７（１５）妃アマタの狂乱

○（７−１５）王妃アマタの狂乱 (7-385)(7-386)(7-387)(7-388)(7-389)(7-390)(7-391) そしてやがて、まるでバックス神の狂気に憑（つ）かれた女のような態（てい）で、彼女は飛ぶように森の中へと入っていった。そこで誰憚（はばか）ることなく悪事に耽（ふけ）り、心ゆくまで狂おうというのだった。彼女は葉の生（お）い茂る山に自分の娘を隠した。こうしてテウクリ人との縁結びを回避し、少しでも結婚を遅らせようとした。 「エウホ(6-519)、バックス様」と彼女は叫んだ、「わが娘はあなた様だけに捧げまする」と彼女はわめいた、「娘には柔らかく蔓（かずら）の絡（から）まる酒神杖（しゅしんつえ：テュルスス）を持たせまする。輪舞（りんぶ）で御神様（みかみさま）を慰めさせまする。聖なる髪を長く伸ばしてご覧にいれまする」。(7-385-391) (7-392)(7-393)(7-394)(7-395)(7-396)(7-397)(7-398)(7-399) (7-400)(7-401)(7-402)(7-403)(7-404)(7-405) この噂はたちまち広がっていった。すると狂風にあおられた母親たちが、皆同じ熱狂に燃えて、一斉（いっせい）に新しい住居を求め始めた。彼女たちは家を捨て、うなじと髪とを風にゆだねた。女たちは、天空（てんくう）へ震える叫びをあげた。毛皮（けがわ）を身にまとい、蔓（かずら）の絡（から）まる槍を振り上げる者もいた。アマタは、彼女らの真ん中で燃える松明をかざし、興奮（こうふん）して娘とトウルヌスとの結婚歌（けっこんか：ヒュメナエイ）を歌っていた。 そして血走（ちばし）った目であたりをぐるりと見回すと、禍々（まがまが）しい叫び声をあげた。「おお、母親ならばわかりましょう。わらわの言葉を聞いてくりゃれ、ラティナエの女性の方々。この不幸なアマタに対し、皆が純な心で感謝を捧げ、母ならば当然のわらわの気持を理解してくれるなら、さあ、一緒に頭髪を結ぶリボンをはずし、わらわとともに秘儀（ひぎ：オルギアという）に加わりましょうぞ」。こんなふうに、森の中や獣の棲む荒野の上を、アレクトは王妃を、バックス神の狂乱で追い回していった。(7-392-405)

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2015/11/21 オリジナル教会（初代代表）　笹倉正義
正式名称：（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会