１６（４） １６（４）
| 大自然の営み 16-70主はまた蜜蜂に語りかけて、「お前たち、山でも木でも、また（人間が）建ててくれるものでも、なんでも（好きなところを）住居とするがよい。16-71そして（方々へ出掛けて行っては）あらゆる果実を食い、（食いおわったら）主の（用意して下さった）平坦な道を取って（おのが巣に帰って）行くがよい」と仰せられた。こうしておけば、やがてその腹からさまざまな色の飲物が出て来て、それが人間の薬になる。ものを深く考える人間にとってこれはたしかに有難い神兆ではないか。 ---？ 16-72アッラーはお前たちを創造し給うた。いずれはまたお前たちをお傍に召し寄せ給うであろう。だがお前たちの中には、実に情ない年齢まで引き留められてせっかく知っていたことまでまるっきりわからなくなってしまう者も出るであろう。アッラーは全知全能におわします。 ---当時、死ぬに死ねず、長生きして耄碌してしまうことは悲哀であったのだろう。アブラハム、イサク、ヤコブの時代も、この世は、憂き世であったのだ。「ふしあわせ」というキーワードが、創世記にあるのを見る。 （創世記） 47-7そこでヨセフは父ヤコブを導いてパロの前に立たせた。ヤコブはパロを祝福した。47-8パロはヤコブに言った、「あなたの年はいくつか」。47-9ヤコブはパロに言った、「わたしの旅路のとしつきは、百三十年です。わたしのよわいの日はわずかで、ふしあわせで、わたしの先祖たちのよわいの日と旅路の日には及びません」。47-10ヤコブはパロを祝福し、パロの前を去った。 16-73またアッラーはお前たちの間に貧富の差をつけ給うた。ところが、たくさん戴いた方の人々は、その授かりものを、自分の右手の所有物に頒け与えようとはしない、こんな連中に同等になられてはかなわんというので。なんたることだ。せっかくのアッラーのお恵みを無にしようというのか。 16-74またアッラーはお前たちのために、同類の（女を）妻として与え、またその妻たちによってお前たちに子供や孫を授け、その上、いろいろな結構なものを備え給うた。それなのに、あの者どもくだらぬものを信仰して、せっかくのアッラーのお恵みに罰当りな態度を取ろうというのか。16-75アッラーをさし措いて、天や地から何一つ養い分を造り出してくれもせず、なんの能力もないものを崇めようというのか。16-76お前たち、勝手にアッラーをいろいろなものに譬えたりしてはならぬ。アッラーは（なんでも）御存知だが、お前たちはなんにも知らないのだから。 16-77さあ、アッラーが譬えをお引きになった。一人は自分ではなんの能力もなく、ただ主人の所有物であるような奴隷、もう一人は、我らの特別のおはからいで大層な物もちになり、しかもかげになりひなたになりしてそれを（人助けのために）惜しみなく使う人。これが同列にならべられようか。いや、とんでもないこと。だが、大抵の人は（これしきのことが）わからない。16-78アッラーがまた譬えをお引きになった。ここに二人の男がある。その一人は生れついての ---現在では差別用語として退けられているが、当時は身体にハンディを持つ人々を神に見捨てられた者、健常者を神に祝福された者と、その社会がみなしていた。イエスは、障がいを持つ人々と健常者を区別して見ることをしなかった。また、必要以上に無用の哀れみもしなかった。その人に信仰があるかどうかを見られた。信仰、それなくして、人生の本当の幸福はないからであった。そしてその信仰とは、聖母マリヤの愛と、イエス・キリストを、救い主であると告白することから始まる。 16-79天地の秘儀はアッラーの司り給うところ。（天地最後の）時の起るは正にまばたき一つの間、いや、それよりもっと近いかも知れぬ。まことにアッラーは全能におわします。16-80アッラーは何一つわけもわからぬお前たちを母親の腹から出して下さった上、耳や目や心を授けて下さったのだぞ。もしかすればお前たちも感謝の心をもつようになるかもしれんとお思いになって。16-81みな眺めたことおがないのか、（アッラーの）御意のままに空中に（飛んで）いる鳥どもの姿を。あれらを支えているのは、ただアッラーあるのみ。信仰心のある人間にとっては、これこそ有難い神兆ではないか。 （マタイによる福音書） 6-25それだから、あなたがたに言っておく。何を食べようか、何を飲もうかと、自分の命のことで思いわずらい、何を着ようかと自分のからだのことで思いわずらうな。命は食物にまさり、からだは着物にまさるではないか。6-26空の鳥を見るがよい。まくことも、刈ることもせず、倉に取りいれることもしない。それだのに、あなたがたの天の父は彼らを養っていて下さる。あなたがたは彼らよりも、はるかにすぐれた者ではないか。 ---ちょっと趣旨がちがうかも。 16-82またアッラーはお前たちの安息の場所として家を与え、また家畜の皮でもって旅ゆくにつけ、滞在するにつけ、軽くて便利な天幕を備えて下さったし、またそれから取れる羊毛や毛皮や毛では衣類その他永もちするものを作ってくださった。16-83またアッラーはお前たちのために、その創造にかかるもので日よけを設け、また山々でほどよく隠れ家を作り、また暑気よけの衣や、お互い同士の暴力を防ぐ衣まで作って下さった。このようにして、いやが上にもお恵みを全うして下さるのも、みんななんとかしてお前たちに敬虔な気持ちをもたせてやりたいとの御心からでたこと。16-84これでもなお、彼らが背を向けてしまうならば、汝はただこのまぎれもない（神の）お言葉を伝えさえすればそれでよい。16-85彼らは、アッラーのお恵みをそれと認めておきながら、なおも知らぬ顔をする。大抵の人間は信仰心をもたぬもの。 16-86我ら各民族ごとに証言者を一人ずつ立てるその日、そうなったが最後、信仰なき者ども、もう絶対に（言いわけ）はゆるされず、（犯した悪事の）撤回を求められることもあるまいぞ。16-87散々悪いことばかりして来た者ども、天罰を目のあたり見て、（なんとか免れたいと思っても）、もう絶対に軽減もされず、待っていただくわけにも行かぬ。 16-88たくさんの同類を（アッラーに）列べて拝んでいた彼ら、同類（と称するその邪神ども）の姿を見かけて、「主よ、この者どもでございます、私どもが貴方様のほかに御同類として崇めておりましたのは」と言う。すると向うでは「いや、嘘つきはお前たちだ」と言いかえす。16-89その日こそ、彼らもアッラーに恭順を奉げるが、（現世で）いいかげんに作り上げていた（邪神ども）はいつのまにか影も形も見えなくなって（なんの効もない）。 16-90信仰に背を向け、アッラーの道を塞いでいた者ども、そういう者どもには、我らは罰の上にもまた罰を重ね、そのけしからぬ行いをとがめてくれようぞ。16-91我ら各民族の中に、同族の証言者を一人ずつ立てて、彼らにたいする（証言をさせる）その日、我らはまた汝を連れ出してこの者どもにいたいする証言者となすであろう。（さればこそ今こうして）汝にこの啓典を授け、あらゆることがらの解き明かしとも、導きとも、恩寵ともなし、またすべての敬虔な信者への喜びの音信ともなしたのである。 ---キリスト教の「罪の赦し」の秘儀は、アラビヤのマホメットにちゃんと伝わらなかったのか、あるいはその点はむしろ富者攻撃の妨げになるので、あえて無視したか、いずれにせよ、コーランはユダヤのエホバの厳しさを変に増幅させて継承した。困ったことだ。 |
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