３．真つ黒々の ３．真つ黒々の
| 「押絵の奇蹟」著作者 夢野久作 角川文庫 法医学夜話（ |
第五章 人身の妖異 その一 妊娠奇談 人身の妖異、その他に関する法医学上の興味ある挿話もまた決して珍しからず。中には最も人の意表に出づるものあるは妊娠に関する奇談にして、到底コモンセンスにては判断し得べからざるもの多し。その第一に掲ぐべきは昔（西暦紀元前三百七十年前後）ギリシャの国の一王妃の身の上に起こりし奇跡的現象なり。 ＜＞訳者曰く＝うらむらくはこの原文には、その王と王妃の名しるし在らず。当時ギリシャ国内はアテネ市を除くのほか、数個の専制的君主国が分立し居りしをもって、この事件の起こりしもその中の一国なりと推測せらる。 その王妃は冊立（勅命により皇太子・皇后などを正式に定めること）後間もなく身ごもり給いて、明け暮れ一室に 然るにかくと知りたる王の驚愕と憤激もまた一方ならず。ただちに兵士に命じて王妃を監禁すると同時に当時召し使ひ給ひし黒奴をことごとくからめ取って獄舎に投じ、一々拷問にかけ給ひけれども、もとより身に覚えなき者供の事とて白状する者一人も無く、遂に由々しき疑獄の姿とぞなりにける。 然るに又、その当時、アテネ市に、ヒポクラテスとなん呼べる老医師あり。その徳望と、学識と、手腕と共に一世に冠絶（ずばぬけてすぐれている）せる人物なりしが、この事を伝へ聞くやわざわざ王の御前に出頭し、妊娠中の婦女子がある人の姿を思ひ込み、また、ある一定の形状色彩のものを気長く思念し、また、凝視する時は、その人の姿、または、その物品の形状色彩に似たる児の生まる可き事、必ずしも不合理にあらざる可きを、例を挙げ証を引いて説明せしかば、王の疑やうやくにして解け、王妃と黒奴との ＜＞訳者曰く＝支那（しな）に伝われる胎教なるものも、このヒポクラテスの見地より見る時はあながちに荒唐無稽の迷信として一概に排除すべきものに非ず。あるいは、最も高等なる科学的の研究手段によりてのみ理解され得べき、深遠微妙なる学理原則のその間に |
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2013/3/14 オリジナル教会 （初代代表）笹倉正義
2019/11/20
聖句引用：日本聖書協会 口語訳聖書
旧約聖書（１９５５年改訳）
新約聖書（１９５４年改訳）
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