（１０）タロス

 
航海中に彼らは激しい嵐に遭遇した。アポロンがメランティオス山の背に立って海中に矢を射て、稲妻を放った。そこで彼らは近くに島を見つけ、その島に投錨（とうびょう）して、思いがけなくその島が現われた（anaphanenai）ので、アナペ（Anaphe）と名づけた。そこで耀（かがや）くアポロンの祭壇を建て、供物（くもつ）を捧げた後、饗宴にとりかかった。

アレテによってメディアに与えられた十二人の侍女が主だった人々をたわむれながら揶揄（やゆ）した。そこから今もなお犠牲に際して女たちが戯談（じょうだん）を言う習慣があるのである。

（Ｐ６５）第一巻（ⅠＸ）
（青銅の巨人）
そこから出航して、タロスによってクレタにつくことを妨げられた。一説には彼は青銅族に属すといい、また一説ではヘパイストスによってミノスに与えられたのであるともいう。彼は青銅人であったが、一部の人々は彼を牝牛（めうし）であると言っている。

頸（くび）から踵（かかと）まで延（の）びているただ一つの血脈を持ち、血脈の終りの箇所には青銅の釘がはめこんであった。このタロスは日に三度島を走（ハ）せめぐって番をした。

それでアルゴーが近づいて来るのを見て、その時にも石を船に投げつけた。しかしメディアにあざむかれて死んだ。一説によればメディアが薬によって彼を狂わしめたと言い、また一説によれば不死にしてやる約束をし、釘を抜いたので、神血（イコル）がみんな流れ出て死んだと言うことである。しかし一部の人々は彼はポイアスに踵（かかと）を射られて死んだと言っている。

---踵（かかと）が弱点という話は、アキレスが有名。
（Ｐ１９２）摘要（Ｖ）
ティトノスと曙（エオス）の子メムノンはエチオピアの大軍とともにギリシャ軍の敵としてトロイに来り、アンティロコスをも含めて多くのギリシャ人を殺したが、彼をアキレスが討ちとった。そしてトロイ人をも追跡してアキレスはスカイアイ門のそばでアレキサンドロス（パリスのこと）とアポロに踵（かかと）を射られた。

ここに一夜留（とど）まった後、水を汲もうと思ってアイギナに寄港（きこう）し、水汲みに関して彼らの間に競争が生じた。そこからエウボイアとロクリスの間を航海して、全航海を四カ月で終えてイオルコスに着いた。

---イオルコスは、イアソンたちが出発した場所。ペリアスはその地の王。アイソンはイアソンの父。 
 
 
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2015/3/8 オリジナル教会（初代代表）　笹倉正義
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