３８章「約束(やくそく)」

モンテ・クリスト伯は、アルベールの手引きでパリ社交界に進出できることになった。アルベールは伯爵がパリに来ることを歓迎したが、フランツは伯爵への警戒を怠らぬよう進言する。しかし、アルベールはフランツの疑心を杞憂（きゆう）だと一蹴（いっしゅう）してしまった。そして、いよいよ三ヵ月後、復讐鬼エドモン・ダンテスはモンテ・クリスト伯の仮面をかぶって、パリ社交界を瞠目（どうもく）させることになる。

目次

（１）パリの社交界に紹介 3-38-1-39ところで、わたしは、そうした社交界に誰一人知り合いを持っておりません。誰か紹介してくれる人でもありましたら、とうの昔に、一度は行っておかなければならないパリに、行っていたことだと思いますが」。「そんなことが！あなたのようなお方が！」とアルベールが叫んだ。

（２）三ヵ月後パリにて 3-38-2-34「今日が二月の二十一日（こう言いながら時計を出した）。いまは午前十時半。では、五月二十一日、午前十時半にお待ちいただいていいでしょうか？」。「けっこう！」と、アルベールが言った。「午餐（ごさん）の用意をしておきます」。「で、お住居は？」。「エルデ町二十七番地」。まだ部屋住みでおいででしょうな？御迷惑ではないでしょうか？」。「父の邸に住んでおります。でも、まったく離れた、庭の奥の離れにおります」

（３）二人の部屋での会話 3-38-3-1「どうしたんだ？」と、室に帰るなり、アルベールはフランツにたずねた。「とても心配そうだが」。「うん、」と、フランツは言った。「正直なところ、伯爵はじつにふしぎな男だ。で、君の約束のパリで落ち合うということも、僕にはちょっと不安なんだ」。「あの約束が・・・・不安だって！なんのこった、君は気でもちがったのかい、フランツ」と、アルベールは叫んだ。

（４）疑心は晴れず 3-38-4-46いままでとはちがって、今度はアルベールの言うことのほうがもっともだった。「仕方がない、」と、フランツは、溜息をついた。「まあ好きなようにするがいいさ。なるほど君が言い分はいかにももっともらしく聞こえるがね。だが、モンテ・クリスト伯爵は、やっぱり怪しい人物だよ」。

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ページ制作者：（ささくら宗）聖母マリヤ福音教会
通称「オリジナル教会」　初代代表者　笹倉正義
オリジナル教会・ささくら修道会・必読書
2017/5/23-27