ピラムスとティスベ

モンテ・クリスト伯(四）５１章は、「ピラムスとティスベ」だった。著者の註は、（オビディウスの詩に、その恋を歌われた、有名なバビロニヤの若い男女）だった。少し物足りない気がして、Ｗｅｂ検索したら、「変身物語」が出た。その本は持っていたので、確認した。「ピラムスとティスベ」の話が載っていた。この話は、１６世紀には、「ロミオとジュリエット」となり、１９世紀には、「マクシミリアンとバランティーヌ」の題材となったのだった。

「変身物語」巻四（１）ミニュアスの娘たち

あるいは、もとは白かった桑の実が、血しぶきに染まって赤黒く変ったという話でも？そうだ、この最後の話にしよう。迷ったあげく、彼女はそうきめた。まだ知れ渡っていない話でもあったからだ。羊毛の束からつぎつぎと糸を送り出しながら彼女はこう語り始めた。

「変身物語」巻四（２）ピラムスとティスベ

（１）バビロンの「ロミオとジュリエット」 1-4-2-1-10両家（りょうけ）を境する壁に、細い裂け目がありました。建築ちゅうに出来たものでしょう。この孔（あな）は、長い歳月のあいだに、誰の目にもつかなかったのですが、この恋人たちが、はじめてこれを見つけました−−−−何につけても目ざといのが、恋というものなのでしょう。ふたりは、この孔を、声の通路にしたのです。

（２）ジュリエットが獅子に喰われた！ 1-4-2-2-28ティスベのベールを取りあげ、約束の木陰まで持ってゆきます。見知ったそのベールに涙をそそぎ、口づけして、こういうのです。『今こそ、さあ、ぼくの血潮（ちしお）も吸ってくれるのだ！』。腰につけていた剣を、わき腹に突きたてました。

（３）恋人のあとを追うジュリエット 1-4-2-3-17ティスベは、自分のベールと、中身のからな象牙の剣鞘を見てとると、こういいます。『あなたの手と、そして愛が、あなたの生命を奪ったのね、不しあわせなかた！でも、わたしにも、その同じことをするための雄々しい手と、愛がありますわ。その愛が、みずからを傷つけるだけの力を与えてくれるのよ。あの世へおともをいたしましょう。

物語は終った。

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ページ制作者者：（ささくら宗）聖母マリヤ福音教会
通称「オリジナル教会」　初代代表者　笹倉正義
モンテ・クリスト伯（四）５１「ピラムスとティスベ」を補足
2017/9/21-22