9-95汝らが（戦場から）帰って来ると、彼らはいろいろ言いわけすることであろう。言ってやるがよい、「言いわけ無用だ。我々は絶対にお前たちの言うことなど信用しない。お前たちの噂はアッラーがすっかり話して下さった。これからもアッラーは、使徒と一緒に、お前たちのすることを視ていらっしゃるぞ。そして最後には、みな、目に見えぬ世界のことも目に見える世界のことも一切御存知のお方のところへ連れ戻され、そこでお前のしてきたことをすっかり話して聞かされるのだ」と。9-96汝らが彼らのところへ還ると、彼はお前たちの目を逸らそうとして、アッラーにかけて誓言したりするであろう。よし、目を逸らしてやれ。どうせ汚れた者どものことだ。落ち行く先はジャハンナム。自分で稼いだだけの当然の報いというものじゃ。9-97また汝らに気に入られようとして誓言したりするかもしれない。そのような場合、たとい汝らに気に入られても、アッラーだけは、邪悪な者どもがお気に入ることは絶対にない。
ベドウィン（遊牧民）
9-98無信仰と偽善にかけてはベドウィンたちの方が一段と頑強だし、またアッラーが使徒に啓示し給うた（宗教上の）掟のわかりも当然一段と悪い。アッラーはまことに明敏、全知におわします。9-99またベドウィンの中には、自分の差し出すものを何か（迷惑千万な）税金のごとく考えて、いっそ汝らの運勢がひっくりかえればいいと待ちかまえている者もある。運勢がひっくりかえって損するのは彼らのほうなのに。アッラーは耳敏く、何から何まで知り給う。9-100だがまたベドウィンの中にも、アッラーと最後の日を信じ、自分の差し出すものをアッラーへのお近づきの捧げものと考え、かつまたそれでこの使徒の礼拝に（少しでも）近づけると考えている（感心な）者もある。いや、たしかにこれは身のためになる立派な捧げものじゃ。こういう人々はアッラーも必ずや恩寵の中に入らせて下さるであろう。まことに、アッラーはよく赦して下さるお情深い御神におわす故に。
9-101それから、まず率先して（信仰の道に）進んだ遷行者、幇助者、それに立派な行いで彼らに従った人々は、アッラーも彼らに御満足なら、彼らも（アッラー）に満足。潺々と河川流れる楽園をとくにしつらえて、そこに常とわまでも住まわせてくださる。それこそこの上もない身の幸ではないか。
9-102また汝らのまわりのベドウィンどもの中には上辺だけさも信者らしく見せかけている者がいるし、マディーナの住民の中にはもう梃＜てこ＞でも動かぬひどい似非信者が（沢山）ある。汝らには見分けがつくまいが、我らにははっきりわかっておる。そのうち我らが二度繰返して懲らしめた上、最後に苦しい刑罰にかけてやろうぞ。9-103以上のほかに、また自分から己が罪を認めた者どもがあった。すなわち正しい行いと悪事とを混ぜ合せた人々のこと。こういう人々には、おそらくアッラーは赦しのお顔をお向けになるであろう。アッラーは、よく赦して下さるお情深い御神におわします故に。9-104彼らの財産の何分かを自由喜捨として取り立て、それで彼らを浄化し、祓清してやるがよい。よく祈ってやるがよい。お前の祈禱は彼らのために安らぎとなろう。アッラーは耳敏く、全てを知り給う。
9-105みなにはわかってはいないのか、アッラーこそはその奴隷の捧げる改悛のこころを嘉納し、彼らの（捧げる）自由喜捨を（いつでも、こころよく）お受け下さるお方だということが。そして実によく赦しのお顔を向け給う情深い御神にましますということが。9-106言い聞かせてやるがよい、「さ、お前たち（なんでも）やるがいい。アッラーはきっとお前たちの所業を御覧になろう。それから使徒も、一般の信徒たちも。そのうち、お前たちは可視界、不可視界をともに知悉し給うお方のもとに召寄せられ、そのお口からお前たちの（現世で）してきたことを全部語って聞かされることになるであろう。」9-107その他の、アッラーの御判決が下るまで暫く待機しておらねばならぬ人々もある。すなわち、罰を下し給うか、それともお赦しのお顔を向け給うか。いずれにしても、アッラーは明敏、全知におわします。
9-108それから、嫌がらせのため、無信仰の故に、また正しい信徒の間に仲間割れを惹き起そうがため、かつはまた以前、アッラーと使徒に戦いを挑んだ人々のかっこうな待伏の場所としようがため、（新しく）礼拝所を建てた者どもがある。彼らは（口先では）きっと「わしらの願うところはひとえに（来世の）よき報いのみ」などと誓言までして見せるに違いないが、しかしアッラー（御自ら）彼らは嘘つきだと証言し給う。9-109お前あのような場所を決して踏んではならぬぞ。よいか、そもそもの最初から懼神の心を基礎として建てられた礼拝所の方が、どれほどお前が足を踏み入れるにふさわしいことか。あそこには、常に、好んで身心を浄らかに保とうとする人たちがある。まことに、アッラーは身心の浄らかな人々を好み給う。
9-110（よく考えて見よ）建物をつくる場合に、アッラーへの懼敬の心と（アッラー）の御満悦（を願う心）との基礎の上にうち立てた人と、自分の建物を水に侵蝕されて正に潰れ落ちんばかりになっている川岸に立てたために、とうとう家もろともジャハンナムの劫火の真只中に潰れ落ちてしまった人と、一体どちらが立派だろうか。よいか、アッラーは不義をはたらく者どもの手引きはし給わぬぞ。9-111そいう人々の立てた建物は、彼ら自身の心の中でも、どこまでも疑惑の種となるばかり、彼らの心がずたずたに引裂かれてしまうまでは止めどもなく。アッラーは明敏、全知におわします。
9-112まこと、アッラーは（天上の）楽園と引換えで、信徒たちから彼ら自身とその財産とをそっくり買い取り給うた。アッラーの道に奮戦し、殺し、殺されておる彼らじゃ。これは律法、福音、およびクルアーンにも（明記されておる通り）アッラーも必ず守らねばならぬ御約束。だいいちアッラーより約束に忠実なお方がどこにあろう。されば汝ら、そういうお方を相手方として結んだこの取引きを有難いと思わねばならぬ。まったくこの上もない身の幸いではないか。
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９（５）ベドウィン
