（１）パリスとヘレネ

物語は、トロイ王子のパリスとスパルタ王の妻ヘレネとの不倫からはじまる。礼節を欠いた王子のふるまいを父王と国民は「愉快」とした。アガメムノンの号令により、ギリシャ連合艦隊が編成され、トロイ討伐に向かうが、戦いは小アジアに拡大した。トロイ戦争は、当時のヨーロッパと小アジアとの戦いになった。ためにトロイ城下に両軍が対峙したのは、最初の事件から１０年を要した。

（引用）アポロドーロスの『ギリシア神話』高津春繁訳　岩波文庫

ヘレネの場合 <P148>第三巻 ゼウスは白鳥の姿となってレダと、また同じ夜にテュンダオレスが、交わって、ゼウスからはポリュデウケスとヘレネが、テュンダオレスからはカストル（トクリュタイムネストラ）が生まれた。 しかし一説には、ヘレネはネメシスとゼウスの娘である。それというのは、ネメシスがゼウスとの交わりを遁れて鷲鳥に身を変じたところ、ゼウスもまた白鳥の姿となって彼女と交わったからである。 <P149> ヘレネーと結婚せんものとギリシャの王たちがスパルタに赴いた。求婚者たちは次のごとくであった。ラエルテスの子オデッセウス、チュデウスの子ディオメデス、ネストルの子アンティロコス、・・・・（中略）・・・・、アトレウスの子メネラオス、・・・・、メノイティオスの子パトロクロス。これら大勢の人々を見てチュンダレオスは一人を選べば他の者たちが争いを起こしはせぬかと心配した。 しかしオデッセウスが、もしペネロペと彼との結婚に力を貸してくれるならば争いが起こらぬある方法を教えようと約束したので、チュンダレオスが彼に助力しようと約すると、もし選ばれた婿が誰か外の者によってこの結婚に関して何か害を蒙った場合には、求婚者たちはすべて助けるようにと宣誓させるがよいと言った。 これを聞いてチュンダレオスは求婚者たちに誓いをさせ、かくてメネラオスを彼自身で婿に選び、オデッセウスのためにイカリオスよりペネロペを乞うてやった。 パリス（アレクサンドロス）の場合 <P153>第三巻 しかしプリアモスはアリスペーをヒュルタコスに与えて、デュマースの娘、あるいは一説にはキッセウスの娘、また他の説によればサンガリオス河とメトーペーの娘であるヘカベーを娶った。彼女に最初にヘクトルが生まれた。 第二の赤児が生れようとした時、ヘカベーは燃え木を生み、これが全市に拡がって焼く夢を見た。プリアモスはこれをヘカベーより聞いて、息子のアイサコスを呼び寄せた。というのは彼は母の父メロプスより夢占いを教えられていたからである。 <P154> 彼はその子が国の破滅となると言って、赤児を棄てるようにと勧めた。そこでプリアモスは赤児が生れると、召使いにイーデーに連れて行って棄てるように渡した。召使いの名はアゲラーオスと言った。彼に棄てられた赤児は五日の間熊によって育てられた。そしてアゲラーオスは赤児の無事なのを見出した時、それを拾い上げて連れ行き、パリスと呼んで自分の農場で自分の子として育てた。 美貌と力とによって衆に優れた若者となって、盗賊をうち退け、羊を守ったので、後アレクサンドロスと綽名せられた。そして後暫くして両親を発見した。 （アレキサンドロスはalex-「守る」とandr「男」との合成語である）。 ヘクトルはエエティオンの娘アンドロマケを、アレクサンドロスはケブレン河の娘オイノネを娶った。 彼女はレアより予言の術を学んで、アレクサンドロスにヘレネを求めて航海せぬようにと予言した。しかし彼を説得出来なかった時に、もし負傷した時には自分の所に来るように、彼女のみがそれを治癒することができるのだから、と言った。 彼はヘレネをスパルタより奪い去り、トロイが攻められている間にピロクテテスにヘラクレスの弓で射られた時に、イデ山上のオイノネの所へ帰って行った。 しかし彼女は怨みを忘れず、治癒を拒んだので、アレクサンドロスはトロイに運ばれる途中死んだ。オイノネは後悔して薬を持って行ったが、彼が死骸となっているのを見出した時に、自ら縊（くび：首をくくって死ぬ）れた。

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2014/11/19 オリジナル教会（初代代表）　笹倉正義
2014/11/22、11/30
正式名称：（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会