６（８）黄金の枝を求めて

○（６−８）黄金の枝を手に こうして彼らは、太古（たいこ）の森に分け入（い）った。そこは高い木々が生い茂る獣の棲処（すみか）だった。赤松が倒されていった。また常盤（ときわ）樫（かし）は斧（おの）を打ち込まれて音を響かせた。とりねこは楔（くさび）を打ち込まれて切り出された。裂けやすい柏（かしわ）も同様に切られた。巨大な秦皮（シンピ）材（オルヌス）(11-138)は険しい山の斜面を転がされて運ばれた。(6-175-182) (6-183)(6-184)(6-185)(6-186)(6-187)(6-188)(6-189) アエネアスはこれらの仕事の先頭に立った。彼は仲間を励（はげ）まし励まし、同じ道具（どうぐ）を取って作業に身を打ち込んだ。だが、彼の心の中には、つねに悲しい思いが渦巻いていた。そして巨大な森に目をめぐらせた時、彼はふとこんな言葉を口にして祈った、「森のどこかで、あの黄金（おうごん）の枝の木が見つかってくれるとよいのだがな。なにしろあの予言者の巫女の言葉は恐ろしいほど本当だった。ミセヌスよ、おまえのことをぴたりと言い当てたものな」。 (6-183-189) (6-190)(6-191)(6-192)(6-193)(6-194)(6-195)(6-196) (6-197)(6-198)(6-199)(6-200) 彼がこう言い終わるや否（いな）や、天を飛びながら接近する二羽（にわ）の鳩が彼の視野に入ってきた。鳩は緑なす地面に舞い降りた。偉丈夫（いじょうぶ）の英雄（えいゆう：ヘロス）はそれを母（ウェヌス）の使いの鳥が来たのだと思った。すると彼の心は急に晴れ、彼はこう祈った、 「君たち、わたしを導いておくれでないか。もし道があるとすればだ。空を飛んでわたしの進むべき森の方角（ほうがく）を示してくれ。そして輝く黄金の枝が肥沃（ひよく）な地面に影を落としているところを教えてほしい。女神の母よ、どうか困難に面したわたしを守りたまえ」。彼はこう言ってその場に立ち尽くした。そして鳥の飛翔（ひしょう）の仕方をじっくり観察し、その飛び行く方向を窺（うかが）った。鳥たちは時々餌をついばみながら進んだ。そしてあとを追う者の目線から外（はず）れない範囲を、先へ先へと飛んでいった。(6-190-200) (6-201)(6-202)(6-203)(6-204)(6-205)(6-206)(6-207) (6-208)(6-209)(6-210)(6-211) こうして悪臭を放つアウエヌスの火口（かこう）に達すると、鳥たちは速度を上げて流れる空気に乗って滑空（かっくう）し、首尾（しゅび）よく双樹（そうじゅ：ゲミナ・アルボル）の天辺（てっぺん）に止（と）まった。その枝からはひときわ異彩を放つ黄金の輝きがきらめいていた。 それはちょうど凍（い）てつく冬至（とうじ）の頃、森の中で宿り木が新しい緑葉を出し、仮の親木の丸々とした幹（みき）にサフラン色の形成物を纏（まと）わりつかせている、そんな有様（ありさま）だった。ほの暗い常盤樫（ときわがし）の木の中に、黄金の葉の茂るひともとの枝があった。そしてその金属の葉は、そよ風に乾いた音を響かせていた。 アエネアスは直（ただ）ちにその枝に飛びついた。そして硬く強いその枝を、一心（いっしん）に折（お）りとると、それをシビュラの巫女の棲家（すみか）に持っていった。(6-201-211)

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2015/11/15 オリジナル教会（初代代表）　笹倉正義
正式名称：（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会