３（９）狼の群れと羊の国

　３（９）狼の群れと羊の国

１．ユダヤ教は、
民族宗教としては特殊で、世界各地の主要都市に住み込むユダヤ人を統合する役目を持っている。聖書（旧約聖書）に書かれていることは、すべてユダヤ人のことである。外に開かれた宗教ではない。しかし、勤勉で節約志向の彼らが蓄積する富は往々にして世界を動かす力を持っている。彼らには投機能力もある。

２．キリスト教は、
世界に開かれた宗教である。イエスは自分の能力で救い主になったわけではなく、内に働く神の声に従順であったがゆえに、人智を超えた罪の贖いの道を拓かれた。パウロは十字架のおろかさこそが、神の強さなのだと言った。テオピロとルカというダークマターが存在した。ルカは聞き書きをし、順序正しく物語りにした。そして、それはアンテオケで、組織的に読まれ、多くのギリシャ人（ユダヤ人ではないという程度の意味）が信じた。その文書は、イエスの誕生の次第からはじまり、弟子たちに聖霊が降るところまで、簡潔に書かれていた。

イエスの誕生については、ルカは母マリヤから聞き書きしたが、祖母エリザベツの妊娠と、ベツレヘムになだれこんだ羊飼いの話は、マリヤの言葉の信憑性を裏付ける材料である。すなわち、彼はユダの山里と、ベツレヘムに足をはこび、それぞれの住人から３０年ほどの前の話を聞きだしたのである。この話は、マリヤがユダヤ人にはできなかった内容である。彼らは信じず、むしろ彼女を狂人として石で撃ち殺しただろう。したがって、キリスト教は、出発点から異邦人の手にゆだねられていたのである。

キリスト教は、異邦人の聞き書きから始まり、アンテオケの異邦人に読まれ、その地の異邦人が信じたのだった。パウロは、それを見て驚いたのである。ユダヤの神エホバの愛はここに極まったと彼は思った。神学的にそれを解き明かせるものは、律法学者のエリートだった、パウロをおいてほかになかった。パウロを襲った眼病が、かえってパウロの信仰の目を開いたのだった。ルカは、イエス・キリスト信仰が異邦人にも及ぶと説いた、パウロに同行し、彼の手紙をコピーして、保管した。

これら、パウロとルカの文書が向かう先は、皇帝の住む、世界の中心ローマだった。パウロはカイザリヤに軟禁されていたが、二年後ついに皇帝に上訴の道を選び、ローマへと護送された。ルカも同じ船に乗り、パウロに働く力を身近に感じていた。

文書を読んだ、多くの人々が新しい神をおどろきのうちに受け入れた。しかし、ユダヤ人たちは、パウロの勧めにもかかわらず、イエス・キリストを拒否した。そして、ユダヤ教の完成形とふれこむキリスト教を妨害した。そのため、キリスト教は、地下にもぐらなければならなかった。

ルカは、自分たちギリシャ人のことは決して文書には入れなかった。その宝の所有権は、ユダヤ人にあるからだった。

そして、イエスの弟子の筆頭、ガリラヤ湖の漁師、アラム語のユダヤ人のペテロがローマに到着した。異邦人たちは、彼がイエスの十字架を担っていることを思い、指導者であることを認めた。ローマ・カトリックの教皇は、ペテロを最初としている。

これら、ユダヤ教とキリスト教とは、共に宗教組織をもっている。

３．イスラムを興した
のは、砂漠の隊商の一員マホメットとその妻だった。彼らが生きた時代は、イエスの時代から６００年の後だった。場所はアラビヤ半島の紅海側にある町メッカ。砂漠の町々間のラクダによる運送業で生計を立てていた。彼は、その隊商の長であった女と逆玉結婚した。女房は彼よりもずいぶん年上だった。

彼の立場が労働者から経営者へと変わったため、時間のゆとりができた。彼は、砂漠の降るような星空のしたで、いろいろと夢想できたのだった。

彼には砂漠にある豊かに繁栄する町が見えた。彼らの繁栄のもとはさまざまな偶像の製造販売によるものだった。そもそも、ユダヤ教とキリスト教とは偶像崇拝を禁止していることも知っていた。町には物乞いがあふれていた。貧富の差は大きく、ほとんどの富が一部の人々に独占されていた。

あの町を襲い、傭兵を打ち負かし、金持ちから金品・はだの白い女を奪うことができたら・・・。大義名分がないまま、武力で町を襲うなら、それは強盗団にすぎず、官憲に追われて、見世物にさらされたうえ、処刑される。そのような無謀な計画には誰も参加しないだろう。

彼は、モーセに率いられてエジプトを脱出した人々が、ヨシュアの指揮の下、ヨルダン川を渡り、その西岸の地域（パレスチナ）を侵した物語を想っていた。彼らの大義名分は、神エホバが先祖アブラハムに約束された地を得ることだった。ヨシュアは、先住民との戦いを、神の名をかかげて聖戦にしたのである。敵には神エホバの恐怖を、味方には強奪の正当性を説き、戦意を鼓舞したのであった。

そうなのだ！偶像の町を襲う名目は、それが唯一神の嘉せられることにすればよいのだ。唯一神はすでに二つある。一つはユダヤ人の神エホバで、規則を守ることが嘉せられる。もう一つは、キリスト教徒どもが父なる神と呼んでいるものだ。「自分を愛するように他人を愛すること」を嘉する神だ。しからば、我らの神は、地上から偶像を取り除くことを嘉せられるのであるから、「アラー」とお呼びしよう。

こうして、イスラムの神が決まった。目指すは、偶像の町。死を恐れぬ戦士こそ、イスラムの最高の信者に列せられる。こうして、イスラムの布教の第一歩が始まったのだ。イスラムはいわゆる宗教集団ではない。そんなかったるいものは必要ない。ヨシュアのパレスチナ侵攻に似てはいるが、そのシンプルさにおいて根本的に違う。ヨシュアの侵攻は、部族に土地を割り当てると止まったが、イスラムの場合は侵攻の終止符というものがない。どこまでも布教できる。

イスラムの巧妙な点は、武力で制圧した町をアラブ化するのだ。男の跪拝、子を産める年齢の女のほっかむりの義務化、アラブ語以外の言語使用禁止。これをまもらない者は、最高の信者が容赦なく除去する。イスラム化違反への容赦ない粛清、これが年月を経て社会のトラウマとなり、狼の監視下になくても機能するようになっていくのである。

比較
イスラムがユダヤ教とキリスト教との最終形であるかのように吹聴する市井の伝道師むけに、これは書かれている。イスラムを貶めるつもりはさらさらない。イスラムがイスラムとして存在していること事態、それは神意にほかなるまい。「狼」は、そう言ったほうが直感的にわかりやすいと想ったから使っているまで。

１．ユダヤ教
ユダヤ教は、諸国の中でユダヤ人としてまとまるために、その存在価値がある。彼らの聖書は彼らのためのものであり、創世記も彼らのためのものである。だから、宿っている国の人々の幸せには関係ないし、宣教も必要ない。その利己主義のため、往々にして「ユダヤ人！」と差別されるが、いっこう平気。ユダヤ教の宗教組織は、レビ人（れびびと：十二部族に横断的に分布）の嗣業（しぎょう：モーセの兄アロンによって創設された）である。

２．キリスト教
人を不幸にしているのは罪の状態にあるからである。その罪を除き、幸せを得る道が、マリヤとイエスの絶対的従順の実として拓かれた。イエスはキリスト（救い主）となり、父なる神と、罪を自覚した人々との、永遠のとりなしをされている。西暦の元号のように改まらないのは、天上のイエスは、世の終わりまで支配されるからである。キリスト教の宗教組織には宣教の義務が課せられている。神の愛を説き、罪ある状態に気づかせ、その束縛からのがれる道を示し、「天にみさかえ、地に平和」をと祈る。

３．イスラム
イスラムは、すでに簡潔にのべたように、人の幸せを考える組織ではない。今様に言うなら、格差を武力で是正する運動である。富者を襲い、金品・人を奪ったあとには、経済が発展することもない。支配者以外は等しくより貧しくなるのである。

マホメットは、偶像で儲けている町を神の名によって攻略し、それでよしとしたが、イスラムはその生まれつきから、新たな攻撃目標を求め続けた。ついには、聖母子を貶めた内容をコーランに追加し、「神にお子があるわけないだろ、アホ！」と、キリスト教世界に攻め込むのも、自然の成り行きであった。これを止めるものは、愛ではなく武力である。狼に愛を説けば、それこそアホである。武力で、狼をたたきのめし、「信者」たちをトラウマから解放しなければならぬ。そのトラウマを癒すものは、唯一「聖母子」に源を発する、神の愛である。アーメン。

題目と内容とに少しずれがあるが、まあ、こんなこともある。

１．トラウマ
トラウマ」は日本語では心理学の学術用語として「心的外傷」または「精神的外傷」と訳されています。その意味は精神的に何らかの大きな打撃を受け、さらにその影響が後遺症のように長く残るような体験を指します。（引用先：アルク）

２．元号
元号（げんごう）は紀年法の一種であるが、西暦やイスラム紀元、皇紀（神武紀元）などの無限のシステム（紀元）とは異なり、皇帝や王など君主の即位、また治世の途中にも随意に行われる変更（改元）によって再度元年から数え直され（リセット）、名称も改められるという、有限のシステムである。（引用先：ウィキペディア）

2016/8/11-14 オリジナル教会（初代代表）　笹倉正義
正式名称：（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会
ささくら修道会