１２（１）人買に売られる １２（１）人買に売られる
| 慈悲ふかく慈愛あまねきアッラーの御名において・・・・ 12-1アリフ・ラーム・ミーム。これは、まごうかたない啓典の ---ユダヤのヨセフ 旧約聖書の「創世記」は、ヤコブ（イスラエル）が真に愛したラケルの子ヨセフの立志伝で締めくくられている。ヨセフはエジプトに奴隷として売られるが、ついに宰相の位にのぼりつめる。そして、ヤコブの一族はゴランに住みつくことになる。ヨセフの名前は、イスラエル十二部族のには入れられず、その二人の子がヤコブの養子になって、部族名を名乗る。「創世記」は、新たな十二部族を記して終る。ユダヤ教のイスラエル十二部族は、全部がヨセフの子ではない。養子が二人いるし、レビははずされてレビ人と呼ばれ祭司の専門職に就いている。 それほどまでして、十二の名前が必要であった理由は何であろうか。また、なぜレビはその中に入らなかったのか。前者は荒野における月の満ち欠け暦に、後者はアロン家の ---そして、４００年後、イスラエルの子孫がエジプトの地に増えた。その数は、エジプト王を畏怖させるものであった。イスラエルの人口抑制策がエジプト王によってとられるようになり、モーセによる「出エジプト」へと続いたのである。 ---コーランの「ユースフ」は、「創世記」の登場人物、ヘブル人のヨセフを題材にしている。この記事を書いたコーランの記者はよほど「創世記」の最後を飾るヨセフの物語が気に入ったらしい。 12-4ユースフがその父にこう言ったときのこと、「お父さん、僕、十一の星と太陽と月を（夢に）見ました。みんな僕の前に跪いて礼拝していましたよ」と。12-5彼が言った、「これ、お前、その夢の話しを兄さんたちにしてはならぬぞ。きっと何かお前に悪だくみをしかけるだろうから。いいかね、シャイターンというやつは人間の不倶戴天の敵なのだよ。12-6そういうことであれば、きっと主がお前をお選びになって、お前に世の出来事の（深い）意味を教え、お前と、それからヤアクーブ一家の上に恩寵を全うなさるおつもりであろう。その昔、お前の御先祖イブラーヒームとイスハークの上に全うなされたように。ほんとうに、主は全知にして賢くおわします」と。 （創世記）のヨセフ ヨセフは十七歳の時、兄弟たちと共に羊の群れを飼っていた。彼はまだ子供で、父の妻たちビルハとジルパとの子らと共にいたが、ヨセフは彼らの悪いうわさを父に告げた。37-3ヨセフは年寄り子であったから、イスラエルは他のどの子よりも彼を愛して、彼のために長そでの着物をつくった。37-4兄弟たちは父がどの兄弟よりも彼を愛するのを見て、彼を憎み、穏やかに彼に語ることができなかった。 37-5ある時、ヨセフは夢を見て、それを兄弟たちに話したので、彼らは、ますます彼を憎んだ。37-6ヨセフは彼らに言った、「どうぞわたしが見た夢を聞いてください。37-7わたしたちが畑の中で束を結わえていたとき、わたしの束が起きて立つと、あなたがたの束がまわりにきて、わたしの束を拝みました」。37-8すると兄弟たちは彼に向かって、「あなたはほんとうにわたしたちの王になるのか。あなたは実際わたしたちを治めるのか」と言って、彼の夢とその言葉のゆえにますます彼を憎んだ。37-9ヨセフはまた一つの夢を見て、それを兄弟たちに語って言った、「わたしはまた夢を見ました。日と月と十一の星とがわたしを拝みました」。 37-10彼はこれを父と兄弟たちに語ったので、父は彼をとがめて言った、「あなたが見たその夢はどういうのか。ほんとうにわたしとあなたの母と、兄弟たちとが行って地に伏し、あなたを拝むのか」。37-11兄弟たちは彼をねたんだ。しかし父はこの言葉を心にとめた。 12-7まことにこのユースフとその兄たちの（話し）こそ、もの問うてやまぬ人々にとって、（神の栄光を）最もよくあらわすものというべきである。 12-8（或るとき、ユースフの兄たちは）言った、「たしかにユースフと弟の（二人だけ）俺たちよりも親父に可愛がられている、俺たちの方が数だけはこんなに多いのに。これでは、どう見ても親父のやり方が間違っている。12-9ユースフを殺すか、さもなければ、どこか（遠い）国に追い払って、親父の顔をこちらでひとりじめにした方がいい。そうしてはじめて、みんな義しい人間になれるというものだ。」 ---「創世記」のヨセフとその弟のベニヤミンは、ラケルの子である。ラケルは、ベニヤミンを産むのが難産であったために、落命した。そして、ベツレヘムの近くに葬られた。 12-10すると誰かが、「いや、ユースフを殺してしまうのはまずい。どうしてもやるつもりなら、深い 12-15かくて、一同は彼を連れ出し、深い穽の底につき落すことに衆議一決したが、その時、我らは「彼らのこの（憎い）しわざをば、お前はいずれ彼らに詳しく語ってきかせることになろう、それも彼らにはお前が（誰だか）わからぬままに」と、彼にそっと告げておいた。12-16こうして彼らは、夕方、泣く泣く親父のところにやって来た。12-17「お父さん、僕たち駆けっこして、ユースフを荷物と一緒に置いといたら、狼が食ってしまいました。だけど、いくら僕たちがありのままを申し上げても、お父さんはきっと信じて下さらないでしょうね」と言う。 12-18彼らは（ユースフ）の 12-19そのうち、旅人の一団が通りかかって、水汲みの者を遣わした。彼は 12-21さて、彼を買ったのはエジプトの人で、妻にこう言った、「お前、この子にやさしくしておやり。何かの役に立つかも知れんし、また場合によっては養子にしてもいいではないか」と。こういう次第で我らはユースフをその国に住ませることにした。また世の出来事の深い意味のとりかたも教えこむことにした。いずれにしてもアッラーは、こうと思いたったことは完全に成就し給う。大抵の人間は知らないが。12-22こうして、彼が一人まえの男に成人した頃、我らは彼に立派な頭と知識とっを授けてやった。善事にいそしむ人々には、われらはみなこのように褒美をとらせる。 12-23さて、彼が置いてもらっていた家の女が彼にさそいかけた。女は部屋の戸をぴたりと閉め、「さ、いらっしゃい」と言う。「とんでもないことを。御主人様がこんなに私によくして下さいましたのに。悪いことをする者はろくな目には逢いますまい」と彼は言った。12-24女も彼もすんでのところで欲情にまけるところだったが、彼が主の証拠を目のあたり見たために思いとどまった。こうして、我らは悪事、淫事を彼から払いのけてやった。なんと言っても、彼は我らの特に選ばれた信者であったから。 12-25そこで二人は戸口まで追いつ追われつ。女は後ろから彼の襦袢を引きちぎる。と、戸口のところで、二人ともばったり御主人にぶつかってしまった。「貴方の妻にこんな悪さをしかけた男ですもの、牢にぶち込むか、それとも何か |
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