（１）祝福の夜 （１）祝福の夜
| 慈悲ふかく慈愛あまねきアッラーの御名において・・・・ 44-1ハー・ミーム。まごうかたなきこの聖典にかけて・・・・44-2まこと、我らはこれを祝福の夜に下し、これによって（人々に）警告を与えんとするものであるぞ。44-3この夜こそ、なべてのこと整然と一糸乱れず決められる夜。44-4我らじきじきの命によって。かく、我らが（太古このかた常に使徒に聖典を持たせて人々の間に）派遣して来たのは、44-5ひたすら汝の主のお情であるぞよ。耳敏く、全てを知り給う。 44-6勿体なくも天と地とその間なるすべてのものを統べ治め給う御神の（特別のお情）。お前たちにしっかりした信仰があれば（このくらいはわかっておるはず）。44-7このほかに神はない。（万物を）生かすも殺すも（この御神の）おはからい。お前たちの主、またお前たちの遠い御先祖がたの主におわします。 44-8だがいくら言ってきかせても彼らはやはり疑って、浮かれておる。44-9よし、見ておれ、いまに大空がもくもくと黒煙ふき出して、44-10人間どもの頭上を覆う日が来よう。恐ろしい天罰とはそのこと。 ---「彼らはやはり疑って」の彼らとは、金持ちのことである。彼らは、あほみたいなことを言うイスラムの連中のことに耳を貸さないのは当然である。それがイスラムの付け目である。単に相手を撃って金品を奪えば強盗である。しかし、それを宗教対立に持ち込み、考案したアッラーの名の下に聖戦を仕掛ければ、強盗の汚名は着せられないで済む。もちろん、そのためには勝たねばならない。勝たねば元も子も無い。 ---そのために考案したのが、「アッラーに讃えあれ！」を豪誦し、隊伍を整えて突進することである。「やっちまえー！」ではいけない。それでは強盗になる。 44-11「神様、この責苦を取り除き給え。わしら必ず信仰いたしまする。」44-12なんの、もう二度とあんな者どもなど諭してやるものか。前にもれっきとした使徒を遣わしてやったのに、44-13くるりと背を向けて、「こいつ誰かに入智恵されて来たな」とか「もの憑きだ」とか言ったではないか。44-14これで我らが責苦をゆるめでもすれば、お前たち忽ち逆戻りしてしまうであろう。44-15（今日は）こちらが大荒れに荒れる日、ここで恨みをはらさないでなんとしょう。 ---「ここで恨みをはらさないでなんとしょう」の恨みをはらす相手は、今自分たちの狙っている「金持ち」である。 「出エジプト」のパロ 44-16彼らの前にも、我らはフィルアウンの一族を試みたことがある。立派な使徒がやって来て、44-17「アッラーの僕らをわしに渡して下され。わしは特に貴方がたのところへ遣わされて参った誠実な使いじゃ」と言い、44-18また、「アッラーに歯向かうのはやめなされ。わしはまごうかたない権能を授かって参ったもの。44-19貴方がたこのわしを石打ちにして殺そうとなさるなら、わしは（アッラー）に護って戴こう。わしの神様でもあれば、貴方がたの神様でもあるお方に。44-20だが、どうしてもわしの言うことと信じて下さらないのなら、いっそわしに構わんで下され」と言った。 44-21やがて彼は主に祈り、「この、者どもはよくよく罪深い人間でござります」と訴えたので、44-22「よし、それではお前、わしの僕らを連れ、夜闇に乗じて逃げ出すがよい。必ず追手がかかるぞ。44-23（お前たち渡ってしまったら）二つに割れた海をそのままにしておくのだぞ。向うは全軍溺れ死ぬであろう」（とのお告げがあった）。 44-24ああ、彼らが後に残した緑園や泉がどれほどあったことか。44-25どれほどの畑、どれほどの見事な住居。44-26それに、飽くなき歓楽のもとだったあの豊かな生活。44-27そのすべてを我らはこうして他の民族に継がせてしまったのであった。44-28それでも、天も地も彼らのために泣きはしなかった。なんの容赦もされなかった。 44-29我らはイスラエルの子らを屈辱にみちた苦境から救い出してやった。44-30すなわち、フィルアウンの手から。彼はまことに思いあがった男、始末に負えぬ男だった。44-31こうして我らは思うところあって彼らを選び、他のすべての人々の上に置き、44-32まぎれもない試練となるような数々の神兆を示したのであった。 ---ここに書かれているのは、モーセの出エジプトに似た話であるが、それはにわか仕立てのアッラーをユダヤの神とキリスト教の神の上に置くためである。イスラムのアッラーには根が無い。また、アッラーはイスラムとしても使われるご都合主義の名前であることを承知していないと、わけがわからなくなる。そういうわけではあるが、なにしろ勉強不足、コーランに出てくる名前は、旧約聖書ではノア、アブラハム、ロト、イサク、ヤコブ、イシマエル、モーセ、エジプト王の一般名パロ、ヨナぐらいのものであり、新約聖書では、聖母マリヤ、イエス、ザカリヤぐらいのものである。 |
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