（２）廃墟の町々 （２）廃墟の町々
| 40-22一体あの者ども、地上をあちこち旅して歩いて、昔の人々がどのような最後をとげたか眺めたこともないのか。みな彼らより力も強くて、地上にあれほど壮大な跡まで残したくらいだったのに。それでも、彼らがあまり悪事をはたらいたので、アッラーにいぐっと摑まれてしまった。そんな時、アッラーから彼らを獲れる者など一人もいなかった。40-23そのようなことになったのも、もとはと言えば、せっかく使徒がまごうかたない神兆を携えてやって来たのに、彼らが信仰しなかったからのこと。だからアッラーがぐっと摑まえてしまい給うた。何しろ恐ろしい力持ちの神様だから、その罰はもの凄い。 ---これら滅んで廃墟となった町を繰り返し引き合いに出すのは、イスラムに降らない町は滅ぼされるという警告である。それがマホメットが警告者の意味であろう。 モーセ 40-24そう言えば、我ら数々の神兆と、まごうかたない権能を持たせてムーサーを派遣したことがあった、40-25フィルアウンとハーマーンとカールーンのところへ。ところが彼ら、「これは大嘘つきの妖術師だ」と言った。40-26我らじきじきに授けた真理を持って行ったのに、「この男と一緒に信仰している者どもの息子はみな殺しにして、女だけ生かしておけ」などと言い出す。だが、どうせ罰当りどもの悪だくみなぞ成功したためしがない。40-27フィルアウンの申すよう、「みなのもの、わしにムーサーを殺させてくれい。いくらでも己の神に祈るがいいわ。このままにしておくとお前らの宗教を変えてしまうかも知れん。この国に 40-28しかしムーサーは、「決算の日を信じようとせぬ放漫な者に対しては、わしは己が神でありお前らの神でもあるお方のみもとに遁れて行くばかりじゃ」と言った。 40-29時に、フィルアウンの一族の者でひそかに信仰していた男があって言うことに、「ただ『わが主はアッラー』と言うだけのことで人一人殺そうとなさるお積りか。貴方がたの主のおみもとからまごうかたない 40-31そこで信仰ぶかいその男は言った、「これ、みなの衆、わしは、かつて（無信仰の）宗派が（神の一撃の下に滅ぼされた）あの日のようなことがお前がたにも起るのではないかと心配でならぬ。40-32ヌーフやアードやサムードと同じようなことにならはせぬか、40-33またそれより後の世の（無信仰者ども）と（同じようなことになりはせぬかと心配でならぬ）。アッラーはご自分の僕らに不義不正はお望みにならぬ。40-34これ、みなの衆、わしは、お前がたのために、召喚日のことを心配しておる。40-35お前がたがアッラーの（御怒り）から誰にも守って貰えずに、尻ごみして逃げ隠れせねばならぬあの日のことを。何しろ、一旦アッラーに見離された者は、もう誰にも手引きして貰えぬからな。 ---このアッラーをムスリム（絶対帰依者・原理主義者）とかイスラム兵に置き換えると、だらだらした語りの文意がはっきりする。これらは反イスラム者への警告であり、ムスリム恐怖の刷り込みである。 40-36いつか、ずっと前にユースフがまごうかたなきお徴を持ってやって来た時も、お前がたは彼の持って来たものをどこまでも疑い続け、とうとう彼が死んだとなると、『さあ、今後はアッラーも使徒をよこすまい』などと言ったものであった。でたらめで、やたらに 40-38するとフィルアウンが言うことに、「これ、ハーマーン、わしに高い塔を建ててくれい。あの網に届くほどの高いのを。40-39天の網（まで届くものを）。一つムーサーの神様とやらを眺めてやろうぞ。ま、どうせ嘘だろうとは思うが」と。40-40こうしてフィルアウンは己が悪業を立派なことと思い込み、（神の）道から閉め出されてしまった。このフィルアウンの計略が惨憺たる結果におわったことは言うまでもない。 40-41そこで例の信仰ぶかい男が言った、「のう、みなの衆、このわしについて来なされ、必ず正しい道に手引きして進ぜましょう。40-42のう、みなの衆、この世の生活はただ束の間の楽しみで、来世こそ不滅の宿。 ---この世の生命は短いので、時間を大切に生きようという気持が現われる。人間関係を大切にしたいという気持も起る。イスラムがこのようなことを重ねて言うのは、平民を兵士にするに当り、この世への執着を捨てさせる狙いがある。 |
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