（９）アルゴ号の冒険

映画「アルゴ探検隊の大冒険」

金毛の羊 1-9-1アイオロスの息子たちのうち、アタマスはボイオティアに君臨して、ネペレによって一子プリクソス、一女ヘレを得た。彼は二度目にイノを娶（めと）り、彼女からレアルコスとメリケルテスとが生れた。イノはネペレの子供たちに対して悪企みを計り、女たちに小麦を焙（い）るように説いた。小麦を手に入れ、女たちは男に隠してそうした。地は焙（い）られた小麦をうけたので例年の作物を実らせなかった。 そこでアタマスはデルポイに使者を送ってこの不作から遁（のが）れる方法を問うた。イノは使者に、もしもプリクソスをゼウスに犠牲に供すれば不作はやむであろうと神託があったと言うようにと説き伏せた。 これを聞いてアタマスは土地の住民に強制されてプリクソスを祭壇に連れて行ったが、ネペレは娘とともに彼を奪って、ヘルメスから授かった金毛の羊を彼らに与え、彼らは羊の背にのって空中を飛んで地を横ぎり海を渡った。シゲイオンとケロネソスとの間にある海の上に来た時に、ヘレは深海に滑り落ちて、そこで溺れ死んだので、その海は彼女の名をとってヘレスポントス（ヘレの海）と呼ばれた。 しかしプリクソスはコルキス人の地に来た。太陽神（ヘリオス）とペルセイスの子アイエテスが彼らの王であった。彼はまたキルケと、ミノスが妻としたパシパエの兄弟である。彼はプリクソスを客とし、娘の中の一人カルキオペを与えた。 金毛の皮 そしてプリクソスは金毛の羊を厄除（やくよ）けの神としてのゼウスに捧げ、その皮をアイエテスに与えた。アイエテスは皮をアレスの杜（もり）の中にある樫（かし）の木に打ちつけた。カルキオペからプリクソスに息子アルゴス、メラス、プロンティス、キュティソロスが生れた。 1-9-2しかしアタマスは後になってヘラの怒りによってイノから生れた子供たちをも奪われた。（以下略） Ａ．シシュポスの子グラウコス（Ｇｌａｕｋｏｓ）（１） （Ｐ５０）第一巻（�TＸ）グラウコスという名前 1-9-3アイオロスの子シシュポスはエピュラ、すなわち今日（こんにち）のコリントを創建して、アトラスの娘メロペを妻とした。彼らの間に一子グラウコスが生れた。その子としてエウリュメデとの間に、火を吐（は）くキメラを殺したベレロポンテスが生れた。しかしシシュポスは地獄で手と頭で岩を押し転がして坂の向う側まで運び上げるという努力をする罰をうけた。しかし岩は押しても押しても再びもとに押し戻されるのである。この罰を彼はアソポスの娘アイギナのためにうけているのである。というのは、ゼウスがそっと彼女を奪ったのを、娘を探し求めているアソポスに教えたからであると言われている。 1-9-4 1-9-5 1-9-6 1-9-7 1-9-8 1-9-9 1-9-10 1-9-11 1-9-12 1-9-13 1-9-14 1-9-15 主人公イアソン 1-9-16イアソンはクレテウスの子アイソンとアウトリュコスの娘ポリュメデとの子である。彼はイオルコスに住んでいたが、イオルコスはクレテウスの後ペリアスが王となっていた。ペリアスが王権に関して神託を乞うた時に、神は片方のサンダルの男に注意すべしと託宣した。初め王は神託の意味が解（わか）らなかったが、後になって了解した。 海辺でポセイドンに犠牲を捧げる時に多くの者とともにイアソンをもこの祭儀に呼び寄せた。イアソンは農作を好んで田舎（いなか）に住んでいたが、犠牲へと急いだ。しかしアナウロス河を渡る時に一方のサンダルを流れの中でなくし、一方だけで河から上った。ペリアスは彼を見て、神託を思い合わせ、彼に市民の一人の手によって殺されるであろうという神託があった場合に、もしもその権力を持っていたならば、どうするかと尋（たず）ねた。 イアソンは、その場の思いつきか、それともメディアがペリアスの災いになるよういにというヘラの怒りによってか−−−というのは彼はヘラを尊敬していなかったから−−−「私だったら金毛の皮を持って来るように命令します」と言った。 これを聞いてペリアスは直ちにその皮を取りに行くように彼に命じた。この皮はコルキスのアレスの聖森の中の一本の樫の木に吊（つる）されてあって、眠ることのない竜によって護られていたのである。 アルゴ号の建造 これを取りにやられたイアソンは、プリクソスの子アルゴスを、援（たす）けを乞うべく招いた。そしてアルゴスはアテナの勧めによって、建造者の名によりアルゴと呼ばれる五十の櫂（かい）を持った船を建造し、その船首にアテナはドドナの樫の木から物を言う材木をつけた。 乗組員(クルー)の面々 船の装備が完了した時に、神託を乞うたところ、神は彼にギリシャの最もすぐれた人々を集めて出帆（しゅっぱん）するように宣した。集り参じた者は次のごとくである。ハグニアスの子ティピュス、彼は船の舵を取った。オイアグロスの子オルペウス、・・・・、ゼウスの子ヘラクレス、・・・・、エラトスの子ポリュペモス。 1-9-17これらの人々はイアソンを船長として海に出、レムノスに寄港した。次のごとき理由からその時レムノスにはたまたま男が一人もいなくて、トアスの娘ヒュプシピュレによって治められていた。レムノス島の女はアプロディテを尊奉しなかった。そこで女神は女どもが臭気を発するようにしたので、そのために夫たちはトラキアの近傍の土地から捕虜の女たちを得て来て、彼女らとともに寝た。 屈辱されたため、レムノスの女どもはその父や夫を殺害した。唯（ただ）一人ヒュプシピュレのみは自分の父トアスを隠して救った。それで彼らは当時女によって支配されていたレムノスに寄港して女どもと交わった。ヒュプシピュレはイアソンと臥床（フシド）を同じくし、息子エウネオスとネブロポノスを生んだ。 1-9-18レムノスからドリオニアに立ち寄った。その王はキュージコスであった。彼は彼らを歓迎した。夜間にそこより出帆（しゅっぱん）して、逆風に遭（あ）い、知らずに再びドリオニアに立ち寄った。ドリオニア人は、これをペラスゴイ人の軍勢であると思って−−−ペラスゴイ人と常に戦争状態にあったので−−−夜のうちに互いに知らずに戦（いく）さを交えた。アルゴナウタイは多くの人々を殺し、その中にはキュジコスも混っていた。昼になってこれを知り、彼らは歎いて頭髪を切り、立派にキュジコスを葬った。埋葬ののち海を航してミュシアに立ち寄った。 置き去りのヘラクレス 1-9-19そこで彼らはヘラクレスとポリュペモスとを置いていった。というのは、テイオダマスの子で、ヘラクレスの愛していたヒュラスが水を汲みにやられて、その美貌のゆえにニムフたちに掠（サラ：リャク、ラク、かす・める）われたからである。ポリュペモスは彼の叫びをききつけて、盗賊に連れて行かれたと思い、刀を抜いて追いかけた。そして出遭ったヘラクレスにその事を話した。両人がヒュラスを探している間に船は出航してしまった。そこで、ポリュペモスはミュシアにい一市キオスを建設して王となり、ヘラクレスはアルゴスに帰った。（以下省略） 1-9-20 1-9-21そこから（ベブリュクス人の地）船出してトラキアのサルミュデソスに着いた。ここには両眼が盲（めし）いた予言者ピネウスが住んでいた。ある者は彼がアゲノルの子であると言い、他の者はポセイドンの息子であると言っている。彼は、あるいは人間に未来を予言したために神々によって、あるいは継母の言を信じて自分自身の子供たちを盲目としたためにボレアスとアルゴナウタイの手によって、あるいはプリクソスの子供たちにコルキスからギリシャに行く航海の方法を教えたためにポセイドンによって、盲目とされたと言われる。 （Ｐ６０） 怪鳥ハルピュイア 神々はまた彼に対してハルピュイアを遣（つか）わした。彼女らは羽を持っていて、ピネウスのために食事が用意されると、空から飛び降りて来て大部分を掠（サラ：リャク、ラク、かす・める）って行き、僅（わず）かに残されたものは臭気にみちて食べることができなかった。アルゴナウタイが航海に関して彼から教わりたいと欲した時、彼は、ハルピュイアから自分を救ってくれれば、航海上の忠告を与えようと言った。 そこでアルゴナウタイは彼に食事を用意し、ハルピュイアどもはとつじょとして叫び声とともに舞い降りて食物を奪った。ボレアスの子供ゼテスとカライスはそれを見て、翼を持っているので、刀を抜いて、空を横切って追いかけた。ハルピュイアはボレアスの子供たちの手にかかって死に、またボレアスの子供たちは追いかけて捕えることができなかった時には死ぬと運命づけられていた。 追いかけられたハルピュイアの中の一人はペロポネソス半島の今はその名をとってハルピュスと呼ばれているティグレス河に落ち込んだ。このハルピュイアをあるいはニコトエあるいはアエロプスと言う。ほかのオキュペテ、または一説によればオキュトエ−−−ヘシオドスはオキュポデと言っている−−−と呼ばれているハルピュイアは遁れてプロポンティスを経てエキナデス群島に来た。 この島は彼女によって今ではストロパデスと呼ばれている。というのは、彼女がこの島に来た時に方向を変え（estraphe）、その海岸で疲労のあまり追跡者とともに墜落したからである。しかしアポロニオスは「アルゴナウタイ」の中でハルピュイアどもはストロパデス島まで追いかけられ、ピネウスにもう害をしないと誓って、なんら害を蒙らずにすんだと言っている。 1-9-22ハルピュイアどもから救われてピネウスはアルゴナウタイにその航海の路（みち）を示し、海中にあるシュムプレガデス岩について忠告を与えた。この岩は非常に大きく、風の力によって互いに相会して激突し、航海を塞（ふさ）ぐのである。岩上には深い霧がかかり、轟々（ごうごう）と鳴りひびき、翼あるものといえども岩と岩との間を通り抜けることはできない。そこで王は彼らに一羽の鳩を岩と岩との間に放（はな）って、もしこの鳩が無事に（通過したのを見た）場合には、心を許してそこを通航し、もし鳩がだめだったのを見た場合には無理に通ってはならないと言った。 これを聞いて彼らは海に出た。そして岩の近くに来た時に船首（せんしゅ）から一羽（いちわ）の鳩を放った。飛ぶ鳩の尾の端（はし）を岩が合して切り取った。そこで岩が再び退（しりぞ）くのを待機していて、力（ちから）いっぱいに漕（こ）ぎ、またヘラの助けによって、彼らは通り抜けたが、飾り艫（とも：船尾）の端がすっかり切り取られてしまった。 それ以来シュムプレーガデス岩は凝（じつ）として立っている。というのは船が一隻（いっせき）通り抜ければ、岩は全く動かなくなると定まっていたからである。 1-9-23アルゴナウタイはマリアンデューノイ人の国に着き、そこでリュコス王が歓迎した。この地で預言者イドモンが猪で突かれて死に、ティーピュスもまたなくなった。そしてアンカイオスが船の舵を取ることとなった。 テルモドンとカウカサスのそばを通過してパシス河に至った。この河はコルキスの地にある。船が碇泊（ていはく）した時に、イアソンはアイエテスの所に行って、ペリアスの命令を話して、その皮をくれるように頼んだ。 ---金毛の羊の皮 （Ｐ６２）第一巻（�TＸ） 王は青銅の足の牡牛（おうし）を独（ひと）りでつないだならば、やろうと約束した。王は二頭の狂暴な牡牛を持っており、それはすばらしく大きくて、ヘパイストスの贈物であり、青銅の足を持ち、口（くち）から火を吐くのである。この牡牛を軛（くびき）につないだ後、竜の歯を播（まく）くように命令した。アテナからもらって、カドモスがテバイで播いた分の半分を持っていたからである。 ---映画では、この歯はイアソンが殺した竜のもので、まくと骸骨戦士が土中から現われる。 イアソンが牡牛をどうしてつなごうかと困っていると、メディアが彼に恋をした。この女はアイエテスとオケアノスの娘エイデュイアとの間の娘であって、女の魔法使いである。イアソンが牡牛に殺されはしまいかと、心配して、自分を妻とし、船に乗せてギリシャにつれて行くと誓うならば、牡牛をつなぐのを助け、彼に皮を手渡すと、父に隠れて約束した。 イアソンが誓うと、女は薬を与え、牡牛を車につけようとする時にそれで以（もっ）て盾と槍と身体とを塗れと命じた。というのは、と女は言った、この薬を塗っていれば一日の間は火によっても刀（かたな）によっても害を蒙ることがない。それから歯を播くと地より武装した男たちが彼にむかって現われ出て来ることを明らかにした。そしてこの男たちが一緒にかたまっているのを見たならば、その真中に遠方から石を投げる。そしてこの石に関して互いに闘っている時に彼らを殺すようにと言った。 そこでイアソンはこれを聞いて、身体に薬を塗り、社（やしろ）の杜（もり）に来て牡牛を探し求め、大きな火を吹きながらむかって来る牡牛をつないだ。彼が歯を播くと地から武装した男たちが出て来た。そして数人が一緒にいるのを見たところへ、見えないように石を投げ、彼らが互いに闘いつつある所に近づいて退治した。 しかし牡牛がつながれたにもかかわらず、アイエテスは皮を与えず、アルゴーを焼き払い、乗組の人々を殺そうと思った。しかしメディアは先まわりをして、イアソンを夜の間に皮のところへ連れて行って、番をしている竜を薬で眠らせて、皮を手に入れ、イアソンとともにアルゴーにやって来た。弟のアプシュルトスも彼女について来た。アルゴーの人々は彼らとともに夜の間に船出した。 1-9-24アイエテスはメディアの不敵の所業を発見して、船を追跡するべく進発した。しかし王が近づくのを見るや、メディアは弟を殺し、八つ裂きにして深みに投じた。アイエテスは子供の身体を集めている間に追跡するのが遅れてしまった。それで船をかえし、拾（ひろ）った子供の四肢（しし）を葬（ほうむ）り、その地をトモイと呼んだ。 しかし多くのコルキス人を、もしメディアを連れて来なければ彼ら自身メディアと同じ罰を受けると脅嚇（オド）して、アルゴーを探しに出した。彼らは別れてほうぼうに探索を行なった。 キルケ アルゴナウタイがすでにエリダノス河を通過しつつある時に、ゼウスはアプシュルトスの虐殺を瞋（いか）って物凄（ものすご）い嵐を送り、航路を失わしめた。そして彼らがアプシュルティデス群島を通りつつあった時に、船が、もしアウソニアに赴（おもむ）いて、キルケによってアプシュルトス虐殺から浄（きよ）められなくては、ゼウスの瞋（いか）りはやむことがないであろうと話した。彼らはリグリアおよびケルト人の国を通り、サルディニア海を通過し、テュレニアに沿って航海し、アイアイアに来り、そこでキルケの歎願者となって浄（きよ）めをうけた。 セイレン 1-9-25セイレンのそばを通った時にはオルペウスが対抗して歌を歌ってアルゴナウタイを船に引き留めた。しかしただ一人ブテスのみは彼女らのほうに泳ぎ去った。アプロディテは彼を奪い去ってリリュバイオンに住まわせた。 怪物と浮き岩 セイレンの後でカリュブディスとスキュラと、その上に大きな火と煙とが立ちあがっているのが見える浮き岩とが船を迎えた。しかしヘラの召しに応じてテティスが海のニムフたちとともにこれらの間を通過せしめた。 太陽神の牡牛 太陽神（ヘリオス）の牡牛の住んでいるトリナキア島のそばを通って、パイアキア人の島ケルキュラに来た。島の王はアルキノオスであった。 コルキス人は、しかし、船を発見することができなかったので、彼らの中の一部はケラウニオン山の付近に居を占め、一部はイリュリアに行って、アプシュルティデス群島に住んだ。 アルキノオス王と妃アレテ しかし一部の者はパイアキア人の所に来てアルゴーを見出し、アルキノオスにメディアを引き渡すように要求した。王はメディアがすでにイアソンと夫婦の契りを結んでいたならば、彼女をイアソンに与えよう、またもしなお処女であるならば、父に送り帰そうと言った。しかしアルキノオスの妻アレテは機先を制してメディアをイアソンに契（ちぎ）らしめたので、コルキス人たちはパイアキア人の地に住みつき、アルゴナウタイはメディアとともに出航（しゅっこう）した。 1-9-26夜航海中に彼らは激しい嵐に遭遇した。アポロンがメランティオス山の背に立って海中に矢を射て、稲妻を放った。そこで彼らは近くに島を見つけ、その島に投錨（とうびょう）して、思いがけなくその島が現われた（anaphanenai）ので、アナペ（Anaphe）と名づけた。そこで耀（かがや）くアポロンの祭壇を建て、供物（くもつ）を捧げた後、饗宴にとりかかった。 アレテによってメディアに与えられた十二人の侍女が主だった人々をたわむれながら揶揄（やゆ）した。そこから今もなお犠牲に際して女たちが戯談（じょうだん）を言う習慣があるのである。 青銅の巨人タロス そこから出航して、タロスによってクレタにつくことを妨げられた。一説には彼は青銅族に属すといい、また一説ではヘパイストスによってミノスに与えられたのであるともいう。彼は青銅人であったが、一部の人々は彼を牝牛（めうし）であると言っている。 頸（くび）から踵（かかと）まで延（の）びているただ一つの血脈を持ち、血脈の終りの箇所には青銅の釘がはめこんであった。このタロスは日に三度島を走（ハ）せめぐって番をした。 それでアルゴーが近づいて来るのを見て、その時にも石を船に投げつけた。しかしメディアにあざむかれて死んだ。 一説によればメディアが薬によって彼を狂わしめたと言い、また一説によれば不死にしてやる約束をし、釘を抜いたので、神血（イコル）がみんな流れ出て死んだと言うことである。しかし一部の人々は彼はポイアスに踵（かかと）を射られて死んだと言っている。 ---踵（かかと）が弱点という話は、アキレスが有名。 （Ｐ１９２）摘要（Ｖ） ティトノスと曙（エオス）の子メムノンはエチオピアの大軍とともにギリシャ軍の敵としてトロイに来り、アンティロコスをも含めて多くのギリシャ人を殺したが、彼をアキレスが討ちとった。そしてトロイ人をも追跡してアキレスはスカイアイ門のそばでアレキサンドロス（パリスのこと）とアポロに踵（かかと）を射られた。 ここに一夜留（とど）まった後、水を汲もうと思ってアイギナに寄港（きこう）し、水汲みに関して彼らの間に競争が生じた。そこからエウボイアとロクリスの間を航海して、全航海を四カ月で終えてイオルコスに着いた。 ---イオルコスは、イアソンたちが出発した場所。ペリアスはその地の王。アイソンはイアソンの父。 1-9-27ペリアスはアルゴナウタイの帰還をあきらめて、アイソンを殺害しようとした。しかしアイソンは自決を願い、犠牲を捧げている間に、牡牛（おうし）の血を十分に引飲して後死んだ。 イアソンの母はペリアスを呪い、いたいけな男の子プロマコスを後に残して縊（くび：首をくくる）れて死んだ。しかしペリアスは彼女が後に残した男の子をも殺した。 イアソンは帰還して、皮を手渡したが、一方において自分に加えられたところを復讐せんとして時機を待っていた。そしてその時彼は首領たちとともにイストモスに船を進めてポセイドンに船を奉献し、その後メディアにペリアスをして彼に罪の酬（むく）いを支払わしめる方法を見出すように乞うた。 彼女はそこでペリアスの王宮に赴（おもむ）き、王の娘たちに彼を薬で以（も）て若返らせてやるからと約束して、父を細々（こまごま）に切り裂いて煮るように説いた。そして信用させるために牡羊（おひつじ）を八つ裂きにして煮て仔羊（こひつじ）にした。そこで娘たちは信用して父を細々に切り裂いて煮た。 しかしアカストスはイオルコスの住民とともに父を葬り、イアソンをメディアとともにイオルコスから追放した。 イアソンの背信行為 1-9-28彼らはコリントスに来て、十年間幸福に暮らしたが、のちコリントスの王クレオンが自分の娘グラウケをイアソンの許婚（いいなずけ）にしたので、イアソンはメディアと離婚して、王の娘と結婚した。 しかし彼女はイアソンが誓いをかけた神々を呼んでイアソンの忘恩（ぼうおん）を再三（さいさん）責め、新婦には毒薬の浸してある衣（ペブロス）を送った。花嫁はそれを着て、助けに来た父とともに烈火によって焼きつくされた。 またイアソンとの間に生んだ子供たち、メルメロスとペレスとを殺し、太陽神（ヘリオス）から有翼の竜の車を得て、これに乗って遁れ、アテナイに来た。遁れるにあたって彼女は未だ稚（おさな）い子供たちを高きにいますヘラの祭壇上に哀願者としておいて、後に残したが、コリントス人は彼らをその場からよそに移して、傷つけて殺してしまったとも言われている。 メディアはアテナイに来て、そこでアイゲウスと結婚し、息子メドスを生んだ。しかし後にテセウスに対して陰謀を企（くわだ）て、息子とともにアテナイから亡命者として追放せられた。しかしこの息子は多くの野蛮人どもを征服して、自己の支配下の全土をメディアと呼び、インド人に対して遠征の途上で死んだ。 メディアは人知れずコルキスの地に来て、アイエテスが兄のペルセスによって王国を奪われているのを発見し、彼を殺して王国を父に戻してやった。 第一巻（完）

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2015/3/9-12 オリジナル教会（初代代表）　笹倉正義
正式名称：（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会