しい神の家を建てようとした。その最初の家のために、テオピロの邸宅が提供されたのは言うまでもない。 6.このアンテオケで、ユダヤの民族神エホバが、すべての人民の父なる神となられて、最初のクリスチャンが誕生した。それは肉(俗界)の神ではなく、霊(聖界)の神であった。俗界の民族性と、聖界の普遍性を理解したのは、肉をはなれ栄光のイエスと出会い、回心を経験したパウロだけだった。他の弟子たちの神の国は、俗界の域を出ず、ユダヤ教のへその緒を切ることができなかった。 7.そなためパウロは、石頭のユダヤ教徒に責められ、イエスの弟子たちからも距離を置かれて、宣教の先々での苦難がはじまる。ユダヤ人は、ローマ帝国の町々にいたからである。 8.「キリスト教」に神学(成り立ちの正統性)を与えることができる者、それはパウロをおいて他にはいない、とルカは思った。ルカは、パウロがアンテオケで書いたおそらく最初の文書、ギリシャ語で書かれた「ヘブル人への手紙」を読んだルカの直感だった。 9.そしてルカは、機会あるごとにパウロに同行した。そして、彼の手紙をコピーしたのである。それは、ユダヤ人とって聖書が至宝であるように、キリスト教にとっての至宝にならねばならなかった。 10.カイザリヤの獄でパウロは二年間を浪費した。この時、パウロはギリシャ地方で集めた献金を持っていた。エルサレムで教会に渡す前に、騒動に巻き込まれてしまったからだった。この金がパウロにとって良かったのかどうかはわからない。パウロは軟禁状態で、わりと自由であったが、ユダヤ人の刺客を恐れたし、エルサレム教会も知らんふりをしていた。パウロの獄中の手紙というのは、このカイザリヤで書いた書簡で、ペテロを中傷したものもある。キリスト教を民族教に留めようとするエルサレム教会への当てこすりとも見える。パウロは、突如、ローマ皇帝への上訴を申し出て、予定とはちがった形でローマ入りを果たした。 11.ローマでのパウロは、手紙を書くことは認められなかったが、おだやかな日々を送った。そして口頭伝道、特に、同族への伝道の難しさをこぼしている。それでもローマの奴隷社会には、新しい愛の神の教えが浸透していった。それは一神教というのではなくて、信じる者が誰でも入れる神の国、普遍的な神なのだった。聖母マリヤ、主なるイエス・キリスト、清きみたま、天の父なる神なのであって、天にみ栄え、地に平和を望む人々に見える王国として、教会が誕生していったのである。 12.そしてペテロをさいしょの教皇にいただく教会がローマに誕生した。誰がいつどのようにしてではなく、いつの間にかそれは現れたとしか言いようがない。唯一、その教会は、ローマ市内にあり、バチカンと呼ばれる独立国の中にあり、世界のカトリック教会の頂点にある。 13.キリスト教は、ローマ帝国という地中海世界を母体として、宣教により広まった。「俗界」すなわち日用の糧を必要とする現実社会での一神教から、「聖界」すなわちイエス・キリストによって現れた天の父と聖霊によって実現する愛の営みの普遍的神へと移行した。普遍的性質を持つキリスト教は、民族維持の向心力として働くユダヤ教とは、まったく次元の違うものとなった。しかし、この次元の違いの大きさを悟るものは少ない。反キリスト者は、これを同一の紙面に投影して、それを元に理論を展開する。わざとか、無知なのかはわからないが。 |
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2016/8/18 オリジナル教会(初代代表) 笹倉正義
正式名称:(笹倉宗)聖母マリヤ福音教会
ささくら修道会