４２章「ベルツッチオ」

モンテ・クリスト伯は、一度も来たことがないというパリの、新聞広告を持っていた。ブローニュの森の中の、オートイユにある屋敷の売り出し広告だった。パリに来ていたのはエドモンの化けたイギリス人のウィルモア卿、あるいはブゾーニ司祭だった。ベルツッチオは、オートイユの屋敷に何かとんでもない秘密を持っているようだった。その秘密のいったんは、かつてブゾーニ司祭に話したところのものだった。そして、ブゾーニ司祭は、ベルツッチオの勤め口として、モンテ・クリスト伯を紹介してやったのだった・・・・。

目次

（１）別荘売買契約 3-42-1-52これまで一度もパリに来たことがなかったばかりか、フランスへ足をふみ入れたことさえ、これがはじめてというわけですから」。「なるほど。それでは御無理もございませんな」と、公証人は答えた。「お求めになろうというお邸は、オートィユなのでございます」。それを聞いて、ベルツッチオは見るみる顔の色をかえた。

（２）ブローニュの森の家 3-42-2-5「してみると、田舎ではないじゃないか。ベルツッチオ、お前、またどうしてパリ近くの家なんぞ選んだんだ？」。「わたくしが、とおっしゃいますか！」と、異様にせきこみながら家令が叫んだ。「いえ、その家の御選定は、わたくしにお申しつけだったのではございません。お思い出しになってくださいまし。御記憶をお探りくださいまし」。

（３）同行躊躇のベルツッチオ 3-42-3-4そして、記憶をたどりながら、「オートィユ・ラ・フォンテーヌ町二十八番地、たしかにこれだ」と、言った。「さてこうなった上は、宗教上の恐怖によって自白させたものか、それとも肉体上の苦痛によってやったものか？もっとも一時間もたてばすっかりわかってしまうのだが」。

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ページ制作者：（ささくら宗）聖母マリヤ福音教会
通称「オリジナル教会」　初代代表者　笹倉正義
オリジナル教会・ささくら修道会・必読書
2016/9/30