（１）天罰の福音 （１）天罰の福音
| 慈悲ふかく慈愛あまねきアッラーの御名において・・・・ 45-1ハー・ミーム。この聖典を下し給うたはアッラー、全能、全知の御神。45-2まこと、天と地（の創造）こそ信仰ある人々にとっては有難い神兆であるはず。 ---この天地創造は、ユダヤ人の聖典「創世記」のコピーであろうが思慮が足りぬ。「創世記」の天地創造の主題は、「安息日」である。安息日の遵守こそ、ユダヤ人をユダヤ人たらしめる、「行い」だからである。 このヒントはイスラムのイスラムたる行いに、「跪拝」を採用したことで成功を収めたのである。実際の天地創造は、人の係わり知るとことでないことは、聖書の編者は知っていたのである。人間がどのように形成されて来たのかは宗教とは関係ない。現在では考古学者の領域になる、過去に遡る知識の富は、キリスト教会とも関係ない。 宗教は、非条理に苦しむ人々を救済することを目的とし、近代知識に影響されない。「知識」は、非条理の問題を解決する手段にはならない。 45-3また、お前たちの創造も、いたるところに動物を播き散らし給うたことも、揺るぎない信仰もつ人々にとっては、みな有難い神兆であるはず。45-4それからまた、夜と昼の交替も、アッラーが天から慈雨を降らせてそれで枯死した大地を生き返らせ給うことも、風の吹き替りも、もののわかる人々にとってはみな有難い神兆であるはず。45-5これは我らが汝にありのままに語り聞かせる神兆の数々。さ、こうしてアッラー（のお言葉）と神兆を（じかに聞かせて）戴いておきながら、一体彼ら（ほかの）どのような話しを信仰しようというのか。 45-6ああ、罪ふかい嘘つきどもに禍あれ、45-7アッラーのお言葉を誦んで聞かせても、相かわらず放漫不遜、まるで耳に入らぬといった顔。よし、そのような者には苦しい天罰の福音を伝えてやるがよい。 ---「苦しい天罰の福音」これがキリスト教と全く違う点である。イエスはこのように言われた、と書いてある。 （ルカによる福音書） 6-27しかし、聞いているあなたがたに言う。敵を愛し、憎む者に親切にせよ。 6-28のろう者を祝福し、はずかしめる者のために祈れ。 6-29あなたの頬を打つ者にはほかの頬をも向けてやり、 あなたの上着を奪い取る者には下着をも拒むな。 6-30あなたに求める者には与えてやり、あなたの持ち物を奪う者からは取りもどそうとするな。 6-31人々にしてほしいと、あなたがたの望むことを、人々にもそのとおりにせよ。 6-32自分を愛してくれる者を愛したからとて、どれほどの手柄になろうか。罪人でさえ、自分を愛してくれる者を愛している。6-33自分によくしてくれる者によくしたとて、どれほどの手柄になろうか。罪人でさえ、それくらいの事はしている。6-34また返してもらうつもりで貸したとて、どれほどの手柄になろうか。罪人でも、同じだけのものを返してもらおうとして、仲間に貸すのである。 6-35しかし、あなたがたは、敵を愛し、人によくしてやり、また何も当てにしないで貸してやれ。そうすれば受ける報いは大きく、あなたがたはいと高き者の子となるであろう。いと高き者は、恩を知らぬ者にも悪人にも、なさけ深いからである。6-36あなたがたの父なる神が慈悲深いように、あなたがたも慈悲深い者となれ。 ---イスラムの神は、イスラムに加わらない者に罰を与える。そのようなものが宗教と言えるか。 45-8そのような者は、たとい我らの神兆がいくらかわかっても、すぐにそれを ---貧民から構成されるイスラム兵が、傭兵に護られている富裕層の隙を狙っている呪詛の文である。初期のイスラムの心底がよく現われている。 45-9行く手はジャハンナムあるのみ。せっかく（現世で）稼ぎためたものもなんの役にも立ちはせぬ。恐ろしい天罰が待っている。45-10これこそは神の御導き。己が主の神兆を信じないような者には、お怒りの苦しい罰が待っているばかり。 ---貧者にとっては、失うものは何もないから、ありがたいお言葉。富裕層を地獄に叩き落して、彼らの財産を奪うことの正当性を説いている。行為の本質は、強盗であり、山賊であり、海賊なのに、「アッラー」をかついで聖戦の美徳に替えようというのである。宗教問答に、このような呪詛が含まれているとは、富裕層の考え及ばぬことであった。しかし、「アッラー」に集結する貧民の数が増えるに従い、さすがの富裕層も脅威を感じ始めるが、その時にはすでに遅かったのである。相手は、最初から喧嘩を吹っかけて、その財産の強奪を狙っていたからである。この理論は、見抜かれて、現在では通用しない。 45-11アッラーこそはお前たちのために海をとり抑え、そこに御命奉じた舟を走らせ、それでお前たちがそのお恵みを求められるようにはからって下さったお方。これもみなお前たちにしみじみ有難いという気持を抱かせようとのお思召。45-12そればかりか、天にあるもの、地にあるもの、一切を挙げてお前たちの用に供して下さった。これみな（アッラー）の特別のおはからい。少しものを考えるほどの人間なら、これがれっきとした神兆だとわかるはずではないか。 45-13信仰ぶかい人々に言ってやるがよい、アッラーの勝ち軍を望まない者どものことなどそっと構わないでおくようにと。そうすればきっと（アッラーが御自分で）みなそれぞれの稼ぎ高に応じた報酬を下さろう、と。45-14なんでも義しいことすれば結局わが身の得。悪いことすれば自分が損するだけ。いずれにしても最後にはお前たちみな主のみもとに連れ戻されて行く。 |
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