１２（１２）老軍医の出番

○（１２−１２）一命を取り留めたアエネアスの手当をイアピュクスが担当 (12-383)(12-384)(12-385)(12-386)(12-387)(12-388)(12-389) (12-390) 戦場でトウルヌスが殺戮（さつりく）に没頭（ぼっとう）し、大暴（おおあば）れしている間、ムネステウス(12-133)と忠実（ちゅうじつ）なアカテス(10-337)は、アスカニウスと一緒に、血まみれのアエネアスを陣中（じんちゅう）に連れ戻した。アエネアスは長槍（ながやり）を杖（つえ）に、一歩（いっぽ）一歩、慎重（しんちょう）に進んだ。彼は唸（うな）り声をあげ、体内に砕けて刺さった矢の痛みを堪（こら）えつつ、できるだけ素早くそれを取り除くように頼んだ。幅広の小刀で傷口を切り開き、刺さった破片をすべて取り出した後、彼はすぐに戦場に戻るつもりであった。 (12-383-390) 軍医イアピュクス (12-391)(12-392)(12-393)(12-394)(12-395)(12-396) (12-397)(12-398)(12-399)(12-400)(12-401)(12-402)(12-403) (12-404)(12-405)(12-406)(12-407)(12-408)(12-409)(12-410) するとそこに、誰よりもポエブス（アポロ）に愛されたイアピュクスが入って来た。彼はかの太祖（たいそ）イアシウス(3-171)の子であった。その昔、甘い愛の力（ちから）に囚（とら）われたアポロは、神の持てる高い能力のすべてを、喜んでこのイアピュクスに提供した。鳥占（とりうらない：アウグリウム）の技（わざ）に竪琴（たてごと：キタラ）の奏法（そうほう）、それに速矢（はやや）の術（じゅつ）などなど。しかしイアピュクスは、助かる見込みのない父の寿命（じゅみょう：ファタ）を少しでも延ばそうと、他の技は棄（す）て、薬学（やくがく）と医術（いじゅつ）とを選んだ。派手（はで）さはなくともこの仕事で、静かに暮らすことを彼は望んだのだ。 アエネアスは、若武者たちやイウルス（息子のアスカニウスのこと）が泣きながら集まる中、激しく咆哮（ほうこう）しつつ、仁王（におう）立（た）ちに立っていた。イアピュクスは、外套（がいとう）の裾（すそ）をまくりあげ、老骨に鞭（むち）打って、パエオンの技(7-769)に没頭した。彼はさまざまな医学の手段（しゅだん）を駆使（くし）し、ポエブス直伝（じきでん）の効能（こうのう）の高い薬草を用いてみたが、思うように効果があがらぬ。 右手で鏃（やじり）を探り、ピンセットを使って鉄片（てっぺん）を捉（とら）えようと努力するが、これもうまくいかぬ、幸運の女神（フォルトウナ）は、道を示したまわず、導師（どうし：アウクトル）のアポロも御姿（おすがた）を隠されたまま。その間に、戦場は大混乱に陥（おちい）った。危険は次第に陣営に迫ってきた。すでに天は暗い砂塵に覆われ、敵の騎兵の蹄（ひづめ）の音がうるさくなった。矢は次々と陣内に落下し始めた。戦う若武者たちの悲痛な叫び声が天にこだました。彼らは仮借（かしゃく）なきマルス神の下（もと）、次々と倒れていった。(12-391)-410) ○---アポロドロスの「ギリシャ神話」 (3-5-3)レウキッポスは娘ヒラエイラとポイベを生んだ。ディオスクロイが彼女らを掠（サラ）って妻とした。彼らの外にアルシノエが生れた。彼女とアポロンが交わって、女はアスクレピオスを生んだ。しかし一説にはアスクレピオスの母はレウキッポスの娘アルシノエではなくて、彼はテッサリアのプレギュアスの娘コロニスの子であるという。そしてこれによればアポロンはこの女を愛し、直ちに交わったが、彼女は父の意見に反してカイネウスの兄弟イスキュスを好み、彼と交わったという。 アポロンはこれを告げた鴉（からす）を呪って、それまで白かったのを黒くし、女をば殺した。彼女が焼かれている時に火葬台より嬰児をひき掠（サラ）って、ケンタウロスのケイロンの所に連れて行き、子供は彼の所で育てられる間に医術と狩猟（しゅりょう）の技とを教えられた。そして彼は外科医となり、その術を非常に研鑽（けんさん）進歩させて、ある者の死を防げたのみならず、死者をもよみがえらせた。 アテナよりゴルゴンの血管から流出した血を得て、左側の血管より流出せる血を人間の破滅に、右側よりのを救済に用い、これによって死者を蘇生させた。彼によって生きかえったと称せられる幾人かの人々を余は見出したが、これはステシコロスがその「エリピュレ」中で言うところによれば、カパネウスにリュクルゴス、「ナウパクティカ」の著者の言うところによればヒッポリトス、パニュアッシスの言によればテュンダオレス、オルペウス教徒の言によればヒュメナイオス、メレサゴラスの言によればミノスの子グラウコスである。 ゼウスは人間が彼より治療の術を獲得して互いに助け合いはしまいかと恐れて、彼を雷霆で撃った。

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2015/12/21 オリジナル教会（初代代表）　笹倉正義
正式名称：（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会