（３）妖術師の跪拝 （３）妖術師の跪拝
| モーセ対パロ 20-59「お前、その妖術で我々をこの国から追い出そうとしてやって来たのか、これ、ムーサー」と彼は言った、20-60「よし、それなら我らの方でも妖術に対抗して見せよう。一つ我らとお前とで（正式に腕くらべしようではないか。）双方に都合のいい場所で、必ず約束にたがわぬこと、我らもお前も」と。20-61「では、お祭りの日にお逢いすることにいたしましょう。日が高く昇った頃、人民をお集めになっておかれませ」と彼が言った。20-62そこでフィルアウンは帰還して、あらんかぎりの術策を寄せ集め、やがて（約束の日に）現われた。 20-63時にムーサー彼らに向かい、「みなさん、大変なことになりますぞ。アッラーについて、ありもせぬことを言いふらしてはなりませぬ。20-64さもないと、（アッラーは）天罰で貴方がたを根絶やしにしておしまいになりますぞ。今までにも、ありもせぬことを言いふらした者はみなひどい目に遇っております」と言う。 20-65そこで一同は、互いにああだこうだと策を論じ、他人には聞かせぬひそひそ話しで、20-66言うことに、「この二人はたしかに妖術使い。御身がたを妖術をもって国から追い出し、御身がたの立派な行き方を根絶やしにしようとの魂胆。20-67されば、あらんかぎりの術策を結集し、陣立てよろしくととのえて来られよ。幸福は今日勝を獲た者の上に」と。 20-68「これ、ムーサー、そなたが投げるか、それとも我らが先に投げようか」と彼らが言えば、20-69「まず貴方がたから投げなされ」と言う。すると、驚くべし、彼らの手に手に（投げる）縄や杖が、妖術の作用で、彼の目にはまるでうごめき廻って見えた。20-70これにはさすがのムーサーもお胸中ひそかに怖くなった。20-71「びくびくすることはない」と我らが言った、「必ず汝が勝つ。20-72汝の右手のものを投げよ。彼らの作ったものを一呑みにしてしまうであろう。彼らの作ったのは妖術使いの方術にすぎぬ。妖術使いなど、どこに行こうと決して最後の勝利はえられぬもの」と。 妖術師の跪拝 20-73そこでなみいる妖術師ども、ばったり跪き、「信仰いたしまする、ハールーンとムーサーの神様を」と言えば、20-74「これ、お前たち、わしの許しもえないうち無断で彼に心をゆるしたのか。彼は、もともとお前たちに妖術を教えた先生であろう。よし、それならお前たちの手と足をたがいちがいに切り落した上、 20-75彼らそれに答えて言うことに、「今こうして我らの目の前に現われたまごうかたない神兆や、我らを無から創造し給うたお方にくらべたら、たとえ貴方様でもものの数ではござりませぬ。さ、どうなりと、お好きなように断をお下しなさりませ。どうせ貴方様に裁けるのはこの束の間の現世だけ。我らは我らの主を信じ、ひたすら我らの犯した罪のお赦しを請い、また貴方様に無理強いされてやって来た妖術のお赦しを請いたてまつるのみでござります。なんと言ってもアッラーの方が（貴方などより）有難く、またお生命もずっと永うござりますもの」と。 ---このターハーの主人公は、モーセでもパロでもなく、この妖術師たちである。彼らが、パロすなわち読者に、跪拝の意味を説いている。 20-76まことに、罪人として主の前に現われる者ぬはジャハンナムが待っている。その中に（投げこまれて）死にもできず、さりとて生きもせず。20-77これに反して、善行の数々をなした信仰者として現われる者、そういう人々は至高の階位を戴こう。20-78すなわち、アドンの楽園のこと。足下には ---この章で詠唱されるのは、この短い箇所であろう。他は蛇足とも写る。 |
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