１２章「父と子」

王宮を出てホテルに着くと、ビルフォールに訪問客があった。父のノワルティエだった。ビルフォールが父にケネル将軍殺害の容疑者の特徴を教えると、父はたちまち変装し、その情報とは別人になった。

目次

１２（１）訪問者ノワルティエ　1-12-1-5ノワルティエ氏は、自分で次の室の扉を閉めに行った。そして、帰って来ると寝室の扉を閉め、閂をおろし、それからビルフォールのそばへきて手を出した。ビルフォールは、それらの一挙一動を驚いて見まもりながら、まだその驚きから覚めずにいた。「どうした！ジェラール、」ノワルティエ氏は、なんとも名状しがたい微笑とともに、ビルフォールを見ながらこう言った。

１２（２）政治の辞書と殺人　1-12-2-27政治の世界では人は殺さず、ただ邪魔ものだけを取り除く。それだけだ。お前はいままでのいきさつを知りたいだろう。よし、聞かせてやる。じつは、ケネル将軍は信頼できる男とばかり思っていた。エルバ島からの『あの人』が推薦してよこしたのだ。

１２（３）情報の源は献身　1-12-3-18「グルノーブルは歓呼の声をあげながら、門をお開き申すだろう。リオンもこぞってお迎えに出るとも。まあ聞けよ。わしらのほうには、お前たちのほうに劣らぬほどの、ちゃんとした報告がはいっている。そして、わしらの警察もお前がたの警察に匹敵する。証拠を一つ見せようか？

１２（４）不幸の予言者　1-12-4-18「そこでジェラール、」とノワルティエは言葉を続けた。「ここへ置いてく品々は、お前よく気をつけて人目に触れないように処分してもらいたい」。「大丈夫です」と、ビルフォールは言った。「そうだ、そうだ！たしかにお前の言ったのはもっともだった。お前はたしかにわしの生命を助けてくれた。だが、安心するがいい。近々恩がえしをするからな」。

１２（５）大望と最初の成功　ホテルの勘定をすまし、そして、すっかり用意を調えて待っていた馬車に飛び乗った。1-12-5-22そして、途中、リオンではボナパルトがグルノーブルにはいったことを聞き、行く先々の路筋に不安な空気のみなぎっているなかを通り過ぎて、大望と最初の成功とに胸をわくわくさせながら、マルセイユへたどりついた。

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引用者：2016/6/20-22　（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会
通称「オリジナル教会」　初代代表者　笹倉正義
ささくら修道会