８． ８．
| ユディト 8-1そのころユディトもそうした出来事を知った。彼女はイスラエルの子、サラサデの子、サラミエルの子、ナタナエルの子、エリアブの子、ヒルキアの子、エリアの子、アキトブの子、ラフェンの子、ゲデオンの子、アナニアの子、エルキアの子、オジエルの子、ヨゼフの子、オクスの子、メラリの娘だった。 ---この「彼女はイスラエルの子」のイスラエルは、イサクの子のヤコブのことである。アブラハムとイサクには別の子孫がいるので、ユダヤ人の先祖としてはヤコブを指定しなければならない。しかし、ユダヤ教における南（ユダ）北（イスラエル）融和が主題である物語では、イスラエルが多用される。 ---四番目のナタナエルという名前は珍しいと思う。 （ヨハネによる福音書） 1-43その翌日、イエスはガリラヤに行こうとされたが、ピリポに出会って言われた、「わたしに従ってきなさい」。1-44ピリポは、アンデレとペテロとの町ベツサイダの人であった。1-45このピリポがナタナエルに出会って言った、「わたしたちは、モーセが律法の中にしるしており、預言者たちがしるしていた人、ヨセフの子、ナザレのイエスにいま出会った」。1-46ナタナエルは彼に言った、「ナザレから、なんのよいものがでようか」。 ---女の系図が書かれているのは、この書だけではあるまいか。たとえ寓話であるにしても、男尊女卑のユダヤで、女性を武勇の主人公に書いてあるのは、これだけであろう。ヨセフの系図は書かれているが、聖母マリヤの系図は書かれてはいない。 マナセ族 ---この種族は元北王国イスラエルを構成した十部族のうちの一つである。 8-2同じ種族の同じ家族の人だった夫のマナセは大麦の刈入れのときに死んだ。8-3畑で麦の束を結ぶ人々の見張りをしていたとき、日射病にかかって床につき自分の町であるベトリアで死に、その町でドタインとバラモンの間にある畑に先祖とともに葬られた。 やもめのユディト 8-4やもめになったユディトは三年四か月自分の家に住んでいた。8-5彼女は屋上に自分の住む高間を造り、腰に袋をつけ喪服を着て断食した。8-6やもめとしての日々ずっとそうだった。安息日の前日、安息日、新月の祭りの前日、新月の祭りの日、イスラエルの家の祝いの日を除いてはそのようにしていた。8-7彼女は美しい女で魅力にあふれていた。夫のマナセは金銀、下男下女、家畜の群れ、畑などを彼女に残してくれたので、彼女はその財産にとりまかれて生きていた。8-8彼女にはとがめるところがなかった。大いに神を恐れる人だったからである。8-9彼女は水ききんに失望した人々と町の長の間に不穏なことがあったと聞いた。また、オジアが彼らに言ったこと、五日たったら町をアッシリア人の手に渡すと誓ったことなども聞いた。 8-10そこでユディトは財産を管理している女中をやって町の長老のカブリスとカルミスを呼んだ。8-11彼らが家にくると彼女は言った、「ベトリアの住民の長であるあなたたちに申し上げたいことがあります。あなたたちは今日人々に話し、主が定まった日の間に助けをくださらなければ町を敵の手に渡すと誓われましたが、そういうふうに神に反して立つのはよくありません。 8-12今日神を試み、人の子らの中で神に背いて立ったあなたたちはいったい何者ですか。8-13今、あなたたちは全能の主を試そうとしています。あなたたちはいつまでたっても悟ろうとしない。8-14人間の心の深みを探ることも、その精神の思いを見分けることもできないあなたたちに、万物の創り主である神に分けいりその思いを探りそのはかりごとを理解することができるでしょうか。いいえ、兄弟たちよ、われらの神なる主を怒らせるようなことをしてはなりません。8-15もしこの五日間の間に私たちを救うお考えが主にないとしてもそのお望みのときに、私たちを守りもできるし、敵の前で滅ぼすこともできます。 8-16けれども主のみ旨に背くような保証を求めてはなりません。主を人間のように追いつめてはなりません。人間の子するように主に警告すべきでもありません。8-17忍耐して主の助けを望み、われらを救いに下られるように呼びかけましょう。み旨があれば主は私たちの声を聞いてくださいます。 8-18実をいえば今もそうですが、このごろ私たちの種族や家族や村や町の中に、人の手でつくった神々を礼拝した者はありません。昔はそうしたこともありました。 ---バアルイズム（国家による偶像バアル崇拝の強要）は昔のことだと宣言して、ユダヤ人に合流するための敷居を下げる。 8-19私たちの先祖が剣と略奪にゆだねられ、敵の前でみじめな最後をとげたのはそのためでした。8-20だが私たちは主以外の神を認めません。ですから主は私たちを軽んじることなく、私たちの民から遠ざかることもなさるまいと希望を持つことができます。8-21あなたたちの考えているとおり町がもし占領されたら、全ユダヤも占領されその聖なるところは略奪されることでしょう。そして神は、それらが汚されたことについて、私たちの血でもって仇を討たれるでしょう。8-22兄弟たちの殺害、民族の流刑、遺産の荒廃などは私たちが奴隷となって行く異国において、私たちにその責めが負わされるでしょう。そしてそれは新しい主人たちにつまずきと恥辱のもととなるでしょう。8-23私たちが奴隷になったことはふたたび神に受け入れられて、ことが終幕になるものではありません。むしろ、主はそれを恥しい罰となさるでしょうから。8-24兄弟たちよ、私たちの兄弟たちの盾となりましょう。彼らの命は私たちにかかっています。私たちの持っているもっとも聖なるもの、つまり神殿と祭壇は私たちに負わされています。 8-25こういうわけですから、先祖にされたように私たちを試される神なる主にむしろ感謝しましょう。8-26主がアブラハムに対してされたすべてのこと、イサクへのすべての試練、ヤコブが母方のおじラバノの羊を牧していたときシリアのメソポタミアで彼の身に起ったこと、すべてを思い出してください。8-27主は彼らの心を探るために彼らを試されました。それと同様に私たちに対しても仇討ちをされるのではなく、ご自分に近い人々に警告をお与えになるのです」。 町の長老は三人（カブリスとカルミスとオジヤ） 8-28オジアはユディトに答えた、「あなたはすぐれた心をもって話された。だれもあなたのことばに言い返せないでしょう。8-29もちろんあなたの知恵は今日初めて示されたのではありません。若いときから人々はあなたの知恵とすぐれた心を認めていました。 8-30しかし人々は水に渇き切っていたのですから、彼らは私たちが約束したように取り消せない誓いをさせて私たちを縛りつけざるをえなかったのです。8-31あなたは信心深い方ですから、雨水の溜りを満たすほどの夕立を送りたもうよう主に祈ってください。私たちがこれ以上弱り果てることのないように」。 雨乞いでない秘策がある 8-32「私の言うことを聞いてください」とユディトは彼らに答えた、「この民の子らに代々に伝えられるような行いを私はやってみましょう。8-33今夜あなたたちは町の門に出てください。私は下女といっしょに町を出ます。あなたたちがこの町を敵の手に渡す日より早く、私のすることによって主はイスラエルを訪れてくださるでしょう。8-34あなたたちは私のすることを探ろうとしないでください。それを実行してのち私からあなたたちに言いましょう」。8-35「平和にお行きなさい」とオジアと長たちはいった、「神なる主があなたを導き、われらの敵に仇を討ってくださるように」。8-36彼らは高間を出て自分たちの部署に帰っていった。 |
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