６（２０）千年の輪廻

○（６−２０）千年の輪廻、将来生れる者たち (6-713)(6-714)(6-715)(6-716)(6-717)(6-718)(6-719) (6-720)(6-721)(6-722)(6-723) 父なるアンキセスが口を開いた、「あれは運命（さだめ）によって再び肉体を持たねばならぬ霊魂どもじゃ。ああやって忘却川の流れの憂（うれ）い消しの御水（おみず）をいただき、長い忘却を飲み干すのじゃ。わしは前からこのことをおまえに言おうと思っていた。おまえの目にはっきりと見せようと思っていた。そしてわが末裔をひとりひとり数えておまえに教えてやろうと思っていた。さすればイタリアの地を発見するおまえの喜びもまた違ったものになる。それはわしの喜びでもある」。 「されど父上、至高の霊魂の中に、ここから上方を目指して行き、再び重苦しい肉体を纏（まと）う者が居（お）るなどということが、その憐れな魂たちはどうしてそんなに、わざわざ地上の光に憧（あこが）れたりするのですか」。「息子よ、おまえに疑念が残らぬよう、すべてを述べよう」。こう言うとアンキセスは順を追って説明を開始した。(6-713-723) (6-724)(6-725)(6-726)(6-727)(6-728)(6-729) 「まず第一に、天と地、海原（うなばら）と輝く月の珠（たま）、また巨神族（ティタン）の星々を内から養うものは、気息（きそく：呼吸：スピリトウス）というものじゃ。言い換えるならば、心（メンス）が注入されてはじめて、肉塊全体が動きを得るのじゃ。心と巨大な肉体が合体（がったい）するのじゃ。人間も畜生たちも、天翔（あまか）けるものたちも、海が輝く水面の下にはぐくむ怪物（いきもの）たちも皆、こうして出来上がっている。(6-724-729) (6-730)(6-731)(6-732)(6-733)(6-734)(6-735)(6-736)(6-737)(6-738) そしてこれらの活物（イキモノ）たちは、この燃えている生命力（せいめいりょく：ウィゴル）を持つかぎり、天上の始原（ハジメ）の種子（しゅし）を宿していると言える。ただしかし肉体の重さが邪魔をする。土塊（どかい：ツチクレ）の身体、死すべき四肢が彼らを鈍らせているのじゃ。 じゃからして彼らは恐れ、願い、痛み、喜ぶ。そして盲目の牢獄たる肉体の暗黒に繋（つな）がれて、天の霊気（アウラ）を識別できなくなっている。そればかりではない。彼らに最後の日が訪れて、命（ウィタ）が離れ去った後も、哀れな彼から悪はなくならぬ。肉体の諸々の害毒（がいどく：ペスティス）が完全に抜け落ちることはないのじゃ。長い間かかって形成された澱（おり：液体の下にたまるかす）が、実に不思議な状態で根を張っておる。これはどうしようもないことなのじゃ。(6-730-738) (6-739)(6-740)(6-741)(6-742)(6-743)(6-744)(6-745)(6-746)(6-747) そこで彼らは罰を受けて、古い罪悪の落とし前を支払うのじゃ。ある者は中身のない身を風に吹き晒（さら）される。またある者は巨大な渦の中で染まった罪悪を洗い落とす。また浄火に焼かれる者もいる。われらは皆、その霊魂の償いをつけねばならぬ。それが済んでやっと、宏大な浄土（じょうど：エリュシウム）へ向かうことになる。わずかの者だけがこの喜びの地を保持できるのじゃ。 そしてそこで悠久（ゆうきゅう）の歳月が流れ、やがて時の円環が閉じる時が来る。するとさしも濃く染みついた汚れも一掃（いっそう）される。残るはただ純粋な天の霊感と、単一（たんいつ）の精火のみとなるのじゃ。(6-739-747) (6-748)(6-749)(6-750)(6-751)(6-752)(6-753)(6-754)(6-755) この者たちは全員、千年の年輪が回り終わると、神からお呼びがかかって忘却川の岸辺に集められる。それがなの大群衆なのじゃ。彼らはすべてを忘れ果てて、また上の世界の蒼穹（そうきゅう）を見ることになる。彼らは次第にまた、肉体へと戻りたくなるのじゃ」。 アンキセスは言い終わると、息子とシュビラの巫女（みこ）を一緒に群集の真ん中へ連れていった。それは実に騒々しい烏合（うごう）の衆だった。彼らは、正面から霊たちを観察し、向かってくる者たちの顔をよく識別することができるように、やや小高いところに足場を置いた。(6-748-755)

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2015/11/17 オリジナル教会（初代代表）　笹倉正義
正式名称：（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会