（７）ヘラクレスの火葬壇

（第二巻）第７章 （Ｐ１０６）第二巻（�Z） 2-7-1ヘラクレスがトロイアから海を航行している時にヘラがひどい嵐を送った。それを怒ってゼウスはオリンポスから彼女を吊（つる）しさげた。ヘラクレスはコスにむかって船を進めた。コス人は彼が海賊船隊を率いて来るものと考えて石を投げて船を近づけるのをはばんだ。 しかし彼は強行して夜間にコスを取り、アステュパライアとポセイドンの子エウリュピュロス王を殺した。ヘラクレスは戦闘の間にカルコドンに傷つけられたが、ゼウスが彼を奪い去ったので何らの害をうけなかった。コスを破壊してから、アテナの仲介でプレグライに来（きた）り、神々とともに巨人（ギガス）たちを打ち破った。 2-7-2その後暫（しばら）くして彼はアルカディアの軍勢を集め、ヘラスの一流の人々の中よりの志望者を伴い、アウゲイアスにむかって軍を進めた。 （アウゲイアス） （Ｐ９３）第五の仕事としてアウゲイアスの家畜の糞（ふん）を一日（いちにち）の中（うち）に一人（ひとり）で運び出すことを彼に命じた。さてアウゲイアスはエリスの王であって、太陽神（ヘリオス）の子であるとも、またポセイドンの子とも、また一説によればポルバスの子とも言われ、多くの家畜の群を所有していた。 アウゲイアスはヘラクレスが戦さの準備をしていると聞いて、エウリュトスとクテアトスの二人をエリス人の将に任じた。彼らは二人でありながら一身になっていて、その力は当時の人々を抜き、モリオネとアクトルの息子であったが、ポセイドンの子であると言われていた。アクトルはアウゲイアスの兄弟であった。 しかしヘラクレスが軍旅の間に病むこととなったために、モリオネの息子たちと休戦した。が、彼らはのち彼が病気であるあることを知って、その軍を襲い、多くの者を殺した。そこでヘラクレスはその時には退いたが、後（のち）第三イストモス祭が行なわれて、エリス人がモリオネの息子たちを犠牲に参加するために送った折りに、ヘラクレスはクレオナイで待伏せして、彼らを殺し、エリスに軍を進めて市を陥（おとしい）れた。そしてアウゲイアスをその息子たちとともに殺し、ピュレウスを連れ戻して彼に王国を与えた。 またオリンピア競技を設け、ペロプスの祭壇を築き、十二神の六祭壇を建てた。 （Ｐ１０７）第二巻（�Z） 2-7-3エリス攻略の後ピュロスに進軍し、その市を陥（おとしい）れ、ネレウスの息子の中で最も逞（たくま）しい、姿を変じつつ戦うを常としていたペリクリュメノスを殺した。またネレウスおよびネストルを除く彼の息子たちを殺した。ネストルは若年（じゃくねん）でゲレニオイ人の所で育てられていたのである。戦さの間にピュロス人を援助した地獄王（ハデス）をも傷つけた。 ピュロス攻略の後ヒッポコオンの息子たちを罰せんと欲して、ラケダイモンにむかって軍を進めた。彼らがネレウスに味方したので怒（おこ）ったが、リキュムニオスの息子を殺したのでなおのこと怒ったからである。 というのは、彼がヒッポコオンの王宮を眺めていた時にモロシア産の犬が走り出て彼に飛びかかった。そこで彼は石を投げて犬を撃つと、ヒッポコオンの息子たちが走り出て来て、彼を棍棒で打って殺してしまったからである。彼の死の復讐をしようと、ラケダイモン人に対して軍勢を集めた。そしてアルカディアに来り、ケペウスに彼の持っている二十人の息子とともに味方になることを乞うた。 しかしケペウスは、彼がテゲアを留守にするとアルゴス人が攻めて来はしまいかと心配して、遠征を断った。ヘラクレスはアテナから青銅製の壺（つぼ）の中に入っているゴルゴンの毛髪を得て、もし軍勢が攻め寄せて来たならば、その髪を三度城壁から差し上げ、前を見ないでいるならば、敵は敗走するであろうと言って、ケペウスの娘ステロペに与えた。 そこでケペウスは息子たちとともに軍を進めた。そして戦塵の間にその息子たちは死に、彼らのほかにヘラクレスの兄弟イピクレスもなくなった。 ヘラクレスはヒッポコオンおよびその息子たちを殺し、市を制圧し、テュンダオレスを連れ戻して彼に王国を与えた。 （Ｐ１０８）第二巻（�Z） 2-7-4テゲアを通る時にヘラクレスはアレオスの娘であるとは知らずにアウゲを犯した。女は密かに赤児を生んでアテナの神域中に置いた。その地が疫病で荒らされたので、アレオスは神域にたち入り、探索の結果娘のお産を発見した。そこで赤児をばパルテニオス山に棄てた。そして赤児は神慮によって救われたのである。 というのは、子供を生んだばかりの牝鹿が彼に乳房を与え、羊飼いどもがその子を拾ってテレポスと呼んだからである。アウゲおばアレオスはポセイドンの子ナウプリオスに他国で売るように与えた。彼はテウトラニアの支配者テウトラスにい彼女を与え、彼は女を妻とした。 2-7-5ヘラクレスはカリュドンに来てオイネウスの娘デイアネイラに求婚し、彼女を争って牡牛（おうし）の姿をしていたアケロオス格闘して、その一方の角（つの）を折った。そしてデイアネイラと結婚し、角は、アケロオスがその代りにアマルテイアの角を与えて受取った。アマルテイアは牡牛の角を持っているハイモニオスの娘であった。この角は、ペレキュデスの言によれば、食物だろうが飲物だろうが欲するところのものを豊富に提供する力を持っていた。 2-7-6ヘラクレスはカリュドン人とともにテスプロティア人に対して軍を進め、エピュラ市を攻略した。この市の王はピュラスであった。そしてその娘アステュオケと交わってトレポレモスの父となった。彼らの下（もと）に留まっていた時に、テスピオスに人を派し、七人の子供は（自分の下に）留め、三人はテバイに、残りの四十人は植民地を建設するためにサルディニア島に送るようにと言った。 （Ｐ１０９）第二巻（�Z） これらのことのあった後、オイネウスの所で宴（うたげ）を開いている間に、アルキテレスの息子エウノモスが水を彼の手に注いでいる時に指の節（ふし）で打って殺してしまった。この子はオイネウスの近親であった。しかし、子供の父は、事件が故意になされたものでないので、許そうとしたが、ヘラクレスは法に従って追放されることを望み、トラキスのケユクスの所にたち去る決心をした。 デイアネイラを伴ってエウエノス河に来た。この河にケンタウロスのネッソスが坐っていて、彼の正徳（しょうとく）によって神々より渡しを授かったと称し、報酬を取って通行人を渡していた。それでヘラクレスは自分で河を渡ったが報酬を要求されたのでデイアネイラを渡してくれるようにとネッソスに委（まか）せた。ところが彼は渡している間に彼女を犯そうとした。 彼女の叫びを聞いてヘラクレスはネッソスが河から出て来るところを心臓を射た。まさに死なんとする時にデイアネイラを呼び寄せて、ヘラクレスに対して媚薬が欲しいならば、彼が地上に落した精液と鏃（やじり）の傷から流れ出る血とを混（ま）ずるがよいと言った。彼女はその通りにして、自分の身につけて蔵った。 （Ｐ１１０）第二巻（�Z） 2-7-7ヘラクレスはドリュオプス人の地を通っている時に食料がなくなって、牛追いのティオダマスに出遭い、その片方の牛をはずし、殺して食った。トラキスの所に来た時に、彼に迎えられてドリュオプス人を征服した。 その後そこより進んでドリス人の王アイギミオスの味方となって戦った。というのはラピテスたちが土地の境界に関してコロノス将として彼と戦い、王は囲まれて、土地を分ち与える条件でヘラクレスに助けを求めたからである。ヘラクレスは援助して、他の者とともにコロノスを殺し、全土を自由にして彼に与えた。 彼はまたドリュオプス人の王で、無道な男、ラピテスらの味方であるラオゴラスがアポロンの神域で宴を張っているところを、その息子どもと一緒に殺した。 イトノスを通過していると、アレスとペロピアの子キュクノスが彼に一騎打ちを挑んだ。そこで矛（ほこ）を交え、この男をも殺した。 オルメニオンに来た時に、アミュントル王が武力にうったえて彼の通過を許そうとしなかった。しかし通行のじゃまをされて、ヘラクレスはこの男をも殺した。 トラキアに着いて、エウリュトスに復讐せんものと、オイカリアを襲うべく軍を集めた。アルカディア人、トラキスのメリス人、エピクネミスの地のロクリス人を味方として、エウリュトスをその息子らとともに殺し、市を取った。そして彼とともに軍に加わったものの戦死者、すなわちケユクスの子ヒッパソス、リキュムニオスの子アルゲイオスとメラスを葬り、市を掠奪（りゃくだつ）し、イオレを捕虜としてひいて行った。 エウボイアのケナイオン岬に船を泊めて、ケナイオンのゼウスに祭壇を築いた。そして犠牲を捧げようと思って、使者の（リカス）に美々しい衣服を取りにトラキスにやった。デイアネイラは彼からイオレのことを聞き、彼女をよけいに愛しはしまいかと心配し、ネッソスの流血を本当に媚薬（びやく）だと信じて、これをその下着に塗った。 （Ｐ１１１）第二巻（�Z） そこでヘラクレスはこれを着て犠牲を行なった。ところが下着が暖められるとともに水蛇（ヒュドラ）の毒が皮膚を腐食し始めた。そこでリカスをばその両足を以って持ち上げて（ボイオティアの）（岬から）投げ下ろし、肉にくっついてしまった下着を引き剥（は）がした。そこで肉もまた一緒に引き剥がされた。このような不幸なさまで船でトラキスに運ばれた。デイアネイラは事件を知って自ら縊（くび：首をつって死ぬ）れた。 ヘラクレスはデイアネイラから生れた子供の中の年長のヒュロスに成人してからイオレを妻とすることを命じ、オイテ山−−−これはトラキス人の地にある−−−に赴（おもむ）き、そこに火葬壇を築き、その上に登って火をつけることを命じた。誰もそれを行なうことを欲しないでいる時に、ポイアスが羊の群を探して通りかかり、火をつけた。 ヘラクレスは彼に弓を与えた。火葬壇が燃えている間に雲が彼の下に来て、雷鳴とともに彼を空へと運び上げたと言われる。そこで不死を得、ヘラと仲直りし、 ---ヘラクレスの子孫列名 ---部族の名前がちりばめられたギリシャ神話は、旧約聖書のモーセ五書のようである。その中のレビ記には部族の系図が列挙してある。また律法が物語りにちりばめられている。モーセ五書を著した指導者は、バビロンとペルシャの都で王室に仕え、その図書館でなんらかのギリシャ神話を読んだ可能性がある。 （Ａ）その娘ヘベ（注：ヘラの子で青春の女神）を娶り、彼女より息子のアレクシアレスとアニケトスが生れた。 ---テスピオスの５０人の娘たち （Ｂ）2-7-8彼にテスピオスの娘たちから次の子供が生れた。すなわち （１）プロクリスからアンティレオンとヒッペウス---長女は双生児を生んだからである--- （２）パノペからトレプシッパス、 （３）リュセからエウメデス・・・クレオン、 （４）エピライスからアステュアナクス、 （５）ケルテからイオベース、 （６）エウリュビアからポリュラオス、 （７）パトロからアルケマコス、 （８）メリネからラオメドン、 （９）クリュティッペからエウリュカピュス、 （１０）エウリュピュロスはエウボテから、 （１１）アグライエからアンティアデス、 （１２）オネシッポスはクリュゼイスから、 （１３）オレイエからラオメネス、 （１４）テレスはリュシディケから、 （１５）エンテリデスはメニッピスから、 （１６）アンティッペからヒッポドロモス、 （１７）テレウタゴラスはエウリュ・・・、 （Ｐ１１２）第二巻（�Z） （１８）カピュロスはヒッポから、 （１９）エウボイアからオリュムポス、 （２０）ニケからニコドロモス、 （２１）アルゲレからクレオラオス、 （２２）エクソレからエリュトラス、 （２３）クサンティスからホモリッポス、 （２４）ストラトニケからアトロモス、 （２５）ケレウスタノルはイピスから、 （２６）ラオトエからアンティポス、 （２７）アンティオペからアロピオス、 （２８）アステュビエスはカラメティスから、 （２９）ピュレイスからティガシス、 （３０）アイスクレイスからレウコネス、 （３１）アンテイアから・・・、 （３２）エウリュピュレからアルケディコス、 （３３）デュナステスはエラトから、 （３４）アソピスからメントル、 （３５）エオネからアメストリオス、 （３６）ティピュセからリュンカイオス、 （３７）ハロクラテスはオリュムプサから、 （３８）ヘリコニスからパリアス、 （３９）ヘシュケイエからオイストロブレス、 （４０）テルプシクラテからエウリュオペス、 （４１）エラケイアからブレウス、 （４２）アンティマコスはニキッペから、 （４３）パトロクロスはピュリッペから、 （４４）ネポスはプラクシテアから、 （４５）リュシッペからエラシッポス、 （４６）リュクルゴスはトクシクラテから、 （４７）ブロコスはマルセから、 （４８）レウキッポスはエウリュテレから、 （４９）ヒッポクラテからヒッポジュゴスが生れた。 （５０）---　一人足りない・・・・ これらはテスピオスの娘たちからである。 ほかの女からすなわち （Ｃ）オイネウスの娘デイアネイラからはヒュロス、クテシッポス、グレノス、オネイテスが、 （Ｄ）クレオンの娘メガラからはテリマコス、デイコオン、クレオンティアデスが、 （Ｅ）オムパレからはアゲラオスが生れた。クロイソスの一族はアゲラオスの血をひいている。 （Ｆ）エウリュブロスの娘カルキオペからテッタロス、 （Ｇ）アウゲイアスの娘エピカステからはテスタロス、 （Ｈ）ステュムパロスの娘パルテノペからはエウエレス、 （Ｉ）アレオスの娘アウゲからはテレポス、 （Ｊ）ピュラオスの娘アステュオケからはトレポレモス、 （Ｋ）アミュントルの娘アステュダメイアからはクテシッポス、 （Ｌ）ペイレウスの娘アウトノエからはパライモンが生れた。

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３．「イリアス」と「オディッセイア」の物語と地獄行きについて参考になればと思ったが、その他の物語についても入力した。物語が実は部族の先祖にリンクするためのものであることに気づいたが、キリスト教には関係ないため、全文入力にはしなかった。物語が、部族の先祖、あるいは後裔に関連付けられることは、モーセ五書に似ている。ギリシャ神話を口伝（くでん）で継承したのは吟遊詩人たちである。モーセ五書は、ユダヤ人十二部族の宗教集団レビ人の作品であるだけに、律法を含んだ聖典として洗練されている。

2015/3/20 オリジナル教会（初代代表）　笹倉正義
正式名称：（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会