６（６）地下女王への手土産(てみやげ)

○（６−６）運命の導く者だけが折れる黄金の枝 (6-124)(6-125)(6-126)(6-127)(6-128)(6-129)(6-130)(6-131)(6-132) 彼はしっかりと祭壇にすがりついて懇願を続けた。すると、予言者の巫女は口を開いた、「神々の血を引いておられるのでしたね、アンキセスの御子（みこ）なるトロヤのおかた。実はアウエルネスへ降（くだ）るのはいとも容易（ようい：たやす）きわざです。昼でも夜でも黒き閻魔大王（えんまだいおう：ディス）の門は開いています。ただ歩（あゆみ）を返すこと、地上の空気に再びふれること、これが難事中の難事なのです。 公正なユピテルの愛を受け、そして勇気をもって天へ駆け上（のぼ）ることができた少数の神々の御子たちだけが、これを成し遂げ得たのです。途中はどこまでも森が続いています。そして哭泣（こくきゅう）川（コキュトウス）の黒い流れがうねりながら森を囲んでいます。(6-124-132) (6-133)(6-134)(6-135)(6-136)(6-137)(6-138)(6-139) でも、ステュクス川(5-861)の瀞（とろ）を二度（生きている間と死後）渡り、暗黒の地獄（じごく：タルタラ）を二度見てみたいお気持が強く、しっかりと御心（みこころ）を定めて、この異常な営みに身をゆだねるお覚悟におわしますなら、前もってなすべきことを申し上げましょう。 陰（かげ）なす木に、葉も、柔らかい小枝も金（きん）でできた黄金（おうごん）の枝が隠れています。これは冥界のユノ（プロセルピナ）の聖なる枝です。それは聖林の奥深く、谷底の薄暗い陰の中にひっそりと生（は）えています。(6-133-139) (6-140)(6-141)(6-142)(6-143)(6-144)(6-145)(6-146)(6-147)(6-148) どんな者も、まずこの黄金（おうごん：コガネ）の葉の茂る枝を折りとることなくして、地に覆われたところを踏むことはできません。麗しのプロセルピナ様がこれをご自分へのお土産（みやげ）と決めたもうたのです。枝がひとつ折られるとすぐ次に黄金の枝が生じて、枯渇（こかつ）をふせぎます。同じ金属の枝が芽を出すのです。これを、御目（おんめ）を高くかかげてお探しになると良いでしょう。 もし見つかったら、手でうやうやしく折ってください。枝はひとりでに取れてくれるでしょう。もしも運命（さだめ）があなたを呼んでいるのなら、自然にそうなりましょう。しかしまた、もしそうでないのなら、どんなに力を込めても枝は折れません。刃物を使って切り取ることも不可能なのです。(6-140-148)

次へ

（参考） 冥界のユノ（プロセルピナ）と書いてあるが、冥界の王の奥方のギリシャ名は「ペルセポネ」でユノではない。ローマ名は「プロセルピナ」となっている。 アポロドロス著「ギリシャ神話」より （Ｐ１０２） （１２）2-5-12第十二番目の仕事として地獄からケルベロスを持って来ることを命ぜられた。 これは三つの犬の頭、竜の尾を持ち、背にはあらゆる種類の蛇の頭を持っていた。これを目指して出発しようとして、秘教に入会させてもらう目的でエレウシスのエウモルポスの所へ来た。しかしその当時は異邦人は入会を許さなかったので、ピュリオスの養子となって入会した。 しかしケンタウロスの殺戮（さつりく）から身を潔められていなかったので、秘教会を見ることができず、エウモルポスに潔められて、それから入会を許された。 そして地獄へ降りる道の入口のあったラコニアのタイナロンに来り、この入口から降りた。聖霊が彼を見た時、メレアグロスとゴルゴンのメドウサ以外は逃げた。彼はゴルゴンに対してあたかも生けるかのごとくに刀を抜いたが、ヘルメスからそれは空しい姿にすぎないことを教わった。 地獄の門の近くに来てテセウスとペルセポネに求婚してそのために縛られたペイリトウスとを見出した。彼らはヘラクレスを見て、あたかも彼の力によって蘇生（そせい）するように手を差し延べた。彼はテセウスの手を取って醒（さ）ましたが、ペイリトウスを立ちあがらせようとすると、大地が動揺したので、彼は放した。 E-7-34地獄王（ハデス）、ペルセポネ、テイレシアスに犠牲を供した後、徒歩でエペイロスを通ってテスプロティア人の国に至り、テイレシアスの予言に従って犠牲を捧げてポセイドンを宥（なだ）めた。その時テスプロティアの女王カリディケは王国を彼に与えて、彼に留まらんことを乞うた。そして彼と交わってポリュポイテスを得た。

2015/11/15 オリジナル教会（初代代表）　笹倉正義
正式名称：（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会