（２）アキレス

　（２）アキレス

ホメロスの『イリアス』では、アキレスとアガメムノンの確執で始まり、それがギリシャの神々の思惑とからまって物語が展開されていく。しかし、映画では神々は登場しない。

（引用）アポロドーロスの『ギリシア神話』高津春繁訳　岩波文庫

トロイ戦争は神意
<P181>
S（アガメムノンはミュケナイ人を支配して、チュンダオレスの娘クリュタイムネストラを、その前の夫たるチュエステースの子タンタロスをその子もろとも殺害して、妻となし、そして彼に一男オレステースと娘たちクリュソテミス、エレクトラ、イピゲナイアが生まれた。一方メネラオスはヘレネを娶り、チュンダオレスが彼に王国を与えたので、スパルタに君臨した。

Ⅲ　しかし後アレクサンドロスがヘレネを奪った。これは一説によればヨーロッパとアジアが戦い入って、自分の娘が有名になるようにというゼウスの意によっていると言われ、或いは他の説によれば半神の族が名高くなるためであるとも言われている。これらの中の一つの原因によって）

争いの女神（エリス）がヘラ、アテナ、アプロディテに美の賞として林檎（りんご）を投じ、ゼウスは彼女らをアレキサンドロスによって審判されるべく、イデ山の山中の彼の所に導くようにヘルメスに命じた。女神たちはアレキサンドロスに賜物を与える約束をし、ヘラは、もしあらゆる女にまさっているとされた時には、全人類の王となることを、アテナは戦における勝利を、アプロディテはヘレネとの結婚を、約した。彼はアプロディテを選び、ペレクロスが建造した船でスパルタへと出帆（しゅっぱん）した。九日（ここのか）の間メネラオスの所で歓待せられた後、十日目（とおか）にメネラオスがその母の父カトレウスの葬（ともらい）を行うべくクレタに旅だった時、ヘレネを自分とともに出奔（しゅっぽん）するように説き伏せた。

<P182>
彼女は九歳になるヘルミオネを後に残し、大部分の財宝を船に積み込み、夜彼とともに海に出た。しかしヘラが彼らに大暴風を送り、これがためにやむなくシドンに寄港した。アレキサンドロスは追跡されないように用心して、フェニキアとキプロスに長い間日を送った。

ギリシャ連合艦隊
（中略）
ｓ（メネラオスは奪われたことを知って、ミュケナイのアガメムノンの処に来り、トロイへの軍を集め、ギリシャを召集（しょうしゅう）することを求めた。アガメムノンはそれで諸王に使いを遣わし、彼らが誓った宣誓を思い出さしめ、ギリシャに対するこの屈辱（くつじょく）はすべての者に共通であると言って、各人が自分の妻の安全を計るようにと勧告した。多くの者が出征（しゅっせい）に熱心であった。そしてある者がイタケのオデッセウスの所に赴いた）。

＜189>
九年が過ぎ去った時にトロイ人に味方が到着した。

アキレス
Ⅳ　アキレスは神官クリュセスの娘ブリセイスが原因で憤り、戦（いくさ）に出なかった。それゆえに夷狄（いてき）たちは力を得て市よりうって出た。そしてアレキサンドロスはメネラオスと一騎打ちをし、アレキサンドロスの旗色が悪かった時にアプロディテが彼を奪って行った。そしてパンダロスはメネラオスを射て休戦の誓いを破った。

<P190>
日中に激しい戦闘となり、アガメムノン、ディオメディス、オデッセウス、エウリュピュロス、マカオンは負傷し、ギリシャ方が敗走した時、ヘクトルは壁を破って入り、アイアスが後退したので、火を船に放った。

アキレスはプロテシラオスの船の燃えているのを見た時、パトロクロスに自分の武具に身をかためさせ、馬を与えてミュルミドンたちとともに彼を送り出した。トロイ人は彼を見てアキレスと思い、敗走しだした。彼らを城壁内に追い、多くの者を殺したが、その中にゼウスの子サルベドンもあった。

親友パトロクロスの死
そして最初にエウポルボスに傷つけられた後、ヘクトルに討ちとられた。彼の死骸を争って激しい戦闘が生じ、アイアスは勇戦の結果ようやくのことに死体を救った。

アキレスは怒りを捨て、ブリセイスを手に入れた。

ヘパイストスより彼に武具一式がもたらされ、これに身をかためて彼は戦いにうって出（い）でスカマンドロス河へとトロイ人を追い、そこで多くの者を殺したが、またアクシオス河の子ペレゴンの子アステロパイオスを討ち取った。そして河神は憤怒してアキレスを襲った。しかしヘパイストスは大いなる火で追った後その河床を干（ほし）あがらしめ、アキレスは一騎打ちでヘクトルを殪（倒し）、彼の踵（きびす：かかと）を自分の戦車に結びつけ、彼を引きずりつつ船に行った。

そしてパトロクロスを葬った後、彼を祭る競技を行い、そこで戦車競争でディオメデス、拳闘でエペイオス、相撲（すもう）でアイアスとオデッセウスが勝利を得た。

しかし競技の後プリアモスはアキレスのもとに来（きた）ってヘクトルの死体を贖い、葬った。

2014/11/23 オリジナル教会（初代代表）　笹倉正義
正式名称：（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会