（巻六）母と妹の消息(しょうそく)

六巻　二　癩病人 生きながら葬られていたこのユダヤの女たちが、ベン･ハーの母と妹であることはいうまでもなかった。八年前のあの朝、グラトスの部下に捕らえられた二人は、すぐ城に引かれた。グラトスがアントニア城の地下牢をえらんだのは、手もとにおいて直々監視できるからであった。第六房に入れたのは、まず第一に直接人の目にふれさせないためであり、第二に癩（らい）病にかからせ、じわじわと苦しめて殺すためであった。 石の塊が一つ、また一つと崩れ落ち、やがて石の壁が取り払われた。しっくいと石の粉を全身にあびた男が、松明を頭の上にかざしながらはいってきた。つづいて同じように松明を持った男がはいってきて、軍団長のために道をひらいた。不意に二人の囚人が獄房の隅のほうへ逃げだした。と思うと、最も悲惨な、最も恐ろしい、最も絶望的な人間の声が響いた。「そばにおいでになっちゃいけません−−−けがれております、けがれております！」 「けがれております」とは  「レビ記」13章 13-3祭司はその身の皮の患部を見、その患部の毛がもし白く変り、かつ患部が、その身の皮よりも深く見えるならば、それはらい病の患部である。祭司は彼を見て、これを汚れた者としなければならない。

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2015/8/30 オリジナル教会（初代代表）　笹倉正義
正式名称：（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会
2019/11/16（ロゴ変更）