５７．鉄 ５７．鉄
| この章は、お布施の勧進である。 |
| 慈悲ふかく慈愛あまねきアッラーの御名において・・・・ 57-1天にあるもの、地にあるもの、すべて声たからかにアッラーを讃えまつる。ああその力限りなくその智限りなき御神よ。57-2天と地を統べ治め、（万有に）生を与え、死を与え給う。ああ全能の御神よ。57-3彼こそは最初なるもの、最後なるもの。外なるもの、内なるもの。ああ全知なる御神よ。57-4六日で天と地を創造し、やおら玉座に腰おろし給うたのもこのお方。地に浸み込むもの、地から湧き出すもの、天から降るもの、天に昇り行くもの、すべてを知り給う。お前たち、どこにいようとも必ず側にいらっしゃる。お前たちのすることを全部見ていらっしゃる。57-5天も地もともに統べ治め給う。一切のものごとはアッラーのお手元に戻されて行く。57-6夜を昼の中にはいらせ、昼を夜の中にはいらせ給う。胸の奥底にひそむ思いもみな御存知。 ---「六日で天と地を創造」とはユダヤ教そのもの。七日目は神が創造を終えて休まれた日、「安息日」を導くためで、六日そのものに意味があるわけではない。それは１００億年でもユダヤ人の知ったことではない。（旧約）聖書はユダヤ人のもので、人類のものではない。 57-7お前たち、アッラーとその使徒を信じ、（アッラー）に継がせて戴いたものを惜しみなく（神の道に）使うようにせよ。お前たちのうち信仰し、惜しみなく出す者は、いまに大きな御褒美いただけようぞ。 ---軍資金の調達文である。御褒美とは、富者側を撃破したあかつき、分捕り物がもらえるということでなければならない。アッラーとはイスラムの別名である。「アッラーに讃えあれ」は「イスラム万歳」に等しい。 57-8これ、お前たちどうしてアッラーを信仰せぬか、あれほど使徒が主を信仰せよと勧めておるのに。前々から（アッラーと）契約ができているではないか。え、お前たちも信者ではないか。57-9お前たちを暗闇から光明に連れ出してやろうとて、ああして盛んにまごうかたない神兆を僕に下していらっしゃるのは誰あろう（アッラー）御自身におわしますぞ。まことに、アッラーはお前たちにどこまでもやさしく、慈悲ぶかくして下さることか。 57-10これ、お前たちどうしたことか。なぜアッラーの道にそう出し惜しみする。天と地の遺産をそっくり継ぎ給うほどのアッラーにおわしますぞ。お前たちの中でも、今度の大勝利の以前から惜しみなく金を出して勇敢に戦って来た者は（ほかの人々）とは同列ではない。そういう人たちは、（大勝利の）あとで金を出し、戦いに参加した人々より段が高い。尤もどちらにもアッラーは立派な御褒美を約束してはおられるが。アッラーはお前たちのしていることを全て御存知。57-11これ、誰かアッラーに気前よく貸付けする者はおらぬか。必ずいまに二倍にして返して下さるぞ。 ---ここの文章は、アッラーとイスラムの関係を説明するのに役立つ。イスラムへの軍資金提供と戦利品分配の損得勘定を説明している。何か事業をしようと思えば資本が必要である。イスラムの場合は、軍馬などの最新兵器の調達である。初期のイスラムは、その主力が貧民であるから、軍資金調達にも苦労したのである。 57-12まあ見ているがよい、いよいよその日になると、男も女も、すべての信者たちの前にも右手にも光りがどんどん走って行く。「さあ今日こそお前たちに嬉しい伝言があるぞ。 57-15本当の信者であるならば、もうそろそろ心ひくくアッラーのおお諭を受け容れ、こうして天から下し給うた真理を有難く頂戴する潮時ではないか。その昔、聖典を授けて戴きながら、あまり期間が長すぎて待ちきれず、とうとう心をこちこちに硬くして、大抵の者が悪の道にはしってしまった、あんな者どもの轍を踏まぬように心がけるべき時ではないか。 57-16よく心得ておくがよい、アッラーこそ一旦枯死した大地をまた蘇らせて下さるお方だということを。我らがこのように神兆を解き明かすのも、なんとかお前たちにもののわかった人間になって貰いたいと思えばこそ。57-17男でも女でも、こころよく喜捨を出し、アッラーに気前よく貸付けしたものは、必ず二倍にして返して戴ける。充分に御褒美いただける。57-18アッラーと使徒たちとを信ずる者、そういう人たちこそ主の御旨にかなう誠実の亀鑑、証言人。みなそれぞれに立派な御褒美いただき、立派な光明をいただけようぞ。が、信仰に背き、我らの神兆を嘘よばわりしたような者ども、そういう者どもは地獄に落ちる。 57-19これ、よく聞け、現世の生活はただ束の間の遊びごと、戯れと、徒なる飾り。ただいたずらに（血筋）を誇り合い、かたみに財宝と息子の数を競うだけのこと。現世とは、雨降って緑草萌え、信なき者ども大喜び、と見るまに忽ち枯れ 57-21さあ、お前たち競って主のお赦しの方に走って行け。楽園めざして走って行け。その広さは天地の広さほどもあって、特にアッラーと使徒を信ずる人々のために設けられたもの。これはアッラーのお恵みで、誰でも御心のままに授け給う。アッラーは限りなきお恵みの持主におわします。 57-22地上に起るいかなる災難も、お前たちの身に起るいかなる災難も、我らがそれを引き起す以前に、（天の）帳簿についている。アッラーともなれば、それくらいわけないこと。57-23だからお前たち、何か取り遁がしたと言うて悲しがることもない、何か（うまいことが）身に起ったからと言うて得意がることもない。元来アッラーは、あまりいい気になりすぎて、つけ上るような者はお好きではない。57-24そのような者にかぎって自分も 57-25さ、こうして我らは何人も使徒を遣わしてれっきとした神兆を届けさせ、また彼らにつけて啓典を下し、秤を下してやった。人間どもが公正を持して行くことができるように。それから鉄も授けてやった。この（鉄）というものにはもの凄い力がひそんでいて、使いようによっては大変人間に役に立つ。またこれでアッラーは、目に見えぬ御自分や使徒たちの味方をするのは誰と誰か、ということもよくおわかりになる。まことに、アッラーはお強い、お偉いお方。 57-26また我らはヌーフとおイブラーヒームを使徒として立て、この二人の ---商才豊かなユダヤ人と違い、多くが異邦人である修道者は世捨て人であり、貧者である。イスラムが貧乏人を攻撃することはない。マルヤムの子イーサーを貶めるような文章でないのは、これが初期のもので、まだキリスト教会を攻撃する段階ではなかったからである。 57-28これ、お前たち信徒のもの、アッラーを懼れ、その遣わし給うた使徒を信ぜよ。そうすれば必ずお恵みを二倍も下さろう。お前たちの足もとが明るくなるようにと光りも下さろう。罪を赦しても下さろう。アッラーは気のおやさしい、情ぶかいお方におわします。57-29啓典の民も思い知るがいい、彼らにもアッラーのお恵みを自由にすることは決してできぬということを。お恵みはアッラーの御手の中。誰に下さるかは御心のまま。それにしても、アッラーは限りなきお恵みを所有し給う。 |
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