３．大災害と信仰 ３．大災害と信仰
| （緊急地震速報） 「災害は忘れたころにやってくる」という碑が、大阪の造幣局近くの川べりにあります。ある日、天気予報聞くためにつけていた管理事務所のラジオから、参議院の国会中継が、のどかに流れていました。首相は管さんでした。突如その時、警報音に続いて緊急地震速報が入りました。 ＮＨＫの担当者が東北地方の市町村に問い合わせの電話をしてるのもオンラインで流れました。多くの市町村は応答しませんでした。担当者は「何だ」という感じで、次々に「どうですか」という電話をかけまくっていました。それを聞きながら、わたしは一瞬、阪神淡路大震災の地震発生直後のＴＶ映像を思い浮かべました。 あの時ＴＶに映し出された早朝の神戸市街は、まっすぐに上に伸びる煙が二本ある程度で、のどかさを演出していました。あの時の初期映像は、「大したことない」という印象を国民に与えたと思いますが、その後ひどい惨事が刻々明らかになっていったのでした。「電話に出ないのは凶か吉か。果たして今回はどうなのか」と、思ったのです。「ＮＨＫの電話に出ない役所は何をしているのだろう・・・」。 夕方自宅に戻って見たＴＶの映像は、炎上する町、海水の壁に飲まれる町の映像でした。 （目前の死に臨んでの信仰） もし、海から押し寄せる波の壁から逃げられない、しかし、まだ少しは間がある時、その人は何を思うのでしょうか。生き残った者は、わたしを大事に祀って欲しい。立派な葬式をしてほしい。いつまでも忘れないで、式典を続けてほしい、と思うでしょうか。 まず思うのは、残された愛する人々の無事を、その行く末の健やかなることを願うに違いありません。この時、宗教の出番があるとすれば、キリスト教のはずです。「彼らに神のご加護を」、に続いて祈ることができるからです。キリスト教の本質は、「生きること」にあります。イエス・キリストを信じた者は、罪の赦しによって、霊的に生きた者になっています。キリスト者の特典は、天（見えない）の父なる神に、畏れなく力強く、祈れることです。 聖母マリヤを初めとして、テオピロ、ルカ、ペテロ、パウロ、マルコなどの信仰に思いをはせた結果です。人生の最後において、時間的余裕があれば、いつでも、どのようにでも祈れます。しかも、最後の最後まであきらめてはいません。彼らが自分をさておいて、残された者のために祈ったと信じることができれば、残された者も幾分救われます。その魂の安らかなることを覚えて祈れます。一瞬と思える時間の中に、永遠に続く祈が込められたのです。 （非条理と向かい合う宗教） 一人で死んでも、災害や事件に巻き込まれて死んでも、その非条理に変わりはありません。信仰に関連付けられた宗教は、非条理に向かい合うためのものですから、一人でも成り立ちます。しかし、哲学は条理を追求するもので、集団の中の孤独です。社会あるいは大学の中でしか成り立ちません。非条理を前にしては、何の役にも立ちません。道徳もまた社会的規範を追求し、社員、学校教育で教えるものであり、単独では成り立ちません。宗教の役割は、非条理が相手でであるという点で、宗教以外のものとは明らかに違うことになります。 （キリスト教の奥義） 「死」という非条理に直面した時、あるいは、激しく後悔することになった時、キリスト教はひとつの解決を持っています。すなわち、その日と、その次の日とを、死に等しい虚無の中で過ごすのです。これはイエスの死の様に同化するものです。すると、次の日の朝、父なる神の威光によって、まったく違ったものに蘇るのです。復活です！この復活は、自分の努力ではなく、イエス・キリストを信じる信仰のゆえに、父なる神が実現してくださるのです。復活した者は、まったく新しくされて、次の一歩を踏み出せるのです。これは驚くべきもので、オリジナル教会は、これをキリスト教の奥義の一つとして述べ伝えるのです。 （理不尽とか災難に遭うのは）（ルカによる福音書） 13-1ちょうどその時、ある人々がきて、ピラトがガリラヤ人たちの血を流し、それを彼らの犠牲の血に混ぜたことを、イエスに知らせた。13-2そこでイエスは答えて言われた、「それらのガリラヤ人が、そのような災難にあったからといって、他のすべてのガリラヤ人以上に罪が深かったと思うのか。13-3あなたがたに言うが、そうではない。あなたがたも悔い改めなければ、みな同じように滅びるであろう。13-4また、シロアムの塔が倒れたためにおし殺されたあの十八人は、エルサレムの他の全住民以上に罪の負債があったと思うか。13-5あなたがたに言うが、そうではない。あなたがたも悔い改めなければ、みな同じように滅びるであろう。 |
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