３０（２）図々しい奴隷 ３０（２）図々しい奴隷
| 30-27さあ、今度はお前たちの身近かなところから譬えをお引きになったぞ。現にお前たちの右手の所有にかかる者の中で、お前たちの財産を堂々とわがもの顔に共有し、お前たちお互い同士遠慮し合うように、その者に気兼ねせねばならぬ、と、そんな者があるであろうか。こうして我らは、もののわかる人々のために種々様々に神兆を説き明かす。30-28だが、結局、不義のやからは、なにも知りもしないで、己の思惑につられて行くばかり。もともとアッラーが迷わせ給うた者どもを、誰が道案内などしてやれるものか。ただの一人も助けてくれる者などありはせぬ。 ---アレキサンダー大王を連想させる昔話から転じて、右手の所有すなわち奴隷を引用した。 30-29さ、汝はひたすら宗教に顔を向けるがよい。純正な信仰の人としてな。これこそアッラーが人間を創造し給うたそのままの本然の姿。アッラーの創造の御業に改変などあるはずがない。これこそ、すっくと立った正しい宗教だぞ。だが、大抵の人間にはそれがわからない。 ---コーランの言う人間とは、イスラム戦士のことである。 30-30お前たちいつでも（アッラー）の方に戻りつつ、懼れかしこまねばならぬぞ。礼拝の務めをかかさず、偶像崇拝にはしってはならぬぞ。30-31と言うのは、宗教をずたずたに裂いて分派をつくり、それぞれ己が（信条）こそ一番だといい気になっておる人々のこと。 ---ユダヤ教やキリスト教には分派がある。同じように分派を作ってはならないという警告である。 30-32人間というものは、何か不幸に見舞われると、神様の方に向き尚って盛んに祈り出すが、お慈悲の味でも見せてやろうものなら、もうさっそく一部の者は邪宗にはしり、30-33せっかくの我らの好意を無にしてしまう。「ええ、そうして浮かれておるがいい。いまに思い知る時がこよう。」30-34彼らが（アッラーと）ならべて拝んでいる（邪神ども）を保証するような確かな証拠を我らが下してやったとでも言うのか。30-35人間というものは、こちらが慈悲の味を見せてやればそれで大喜び。ところが自業自得で何か禍にでも見舞われると、たちまちぐったりしてしまう。30-36彼ら、見たことないのか、アッラーは御心のまま誰にでも日々の糧を限りなく与え給うかと思えば、また引き緊め給う。これこそ、信仰ぶかい人々にとっては、れっきとした神兆ではないか。 ---「苦しいときの神だのみ」、普段人は神のことは忘れている。だからこそ、神事の専門職が必要である。ユダヤ人のレビ人のシステムは素晴らしいものだった。キリスト教でもローマカトリックがある。 30-37また親類縁者にやるべきものは（惜しみなく）やるよう。それから貧者や道の子にも。アッラーのお顔を拝したいと願う人々であれば、その方がどれほど身のためになるかわからない。そういう者は必ずいい目を見ることになろう。 ---これが具体性のある「律法」である。いくつも並べないで、ひとつふたつ置かれる。 30-38お前たち、他人の財産で得とろうとて利息つきで貸付けしても、そのようなものはアッラーのもとでは全然殖えはせぬ。アッラーのお顔を拝したいばかりに喜捨したもの、そういうものこそ、二倍になって還ってくる。 30-39アッラーこそは、お前たちを創造し、養い育て、死に至らせ、次にまた生き返らせ給うお方。お前たちが（アッラーの）御同輩（と称して拝んでいる）ものの中にこのようなことができる者があるか。ああ勿体ない、恐れ多い、彼らが一緒に崇めているようなものとは比較にならぬ高みにいます御神なのに。 30-40陸にも海にも頽廃が現われた。みんな人間どもの仕業。どれほど（悪いこと）をしたものか、その（罰）の味を見せてやらずばなるまい。そしたら、彼らも戻って来ないものでもあるまい。 |
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