４．世界のニュース

「朝に命じてみよ」パールバック 原題：Ｃｏｍｍａｎｄ　ｔｈｅ　Ｍｏｒｎｉｎｇ 原作者：Pearl Sydenstricker Buck 日本語訳本名：「神の火を制御せよ」原爆をつくった人々 丸田浩　監修 小林政子　訳 径書房

P346 深い沈黙が地上を覆っていた。メサのその町では沈黙はいっそう深かった。ここは原子爆弾を製造するために造られた町だ。町の役目は終った。その日の朝刊、ラジオニュース、電信、海底ケーブルなどすべての通信網が任務の完了を報じた。一つの都市が破壊され、さらにもう一つの都市も焼き尽くされて、世界のすみずみまで深い沈黙が広がった。 アメリカと世界の人々が、広島と長崎の出来事を詳細に知ることができたのは、驚きである。国土が焦土と化していた日本人自身は、自分たちの不幸を知らなかったのである。 原子爆弾投下の町は二つでなければならなかった。すなわち他のキリスト教国に、ソドムとゴモラを想起させ、投下の命を下した者が大統領ではなく、「神の代理者」に転嫁させなければならなかった。一つの町を巨大な火の玉で蒸発させただけでは、大統領の独断になりヒトラーと同じ扱いにされる恐れがあった。しかし、どの国も、当事国の日本でさえ何も文句を言わなかった。長い封建時代に培われた、さわらぬ神にたたりなし、という日本人の特殊な感情がある。私たちは対岸の火事はさらりと忘れてしまえるのだ。しかしそれは、「自分さえよければ」というのとは、ちょっと違う。広島も長崎も私たちの一部だ。自分の町だ。

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2013/2/23 聖母マリヤ福音教会・「取説」担当　笹倉正義 2022/1/22 聖句引用：日本聖書協会　口語訳聖書 旧約聖書（１９５５年改訳） 新約聖書（１９５４年改訳）