３（８）ローマ ３（８）ローマ
| ジュリアス・シーザーは皇帝になろうとして、反対する元老院の議員に暗殺された。その暗殺者の一人の中に、シーザーに「ブルータスお前もか」と言われて、後世に名を残した人物もいた。皇帝になったのはシーザーの養子だったオクタビアンだった。彼は、将軍アグリッパの協力を得て、暗殺者たちを追って殺害し、目の上のタンコブだったアントニーを自害に追い込んだ。この時、クレオパトラも自害したことは歴史上名高い。 かくて、ローマ帝国の初代皇帝となったのはオクタビアンだった。彼はアウグスト（栄えある君）の称号を贈られたので、これが彼の名前のように使われた。イエスがお生まれになったのは、このアウグストの治世のときであった。 資料：新約聖書のローマ皇帝 新約聖書「ルカによる福音書」 2-1そのころ、全世界の人口調査をせよとの勅令が、皇帝アウグストから出た。2-2これは、クレニオがシリヤの総督であった時に行われた最初の人口調査であった。2-3人々はみな登録をするために、それぞれ自分の町へ帰って行った。2-4ヨセフもダビデの家系であり、またその血統であったので、ガリラヤの町ナザレを出て、ユダヤのベツレヘムというダビデの町へ上っていった。1-5それは、すでに身重になっていたいいなづけの妻マリヤと共に、登録をするためであった。2-6ところが、彼らがベツレヘムに滞在している間に、マリヤは月が満ちて、2-7初子を産み、布にくるんで、飼い葉おけの中に寝かせた。客間には彼らのいる余地がなかったからである。 この栄えある君のために、ウェルギリウスは、「アエネイス」を著して献呈した。内容は、ローマ皇帝の源流が、ロムルスとは別の枝を遡ってトロイの英雄アエネアスに至る物語（ラテン語による詩）になっていた。かくして、皇帝は死して神格化される風潮が起こった。 他方ローマ帝国は、帰順させたり占領した国民や部族には、彼らの宗教の継続を認めていた。その結果、ローマには、ローマ神話の神々を初めとして、幾多の偶像が見られていた。だから初期のキリスト教にしても、別に排他されることはなかった。それを困難な状況に追い込んだのはユダヤ人だった。彼らがキリスト教徒を迫害し、またデマをばらまいて、ローマ市民に混乱をもたらしたのである。イエスの場合と同様に、ローマの官憲によって、キリスト教徒をローマから排除しようとしたのである。 西暦６４年ごろ、皇帝ネロの治世にローマに未曾有（みぞう）の大火があった。それは組織的な火付けがなければ起こりえない規模のものだった。ネロは、それをキリスト教徒のしわざと断定し、首謀者を逮捕し、その処刑を闘技場での見世物にした。しかし、その刑場に引き出された人々は、観客の期待に反し、従順・柔和そのものの人たちだった。彼らは歌を歌い、「彼らの罪をゆるしたまえ、わたしの罪をもゆるしたまえ」と、祈ったのだった。 これ以後、キリスト教は帝国の禁教のひとつになった。集会は隠れて行われた。ローマ城壁外の地下墓地を改造して、礼拝堂とした時期もあった。これは、コンスタンティヌス帝が即位して、キリスト教を一転国教にするまで続いた。当時のローマ皇帝の権力にはそれほどの権威があった。 このキリスト教の国教化で教会の悩みがひとつ解消した。それは、皇帝の名による新約聖書の制定だった。これによって、新約聖書に権威が備わり、追加、削除、改ざんなどができなくなったのである。それまでに、そのようなことがあったかどうかについては不問にされた。霊的に優れた人が読めば、そのような事実があれば、見分けがついたし、改ざん部分を削除しようとすれば、誤ってそうでない部分まで削除してしまうかも知れないからだった。皇帝は聖書の中身には関心がない。第一、候補の文書を読んでいる暇はなかったのだ。聖書制定は教会側の要請だったのである。 |
| 次へ |
  |
2016/8/8 オリジナル教会（初代代表） 笹倉正義
正式名称：（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会
ささくら修道会