７（１）キルケの海岸を通過

○（７−１）キルケの海岸を通過 (7-1)(7-2)(7-3)(7-4) アエネアスの乳母（うば）カイエタよ、あなたもまた、（パリヌルス、ミセヌスに続いて、）死してその名をわれらの岸辺に残したかただ。そしてあなたの御名（みな）は、今もこの地（カイエタの港6-901）の誉（ほま）れなのだ。いやしくもこの大西涯（ヘスペリア：イタリア）の地に栄光があるとすれば、あなたの御名がしっかりと、あなたの骨の在所（ざいしょ）を示していることだ。(7-1-4) (7-5)(7-6)(7-7)(7-8)(7-9)(7-10)(7-11)(7-12)(7-13)(7-14) 敬虔（けいけん）なアエネアスは、粛々（しゅくしゅく）と葬儀を営み、墳墓（ふんぼ）を築いた。そして、沖が凪（な）いでから、帆を張って航海にかかり、港をあとにした。夜になって追い風が吹き、白い月が航路を照らした。海面には光がゆらめいていた。 彼らはキルケの地(3-387)に接する海岸を通過した。そこでは、太陽神（ソル）の華麗な娘（キルケ）が、人の接近をゆるさぬ聖林に、朗々と歌を響かせていた。彼女はその誇り高き宮殿で、かぐわしい杉を焚（た）いて夜の灯（あか）りを取っていた。そして、梭（ひ：シャトル：はた織で、糸を巻いた管を入れ、たて糸の間を往復させてよこ糸を通す舟形の道具）で細い織糸を梳（す）きながら、快いリズムを奏（かな）でつつ機（はた）を織っていた。(7-5-14) (7-15)(7-16)(7-17)(7-18)(7-19)(7-20)(7-21)(7-22)(7-23)(7-24) そこからライオンの猛（たけ）り狂った吼（ほ）え声が聞こえてきた。彼らは繋がれた鎖を嫌がって、夜遅くなっても咆（ほ）え続けていた。剛毛の猪（いのしし）と檻（おり）に入った熊も暴れ回っていた。そこには、一斉（いっせい）に遠吠（とおぼ）えをする狼（おおかみ）たちの巨大な姿も見えた。これらはもとは人間の姿をしていた者たちだが、残忍（ざんにん）極まりない女神キルケが強い薬草を使って獣の形姿（かたすがた）を被（かぶ）せてしまったのだ。 敬虔なトロヤ人たちがこんな怪異（かいい）に遭遇しないよう、またかかる不浄な岸の港にうっかり入り込まないよう、ネプトウヌス（海神ネプチューン）はこの時、帆に一杯（いっぱい：たくさん）の順風（じゅんぷう）を吹きつけた。こうして彼らは難所を逃れ、沸き立つ浅瀬を通過していった。(7-15-24)

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2015/11/19 オリジナル教会（初代代表）　笹倉正義
正式名称：（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会