能率手帳データ（1971年）ナショナル健康器

「縁側で日向（ひなた）ぼっこして過ごすならいざ知らず、働くには健康が不十分です。働くに充分な健康になれるなら、その分、寿命が半分になってもかまいません」との、交換条件をつけてお願いした。その願いは、すーっと夜空に吸い込まれ、その反動を感じたのだった。 その願いの場所は、石川にかかる石橋の上で、歩きながらのお願いであった。晴天が続き、その石川の流れが細くなり、ついに水たまりが点在するまでになった。その日も見事な夕焼けだった。明日は、その川が石ころの広場になってしまうはずだった。わたしは、そこに生息していた生き物のことを思ったのだった。 「同じ運命」を思いながら寝付いたが、その未明、ザーッという雨音に目が覚めた。雨は終日続き、帰りには石川は濁流に変わっていた。「同じ運命」と思ったことを、わたしは恥じた。 時を同じくして、わたしは、「ナショナル健康器」の広告を目にしていた。

1971年(昭和46年） 8月29日（日）（電気事情）休日出勤：ナショナル健康器の広告見る。 8月30日（月）台風23号（雨） 9月1日（水）日本橋に行き、ナショナル健康器BK27型、27,000円購入 9月3日（金）日本橋に行き、BK27受け取り、27,000円支払った。 BK27使用開始、弱10分、急に唾が口の中に出た。 9月5日（日）体の調子はすごく良い。体質の変化を感じる。 9月7日（火）中→高・・・・10分 9月8日（水）葛城山（かつらぎさん）959mにハイキング。下りはロープウェイ（200円） 10:30−17:00（風呂屋）

健康器を使用する時間を、山岡宗八の「徳川家康」全18巻を読むことに使うことになり、最後まで読みきった。わたしは、働くに充分な健康を得たことを自覚した。合わせて、「約束」が果たされたことを思った。

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